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医療系公務員が勤務する「病院」の種類について

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目次

はじめに – 公務員として医療に携わるということ

医療従事者の就職先は多岐に渡りますが、多くの方は「医療施設」に就職することになります。「医療施設」の中でも、公的な病院等に就職すると、「公務員」として医療に携わることになります。こういった医療従事者を、「医療系公務員」と呼んだりします。

今回は、「医療施設」の種類と、それぞれの違いについて解説しながら、どういった施設で働けば「医療系公務員」になれるのかについて、説明します。

公務員として医療に携わりたい方は、ぜひこの記事をご参考ください。

「医療施設」とは?

患者が病気やけがをしたときの診断、治療、もしくは予防のために行う行為を「医療行為」と言います。手術はもちろん、注射、点滴、胸部X線撮影(いわゆるレントゲン撮影)等の行為は、全て「医療行為」です。

日本では、「医療行為」は医師、もしくは医師の指示を受けた者が行うという規定があります。そして、この「医療行為」を行うことができる場所を「医療施設」といいます。

「医療施設」は大きく分けて「病院」と「診療所(クリニック、医院)」の2種があり、それぞれに役割が違います。

まずは、両者の違いについて、説明します。

医療施設その1:「病院」とは?

「病院」とは、病床数(ベッドの数)が20床以上ある「医療施設」のことです。

医師の数は最低3名以上必要で、医師1人が診ることができる患者数にも制限があります。

医療施設その2:「診療所(クリニック、医院)」とは?

「診療所(クリニック、医院)」とは、病床数(ベッドの数)が19床以下の「医療施設」のことです。診療所の中には病床を持たない施設もあり、病床を持つ「有床診療所」と、 「無床診療所」に分類されます。

医師の数に制限はなく、1~2人程度の施設がほとんどです。そして、医師1人が診ることのできる患者の数には、制限がありません。


▼参考URL:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/10-2/kousei-data/PDF/22010206.pdf

「病院」と「診療所(クリニック、医院)」の違いについて

違いその1:スタッフの数が違う

病院と診療所では、従業員の数が違います。

病院は、医師の数が最低でも3人必要であり、また、1人の医師が1日に診ることができる外来患者は40人までです。病床数が多ければ多いほど、それに応じた数の看護師・准看護師が必要であり、その他、薬剤師や栄養士、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、理学・作業療法士などのパラメディカルと呼ばれる医療技術者も必要です。カルテの管理や、診療報酬請求明細書の作成をする医療事務、受付や会計を担当する事務職員の数も、病院の規模に比例して増えていきます。

一方、診療所は、医師が1日に診ることのできる外来患者数に制限はなく、1人で何人でも診察できます。入院施設がなければ、看護師がいなくても診療所を開業できます。パラメディカルスタッフも必要のないか、居ても少数の診療所が多く、例えば看護師がレントゲン撮影をするような診療所の少なくありません。

違いその2:根本的な役割が違う

病院と診療所は、ともに医療施設ですが、根本的な役割が違います。

病院は、様々な設備や医療機器が整っており、救急患者の対応や、難病・重症の治療といった高度な医療技術を担う施設です。

一方、診療所は、軽いけがや、重傷でない病気、定期薬を処方することなどを担う施設です。地域の「かかりつけ医」「ホームドクター」としての機能を果たしています。

「毎年同じ花粉症の薬を処方してもらう」などの場合、診療所を利用することが望ましいです。重病患者が、病院がいっぱいで治療が受けられないという事態を避けるためにも、患者側は病院と診療所をしっかり使い分ける必要があります。

中には「症状は軽いけど、もしかしたら重い病気かもしれないから、大きい病院の方が安心」という患者もいるでしょう。しかし、診療所の医師は、大きな病院でしかるべき治療を受けるべきだと判断すれば、すぐに紹介状を書いて、症状にあった医療を提供する病院を紹介してくれます。

違いその3:料金が違う

病院の中でも、病床数が200床以上ある病院を「大病院」と言います。「大病院」では、診察を受ける際、「特別料金」が発生します。

この「特別料金」は、診療所などで発行される「紹介状」があれば発生しませんが、紹介状がないと、初診で5,000円以上、歯科の場合は3,000円以上の費用がかかります。

医療施設「病院」の細かい種類について5つに区分

「病院」とは、「病床数(ベッドの数)が20床以上ある医療施設」であると前述しましたが、「病院」は、誰が管理・運営しているかで、分類することができます。

今回は、「国が管理する病院」「公的機関が管理する病院」「社会保険団体が管理する病院」「大学が管理する病院」「その他の団体が管理する病院」の5つに分けて説明します。

病院分類その1:国が管理する病院とは?

国が管理する病院には、厚生労働省が管理する「国立ハンセン病療養所」、独立行政法人「国立病院機構」が管理する「国立病院」、防衛省が管理する病院である「自衛隊病院」や「防衛医大病院」、法務省管理する病院である「医療刑務所」「医療少年院」などがあります。

厚生労働省所管の独立行政法人「国立病院機構」に就職するには?


厚生労働省所管の独立行政法人「国立病院機構」は、医療の提供、医療に関する調査・研究、技術者の研修を行う機関です。この記事では、「国立病院機構」の役割や、就職するための方法を解説します。

病院分類その2:公的機関が管理する病院とは?

公的機関が管理する病院には、都道府県や市町村が管理する「都道府県立病院」「市町村立病院」、日本赤十字社が管理する「赤十字病院」などがあります。

病院分類その3:社会保険団体が管理する病院とは?

