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国と地域をつなぐ地方公務員「地方上級」になるには?

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地方公務員は、各地方自治体に所属し、その地域のために働きます。今回はその地方公務員の中で、「地方上級」と呼ばれる区分について解説します。「地方上級」は、都道府県庁や東京都特別区、政令指定都市の大卒程度試験の試験区分および、その職区分のことをいいます。

目次

地方上級公務員(地方上級)になるには?

地方上級(県庁職員など) 試験の流れ イメージ画像
公務員総研作成

「地方上級」になるには、該当の地方公務員試験に合格し、採用されることで、なることができます。試験の内容は、一般的には、一次試験では筆記・論文、二次試験では面接などの人物試験が行われます。(該当自治体の上級(大卒程度)試験の受験資格や試験内容は各自治体によって異なります。)

そもそも地方公務員とは?

そもそも地方公務員とは、都道府県や市町村など特定の地域の行政を行う地方自治体に所属する公務員のことです。その中で、地方上級公務員(地方上級)は、都道府県庁や東京都特別区(23区)、政令指定都市の地方公務員の上級試験で採用された職員を指します。

地方公務員というと、例えば、公立の病院や学校、図書館などの職員も該当します。「地方上級」は、首都である東京や都道府県庁など、地方公務員の中でも、スケールが大きく、また非常にその地域の特色のでる行政に携わることになります。

ちなみに、地方公務員の採用試験には、通常、大学卒業レベルの能力が求められる「地方上級」、短期大学・高専卒業レベルの能力が求められる「地方中級」、高校卒業レベルの能力が求められる「地方初級」や資格免許職、警官職などに区分され、実施されています。

地方上級について

地方上級は、通常、幹部候補生として、約3~5年程で部署を異動し、様々な業務を経験する役割を担っていきます。事務職(行政職)は本庁や出先機関で政策立案や予算や税金、都市開発、環境、福祉など行政のあらゆる業務を、技術職は土木や建築など、その専門知識を用いた仕事を担います。

地方公務員上級になるための試験について

地方公務員「地方上級試験」の概要

地方公務員試験は、該当する地方自治体ごとに実施される地方公務員試験において、一次試験合格者が二次試験を受けることができ、最終合格をすると本人への就職意思を確認し、「採用候補者名簿」に名前が登載され、任命権者による意向確認(採用面接など)を経て、最終的に該当の自治体に採用される仕組みになっています。

試験の難易度を表す目安(程度)の呼称は自治体により異なっています。「上級」というのは「大学卒業程度」という意味で、自治体によっては「Ⅰ類」や「1類」、「A試験」などと呼び方はさまざまです。この場合の大学卒業(程度)とは資格や最終学歴を指しているものではなく、試験の難易度を表しています。

地方公務員の受験資格

ほとんどの自治体で共通する受験資格は、年齢要件です。受験資格は概ね30歳前後です。また、一部の自治体や試験区分を除いて、学歴は不問の自治体も少なくありません。区分によっては、資格や免許(取得見込みを含む)が受験資格となる場合もあります。採用試験の案内は各地方自治体で確認ができます。

地方上級の試験区分について

試験区分は事務系(行政職)、技術(建築、土木、電気、機械などの技術職)系、資格免許職(医師、看護師、獣医師、衛生管理士、保育士、教員など)、公安系(警察官・消防士など)などがあります。

地方上級の試験科目と流れ

一次試験として択一式試験である教養試験・専門試験を受け、そこをクリアすると二次試験の論文試験・人物試験に進みます。論文は一次試験で行われる場合と二次試験で行われる場合があります。人物試験は個別面談の他集団面談や集団討議など自治体により形式はさまざまです。


地方上級の一次試験について

詳細は自治体や職種によって異なりますが、一次の筆記試験は出題範囲が広く教養試験と専門試験をあわせて30科目ほどあります。
教養試験は大きくは知能分野と知識分野に分かれます。専門試験の内容は試験区分ごとに出題されます。一般的な行政(事務)職では、政治、法律、経済などの科目が主に出題される傾向にあります。

一次筆記 教養試験 科目について

  • 知能分野
    • 数的処理/数的推理・判断推理・図形・資料解釈
    • 文章理解/英語・古文・現代文
  • 知識分野
    • 社会科学/政治・経済、社会時事
    • 人文科学/日本史、世界史、地理、思想、芸術
    • 自然科学/物理、化学、生物、地学、数学
    • 専門試験
  • 法律系
    • 憲法、民法、行政法、刑法、労働法など
  • 経済系
    • 経済原論、財政学、経済史、経済事情、経済政策、経営学、経済史、会計学など
  • 行政系
    • 政治学、行政学、社会学、国際関係、社会政策など

二次試験について

論文試験では志望動機に関わるものから環境や社会問題などをテーマに60~90分で800~1200文字という内容が多いようです。論文試験では時事問題の正確な理解と、時間内に記述できるような練習が必要です。

人物試験では個人面接の他、グループ討議を行うところや、三次試験を設けるなど、各自治体も人物像選考に力を入れています。志望動機、これまでに力を入れてきたことはもちろん、グループ討議ではリーダーシップや協調性などをアピールするために、建設的に議論を進めることが大事です。

試験日程について

公務員試験の日程は、上級・中級・初級や自治体、職種によって異なります。試験ごとの日程は、多くの場合一次試験と二次試験の2回が設定されますが、三次試験が設けられていることもあります。

