はじめに
「埼玉県」勤務の「航空自衛官(情報)」によるキャリアレポートです。
- レポート者のプロフィール
- 公務員としての職業・勤務先:航空自衛官(情報) / 埼玉県勤務
性別:男性
雇用体系:非正規雇用
所有資格:普通自動車運転免許
「航空自衛官」を目指した理由
新卒の就職活動が上手く行かず、自分には手に職をつけてそれを軸に生活する方が良いと判断したためです。中でも飛行機が好きだったので、航空機整備関連の資格を取り、民間航空会社への転職を目標に入隊しました。
「航空自衛官」の仕事内容について
「航空自衛官」の主な仕事は国の領空や領土などを外部から守る仕事です。前述の仕事(任務)を遂行する為に整備や補給、航空管制官といった様々な職種があります。
入隊区分では、一般幹部候補生(〇尉や〇佐と呼ばれる人材となる人)はそれぞれの職種における業務の監督責任や業務調整を担い、一般空曹候補生や自衛官候補生(〇曹や〇士、士長と呼ばれる人)は配属職種の実務を行います。
職種としては、民間の倉庫業にあたる「補給」や航空機の整備をする「航空機整備」、人事や総務、会計などの事務職もあります。私はその中で「情報」という職種に配置され、周辺国の軍事動向の情報収集や分析を主に行っていました。これ以上の細部は守秘義務や刑罰が科せられるため、控えます。
なお、これらの職種は入隊後に簡単な試験や心理テストをして、適性を見て、指定されます。希望職種に就けないこともあります。なお、一部の職種は階級によってなれない職種があります。
「航空自衛官(情報)」の1日の仕事の流れ
基地の中の寮で暮らす「営内者」と外で暮らす「営外者」で生活が異なります。
営内者の場合は、6時に一斉に起床した後に点呼に出ます。その後は2度寝も可能です。そして、8時15分までに登庁すれば良いです。なお、日勤部隊の営内者の新人は大抵の場合、「鍵開け」という、点呼の後に施錠された職場の鍵を開けなくてはいけません。
営外者の場合は、8時15分までに登庁すれば良いです。
部隊(レーダーの監視部隊や基地の警備部隊)によっては24時間体制で勤務する必要があるため、シフト制を導入しており、その勤務サイクルは部隊によって大きく異なります。
日勤(営内者)の場合
6時:起床および点呼(点呼や起床時間の設定は基地によって異なります。)
6時5分:新人は鍵開け
7時30分:登庁 7時35分:到着
8時15分:勤務開始
8時20分:朝礼
12時:昼食
13時:午後の勤務開始
17時:勤務終了。帰宅
17時5分:帰宅完了
「航空自衛官(情報)」の給料・残業・有給休暇について
月給23万(入隊3年目)・ボーナス96万で、2年目の年収は350万円でした。 給料の内訳としては、基本給20万+地域手当で、シフト勤務の場合はこれに夜勤手当。営外者の場合は住宅手当と通勤手当などが付きました。
基本的につかないものとしては、残業手当があります。 有給休暇は有事の際でない限り、まず取得できます。
この仕事で、働いているときに困ったこと
全体的に体育会系の部活の雰囲気で、年功序列が当たり前な上に先輩絶対主義なところが問題です。 階級社会な上に先輩絶対主義であるため、給料は年功序列で変わることは無く、ボーナスの成績に反映される程度ですが、それにおいても順番が付けられ、中々給料面での評価がされません。階級社会のため、当人よりも早く昇進を狙ったとしても、人事管理上のしがらみから枠が取得できず、結局は年功序列で先輩後輩の関係は変わらずに定年まで変わることはほぼありません。
また、階級絶対主義に囚われ、先輩は出る杭を打ちに来ます。いわゆる「いびり」です。私の場合は新卒入隊で、職歴が1年上の先輩は高卒なため、威厳を示したいが為に頻繁に細かなことを指摘されました。また、それがエスカレートし、モラハラやパワハラの部類に近づいたために、自殺をする前に退職しました。 同期の隊員から聞くところではかなり多くの職場でそのような場面が見受けらます。
この仕事や職場でよかったこと
営内者の場合は営内で生活する限りは有事に備えた待機という扱いであるため、基本的に衣食住はかからず、外出する際の私服程度の負担しか無い点です。週末などを外出せずに基地の中にいる限りは殆ど出費は無く、給料が丸々手元に残ります。
また、陸海空の全ての「自衛官」を合わせて24万人もいるため、保証が充実した生命保険や医療保険に安く加入することが出来ます。
その他としては、マイカーなどの高額なローンであっても、公務員であるため、安定した職業ですので、与信はほぼ必ず通ります。
「航空自衛官(情報)」の仕事エピソード
この仕事は一歩間違えれば重大な事故や事件につながります。人間を殺傷できる武器を取扱うので、個々人の責任は大きいですし、前線に送り出すパイロットはそれ以上に計り知れません。
特に、情報という職種は国家間の緊張の度合いや指揮官の判断に大きく寄与するために、自分がミスを犯した場合は、それが理由となり対極が変わってしまったり、多くの人員の命が危険にさらされる可能性があるために、とても重要な仕事です。守秘義務も多く、仕事の愚痴を話せる相手が身近にいないため、多くの悩みを抱えては足らなくてはならなく、とてもプレッシャーがかかります。
しかし一方で、自分の仕事が評価された場合は、国の中枢まで寄与するため、とてもやりがいを感じることが出来ます。私が転職先を決める上でこの職以上にやりがいを感じられる職場は中々見つけることが難しい程です。
「航空自衛官(情報)」の職場恋愛について
職場での恋愛は、とても難しいです。理由としてはまず男女比が極端に偏っているためです。分母に対しての分子が余りにも小さいです。また、仮に職場に女性隊員が来たとしても、男性社会の馴れ合いしか知らない人多いため、セクシャルハラスメントに該当しないかを警戒し、近づきがたい雰囲気と必然となるためです。
職場以外での恋愛は、本人の努力次第です。ネームバリューがあり、尊敬される仕事ではあるため、女性からの評価は高いと思います。ただ、平日は門限があり、基地の外に中々出にくいため、マッチングアプリなどを活用して出会いを獲得し、結婚やお付き合いをしている隊員が多いです。
まとめ ー「航空自衛官(情報)」を目指す方へメッセージ
最初はとても辛いとは思いますが、中々感じることの出来ないやりがいを感じることが出来る職場です。転職するにしても、ここで得た経験は絶対に栄養となります。是非、全力で臨んでください。
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