社会保険団体が管理する病院には、全国社会保険協会連合会が管理する「社会保険病院」や、厚生年金事業振興団が管理する「厚生年金病院」、共済組合が管理する「共済病院」などがあります。

なお、2014年以降は、「社会保険病院」「厚生年金病院」は、独立行政法人「地域医療機能推進機構」に、運営が引き継がれました。

病院分類その4:大学が管理する病院とは?

大学が管理する病院とは、国立・公立・私立大学が管理する病院です。「○○大学附属病院」等の名称が多いです。

病院分類その5:その他の団体が管理する病院とは?

その他の団体が管理する病院とは、公益法人や医療法人が運営する病院や、会社が運営する病院などのことです。例えば「JR病院」などはJRが運営しています。

公務員として働ける「病院」について

病院を運営者別に5つに分けて分類しましたが、次は、これらのうち、どこに就職すると「公務員」扱いになるのかについて、説明します。

「国が管理する病院」のスタッフは、「国家公務員」か「みなし公務員」

国が管理する病院に就職すると、多くが「公務員」及び「みなし公務員」扱いとなります。

例えば独立行政法人「国立病院機構」が管理する「国立病院」のスタッフは、福利厚生や給与・待遇は公務員に準じており、いわゆる「みなし公務員」です。

また、「国立ハンセン病療養所」や「宮内庁病院」は、厚生労働省直属の施設として運営されているため、職員は「国家公務員」です。

「公的機関が管理する病院」のスタッフは、「地方公務員」が多い

公的機関が管理する病院のうち、都道府県や市町村が管理する「都道府県立病院」「市町村立病院」に就職すると、「地方公務員」扱いとなります。

また、「赤十字病院」等は公的機関とみなされるので、職員は公務員に準ずる「みなし公務員」扱いです。

「社会保険団体が管理する病院」のスタッフは、「みなし公務員」が多い

社会保険団体が管理する病院のうち、「社会保険病院」「厚生年金病院」は、独立行政法人「地域医療機能推進機構」に、運営が引き継がれており、その職員は「みなし公務員」です。

「大学が管理する病院」のスタッフは、国立・公立大学は「みなし公務員」、私立大学は公務員ではない

大学が管理する病院のうち、国立大学と公立大学が管理する大学病院の職員は「みなし公務員」ですが、私立大学が管理する大学病院の職員は公務員ではありません。

「その他の団体が管理する病院」のスタッフは、公務員ではない

その他の団体が管理する病院である、公益法人や医療法人が運営する病院の職員は、公務員ではありません。

公務員として働ける「病院」の概要

管理・運営 扱い
「国家公務員」及び「みなし公務員」
公的機関 多くが「地方公務員」
社会保険団体 多くが「みなし公務員」
大学 国立・公立大学病院は「みなし公務員」、私立大学病院は非公務員
その他 非公務員

「公務員」になりたいのか、「医療従事者」になりたいのか

医療従事者は、どこで働くかによって公務員になるか非公務員なのかが決まります。

ただ、医療従事者の場合、公務員であろうと非公務員であろうと、仕事の内容はほとんど変わりません。それでは、医療系公務員は、非公務員と、何が違うのでしょうか。

次は、医療系公務員になることのメリット・デメリットを説明します。

医療従事者が「公務員」として働くメリット

公務員として働くことのメリットとして、多く挙げられるのが「収入・立場が安定している」ということだと思います。ただ、これは医療従事者の資格を持っている時点で、ある程度安定しているので、「安定が欲しいから医療系公務員になろう」と考える人は、あまり多くないでしょう。


それでは、あえて公務員になることのメリットとはなんでしょうか。

メリットその1:給与が高いことが多い

主に看護師などは、民間の病院よりも、公務員として働いたほうが給料が高いことが多いようです。また、医療系公務員の方が、賞与が高い傾向にあります。

メリットその2:休日が取りやすい

福利厚生が公務員と同じなので、休日が取りやすいです。また、残業代などもしっかり出ます。

メリットその3:研修が受けやすい

医療系公務員の場合、病院内の研修制度がが整っている場合が多いです。また、メリット2で挙げたように、休日がとりやすいので、院外で行われる研修や勉強会にも参加しやすいようです。

以上が医療系公務員になることのメリットです。もちろん、民間病院は給与が安く、研修も受けられず、休日も取れず、残業代も出ないというわけではありません。挙げたメリットは、あくまでも傾向です。

医療従事者が「公務員」として働くデメリット

それでは逆に、医療従事者が公務員として働くことのデメリットはあるでしょうか。次はそれについて説明します。

デメリットその1:副業禁止

公務員は基本的に、副業が禁止されています。医療従事者の中には、休日に別の病院でアルバイトをする人もいます。民間病院であれば、病院が禁止していなければいくらでも副業ができますが、公務員はそうはいきません。

デメリットその2:「失業保険」や「再就職手当」がない

医療系公務員に限らず、国家公務員・地方公務員は、雇用保険に加入できないので、失業保険や再就職手当はありません。

以上が医療系公務員になることのデメリットです。

まとめ

いかがでしたか?

本記事では、そもそも医療施設とは何か、病院の種類、そして公務員として働くことのできる病院についてまとめました。

医療従事者である限り、公務員でも非公務員でも、自分の職務に忠実に従事する必要があります。公務員だからしっかり患者を診る、公務員じゃないから適当でいいなどということは絶対にありえません。

ですが、公務員になることで、民間病院にはない「やりがい」を見つけられるかもしれません。

どのような医療従事者になりたいか、自分にとって医療とは何か、それを考えたときに、公務員という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

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本記事は、2020年5月20日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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