春採用の試験が一般的ですが、秋採用の試験も実施されていることがあります。詳しくは各地方自治体のホームページなどで確認することができます。

職務経験者採用試験について

社会人経験者採用試験では、民間企業での経験を活かして公務員に転職することができます。もちろん一定の受験資格を満たす必要がありますが、近年年齢の上限などの条件が広がっています。詳しい受験資格は自治体によって差異がありますが、以下の条件をかかげている都道府県が多いです。

  • 60歳未満であることと
  • 5年以上の職務経験があること

下限は定まっていませんが、30歳前後であることが多いです。ただし、27歳~36歳など狭い条件を提示している都市もあるため、希望する地方自治体の要件確認は最優先事項と言えるでしょう。

地方上級と併願する?国家一般職について

試験

国家公務員一般職とは、国に勤務する公務員で、省庁や出先機関での事務処理等の業務を行う職種です。国家総合職が企画立案した政策の手続きや運用側を担っていくことが国家公務員一般職の主な仕事内容です。事務系では、内閣府や各省庁・各局における事務を、技術系は環境や農林水産業などの調査、研究に当たります。国レベルのスケールの大きな仕事、未来に深くかかわる政策に実際に携わることができます。

国家公務員一般職試験の内容は、地方公務員上級試験の全国版と共通する科目が多いため併願する受験者も多くいます。併願をするときは、程度の目安だけでなく、出題科目が重なっていることがポイントです。

試験は行政区分と専門区分(電気、機械、土木など)に分かれます。国家公務員一般職の一次試験では、筆記試験である基礎能力試験(多肢選択式)と専門試験(多肢選択式)の他に、行政区分では一般論文試験、専門区分では専門試験(記述式)が行われます。二次試験は人物試験となります。人物試験では性格検査も行われます。
実際に採用されるまでの流れは以下の通りです。

一次試験通過→二次試験(人物試験)→最終合格発表→採用候補者名簿に登載→官庁訪問開始→官庁にて面接→採用

最終合格者は、試験の区分ごとの採用候補者名簿に登載され、各府省等での面接を通過すると採用となります。一次試験の合格発表後に合同説明会が催されます。合同説明会では、業務内容の説明などが行われます。官庁訪問は最終合格の発表後開始します。官庁訪問は実質的な採用面接となりますので、希望する官庁へ積極的に出向くことが大切です。最終合格後、採用可能なのは3年間です。採用に関する情報はインターネットを通じて提供されます。

国家総合職試験やその他の国家公務員試験の併願について

公務員試験について

公務員試験は日程が重なっていない限り併願することが可能ですが、東京都以外の道府県、政令指定都市の地方上級試験は同日実施されます。そのため、地方上級試験を受ける場合の併願には、実施日の別な国家一般職試験を選ぶ受験者が多いようです。

国家公務員一般職試験は地方上級と科目の共通点があること、同程度の難易度(大学卒業レベル)と言われているのも併願の多い理由のひとつです。

一般的な併願例

  • 関東の地方公務員上級志望者
    →東京都と近隣の県または政令指定都市の上級と国家公務員一般職試験を併願
  • 関東以外の道府県の地方上級志望者
    →志望する道府県の上級と国家公務員一般職試験や市町村の上級試験を併願

試験日が別日であれば併願可能なため、多くの受験者が地方上級や国家公務員一般職などを併願します。また、試験日が別であれば働きたい市町村の上級試験を併願するという場合もあります。原則として試験料は無料です。


公務員になるための予備校について

試験科目が広く、学習範囲が膨大な公務員試験。独学で乗り切るには、かなりハードルが高くなることから、公務員になるための予備校が各地にあります。
どの予備校でも、試験対策に力を入れ、重要ポイントを絞ったカリキュラムが組まれています。また、公務員試験は採用試験を兼ねているため、二次試験の人物試験で絞り込みをかける傾向があるので、予備校では、一次試験の科目だけでなく、二次試験(人物試験)についても対応しています。

予備校では、疑問点をすぐに聞くことができる点や、独学での突破は難しいとされている二次試験に関しても、討議の練習ができる点、他人の評価、アドバイスをもらえることは大きなメリットと言えます。予備校は授業方式の他、ウェブでの映像視聴方式など、受け方はさまざまです。

まとめ

安定している公務員の中でも人気の高い地方公務員。中でも、将来の幹部候補として採用される地方上級公務員は非常に注目の職業です。社会貢献度が高く、福祉、教育、環境、まちづくりといった多種多様な仕事に携われるのも根強い人気の理由です。近年では民間経験者からも地方公務員を目指せる経験者採用も活発化しており、より多くの人にチャンスがあります。

地方上級公務員になるための試験は各自治体で詳細は異なりますが、日程が重ならなければ国家公務員一般職などとの併願もできます。地方上級公務員・国家一般職ともに出題される科目数も多く難関な試験と言えますが、予備校などでは、区分・職種ごとの対策も重点的に行われています。

地方公務員上級試験は、試験倍率も高く、しっかりとした対策が必要な難関試験と言われていますが、合格し採用されれば、自治体の幹部候補生として、地域に密接したさまざまな分野の仕事に携われる魅力的な職業です。

本記事は、2017年4月3日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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