【出産編】公的にもらえる助成金・補助金・控除などのお金

国や自治体など行政機関から公的にもらえるお金についての特集です。

第2弾の今回は「出産」への助成金制度についてまとめます。制度の管轄省庁はすべて厚生労働省ですが、制度を利用する際の申請先が制度によって異なります。

それぞれの制度について詳しくご紹介します。


「出産」に関する助成金・補助金などの経済的支援

人生には何かとお金がかかるライフイベントがありますが、その経済的負担を減らすために自治体や国から補助金が出る場合があります。

今回はさまざまなライフイベントの中でも、「出産」のタイミングでもらえる「助成金」「補助金」「控除」などのお金についてまとめます。

タイトル横のカッコ内には【管轄省庁/制度を利用するための主な申請先】を紹介します。企業に勤めている方やその配偶者の場合、会社を通して申請が必要な場合もあります。

出産に関する助成金・補助金制度(概要)
1)妊婦健康診査費助成制度

2)出産育児一時金

3)出産手当金

4)助成制度

5)産前産後休業保険料免除制度

6)産科医療補償制度【厚生労働省/公益財団法人日本医療機能評価機構】

その1)妊婦健康診査費助成制度

「妊婦健診」は全国の「市町村」が妊婦に行う健康診査のことです。担当省庁は「厚生労働省」ですが、実際には市町村単位で健診が行われています。

母子健康法という法律で、「市町村は必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない。」と定められており、現在全国のすべての市町村で実施されています。

厚生労働省によると、妊娠から出産までの望ましい「妊婦健診」の回数は14回ほどであり、推奨する検査項目も国が定めています。平成28年度時点で、すべての市町村で14回以上の妊婦健診を、国が定める診査項目については、自己負担なし、つまり無料で受けることができます。


ただし、公費負担になる診査項目は限られているので、それ以外の検査が必要な場合や、特別な検査を希望する場合はその部分について有料となります。

また、自治体によっては、14回を超えた健診費用も公費でまかなえるところがあります。中には「妊婦健診」は回数無制限ですべて無料という、妊婦さんのお財布に優しい自治体もあるようです。

▼厚生労働省「妊婦健康診査の現状について」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/01/dl/s0108-4b_0022.pdf

その2)出産育児一時金

「出産育児一時金」とは、健康保険から子ども1人の出産につき35万円、または38万円が支給される制度です。担当省庁は厚生労働省であり、国民健康保険や協会けんぽ、健康保険組合など、出産する方やその家族が加入している保険組合により運用されています。

「出産育児一時金」の満額の38万円が補助されるのは「産科医療補償制度」に加入している医療機関で分娩する場合のみで、それ以外は35万円が支給されます。

自治体によっては、出産前の事前申請をすることで、医療機関等が本人の代わりに一時金を受け取ることができ、本人は35万円(38万円)を超える費用のみ払えばいいという制度もあります。

また、少子化対策として、35万円(38万円)以上の金額を、自治体独自の予算を設けて、さらに増額して助成する場合もあります。

「出産育児一時金」は、非課税のため所得税の控除はなく、次年度の住民税を算定するための基礎金額にも入りません。

▼厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html

その3)出産手当金

「出産手当金」とは、働いている人が出産する際に受け取れる場合がある助成金です。担当省庁は厚生労働省であり、国民健康保険、協会けんぽや健康保険組合など、加入する保険組合に申請します。

出産のために会社などを休むと、当然ながらその期間のお給料は発生しないのが一般的ですが、この制度では、その給与の支払いが受けられなかった期間に合わせて、健康保険から「出産手当金」が支給されます。

「出産手当金」の支給対象となるのは、出産日の42日前(双子以上の多胎妊娠であれば出産日の98日前)から出産の翌日以後56日までの範囲に会社を休んだ健康保険加入者です。

金額は、「出産手当金」を申請した本人の標準報酬日額の約3分の2に相当する金額で、「1日の支給額」×「対象期間に会社を休んだ日数分」の金額が支給されるようです。

「出産手当金」も、非課税のため所得税の控除はなく、次年度の住民税を算定するための基礎金額にも入りません。

▼厚生労働省ホームページ「産前・産後休業中、育児休業中の経済的支援」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000174135.pdf


その4)助産制度

「助産制度」とは、経済的理由により、入院助産を受けることができない妊産婦に対して、助産施設で助産を行う制度です。担当省庁は厚生労働省で、都道府県ごとに実施されている制度です。

所得制限と、自己負担がある制度ですので、お住まいの都道府県等に条件などは確認してください。

▼厚生労働省ホームページ「出産に関する経済的支援」
https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1201-5a_0023.pdf

その5)産前産後休業保険料免除制度

平成26年4月からは、産前産後休業中や育児休業中の女性が、健康保険料を免除される「産前産後休業保険料免除制度」が始まりました。担当所管は厚生労働省と日本年金機構です。

「産前産後休業保険料免除制度」では、産休・育休ともに休業の「開始月」から「終了前月」まで、社会保険料の支払いが免除となります。

例えば、子供が1歳になるまで産休・育休を取得する場合、産前産後と、1歳までの期間を合計して、約1年3カ月間の社会保険料が免除されるようです。

保険料を支払わない分、年金が減額されるのでは?と心配する方もいらっしゃると思いますが、厚生年金については、産休期間中に社会保険料を免除されていても、納付記録としては残るため、受取年金が減額されることは無いようです。また、保険料が免除になっている期間中も、被保険者資格に変更はありません。

▼日本年金機構「産前産後休業保険料免除制度」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/menjo/20140327-04.html

その6)産科医療補償制度

「産科医療補償制度」とは、分娩に関連して重度脳性まひを発症した子どもと家族の経済的負担を速やかに補償することを目的とした制度です。厚生労働省と公益財団法人日本医療機能評価機構によって運用されている制度です。

「産科医療補償制度」では、1回の分娩につき、掛け金の「1万6千円」を事前に支払い申請することで、万が一出産が原因で重度脳性まひと診断され、補償の対象となった場合に、看護・介護のための必要なお金として、一時金600万円と分割金2,400万円(20年×120万円)、総額3,000万円が補償金として支払われます。

無事に分娩が完了した場合、掛け金は掛け捨てとなりますが、集まった掛け金は対象者の補償に使われるだけでなく、重度脳性まひに至った原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供することなどに活かされます。

産科医療での紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ることも、この制度の重要な目的のひとつだとされています。

▼厚生労働省「産科医療補償制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/i-anzen/sanka-iryou/index.html

まとめ

このページでは、「出産」に関して公的に支給される「補助金」や「助成金」や、「免除」されるお金についてまとめました。

「出産」は、分娩費用がかかるほか、産前産後はどうしても母体は仕事を休まなくてはならず、その間のお給料が発生しないなど、経済的な対策が必要なライフイベントとも言えます。

企業に勤めているお母さんが産休を取得する場合には、会社の人事部など然るべき部署が、制度申請を行ってくれる場合もありますが、自分自身で申請しなければ利用できない制度もあります。

「出産」に関して、経済的に何か困ったことがあったら、このような制度が支援となる可能性があります。また、制度は年々変化していますので、今までは対象者ではなかったけれど、新制度では支援の対象である場合もあります。

まずはお住いの自治体窓口や、かかりつけの産科医院に相談するなど、積極的に情報を収集しておくことが必要だと思います。

本記事は、2019年12月11日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

出産編
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