コロンビアと日本の、食文化の比較

今回は、コロンビアに住む日本人に、「コロンビアと日本の、食文化の比較」のテーマでコラムを書いていただきました。


はじめに

日本とコロンビアの時差は、14時間。飛行機を乗り継ぎ、ほぼまる1日かかる距離で、かつお互いの文化などについてはあまり知られていない、ほぼ赤の他人同士のようですが、実は食文化においては、近い部分や似ている部分も多いのです。

今回は、そんなコロンビアと日本の食文化の共通点と、まったく異なる点に分けてご紹介します。

コロンビアの食文化 – 日本と似ている点、共通する点

似ている点1:米が主食

意外な共通点ですが、コロンビアの主食の1つはお米です。

もちろんその他の穀物もよく食べ、米ばかりというわけではありませんが、一般的に外でランチを食べたり、自炊をしたりするときには、お米の登場回数が最も多いでしょう。ただし、日本のジャポニカ米に比べて細長く、ぽそぽそとした食感の品種で、油と塩、時々刻んだ長ネギと一緒に炊くのが大きく異なる点です。

ただし「SUSHI」レストランでは、日本米を取り寄せて使っているところが多いようです。

また、日本ではチャーハンにしようがお茶漬けにしようが、お米があくまで主役、というような位置づけですが、コロンビアではスープの中に入れたり、ソーセージのような腸詰めの中に入っていたりと、副菜などの一部に使われることも多いです。

感覚としては、炭水化物なのに野菜として扱う、日本人にとってのジャガイモに近いような気がします。また、「アロス コン レチェ」という牛乳で煮て甘くしたお米料理もあり、同じお米でも日本人にとって馴染みのない食べ方が多いのも特長です。

その他、パンもよく食べ、街のいたるところにパン屋さんがあります。一方パスタを除いては、麺類(卵麺、米麺とも)はほとんど食べません。

似ている点2:味付けがシンプル

外国の食事は味付けが濃いことも多いのですが、コロンビアでそれを感じたことはあまりありません。多くの場合、塩とコショウのみで味付けされていてシンプルで食べやすく、日本人の口に合いやすいものが多いと感じます。もちろん、マヨネーズ、クリーム、トマトソースなども一般的ですが、そればかり出てきて飽きてしまう、ということはほとんど経験がありません。

ちなみに、醤油は多くのスーパーで購入できます。日本の醤油とは何かが少し違うのですが、コロンビア人宅のキッチンにもふつうに置いてあり、身近な存在であるようです。

似ている点3:内臓(ホルモン)系をよく食べる

代表的なコロンビア料理の1つに「モンドンゴ」というものがあり、いわゆるコロンビア版もつ煮込みと言われています。その他、レバーを煮込んだものや、牛の肺を刻んで揚げたもの、牛の胃袋(トリッパ)など、ホルモンは日常的に食べていて、街中のお肉屋さんにも並んでいます。


内臓ではありませんが、わたしが気に入っているのは「チチャロン」という、豚の皮。下茹でして油でカリッと揚げた、おつまみや前菜の定番で、止まらなくなるおいしさです。

捨てるところなく、全部をおいしく食べるという文化が根付いていて、その辺が日本と似ているなと思います。

コロンビアの食文化 – 日本と異なる点

異なる点1:トウモロコシをよく食べる

米、小麦と並んでよく食べる穀物の1つが、トウモロコシです。トウモロコシを粉にしたものを、平たいパンのようにした「アレパ」は、コロンビアの食卓の常連。バターと塩でシンプルに食べたり、チーズやソーセージを挟んだりと、それ自体に味やクセがないため、アレンジ方法は様々です。

また、薄くのばしたトウモロコシの生地の中に、肉や野菜、米などを包んで揚げた「エンパナーダ」は、日本で言うおにぎりのような存在。「タマル」と呼ばれる、トウモロコシの生地と鶏肉、野菜を練ってバナナの皮で包み、蒸し上げた料理は、朝ご飯の定番メニューと、コロンビア料理を語る上でトウモロコシは欠かせない存在です。

異なる点2:フルーツが豊富

熱帯地域が多いため、トロピカルフルーツが年中豊富です。

日本では果物は全体的に高価なことが多いですが、コロンビアでは、国産のものは安く手に入ります。日本では見たことのない不思議なフルーツもたくさんあり、ジュースにして飲まれることも多いのが特長です。

絞りたてのジュースを提供してくれる屋台やジューススタンドは街中にたくさんあり、ファストフード店などでも、オーダーするとフレッシュジュースを出してくれます。砂糖を入れるか入れないか、ミルクで作るか水で作るか、など、自分好みにしてくれ、作りたてなのでとてもおいしいです。

ちなみにフレッシュレモネードも定番の飲み物ですが、コロンビアで「レモン」と言うとライムのことを指し、日本人がイメージする黄色いレモンはほとんど見かけません。

異なる点2:魚より肉率が高い

ボゴタ周辺は内陸であるため、魚をほとんど食べません。かと言って、海辺のリゾート地に行ったときも特に魚をよく食べている感じもなかったので、基本は肉をがっつり食べる、という文化なのかなと感じています。

コロンビアでは、夕食よりも昼食にボリューミーなものを食べる傾向にあり、肉だと300~400gくらいをぺろりと食べてしまいます。食べている肉の種類は日本と同様、ビーフ、チキン、ポークがほとんど。ただ、ビーフは和牛と違って、筋張っていて堅いことが多いです。また、どのお肉も当たり前のように骨がついていることが多く、手でつかんで食べることは一般的です(おしぼりはないので、手が汚れること覚悟ですが)。

また、ソーセージもよく出ます。日本のウインナーソーセージよりも長くて大きめ、ハーブや野菜などが入っていることが多く、とてもおいしいです。道端でじゅうじゅう焼いて売っていたり、お肉屋さんやスーパーにもいろいろな種類がたくさん並んでいたりします。

タンパク源としては豆類もよく食べます。ひよこ豆やインゲン豆が付け合わせとしてついていたり、煮込みにして食べたりもしますが、それがメインというわけではなく、あくまで主役は肉であることが多いと感じます。

異なる点4:お茶を飲まない

コーヒーの国なので、レストラン、パン屋さん、ご近所さんにお邪魔したときなど、どこに行ってもコーヒーが出てきます。飲み物の選択肢は、例えば朝ご飯では、コーヒーかホットチョコレート、ランチやディナーでは、前述したフレッシュジュースかコーラなどのソフトドリンクと、食後はコーヒーか「アロマティカ」と呼ばれるハーブティーのようなものから選ぶことが多く、紅茶を含むお茶類が選択肢に入ることはほとんどありません。

スーパーに行っても緑茶はおろか、紅茶のティーバッグを探すのに一苦労します。売り場面積は、コーヒーが10だとするとホットチョコレートが7、アロマティカを含むお茶売り場は2程度です。

異なる点5:芋とバナナの存在感が圧倒的

肉と同じくらい、芋とバナナは毎日のように食べます。芋の種類がとても豊富なのは日本と同じですが、食べる芋の種類が違います。


ジャガイモは、日本だと主に男爵かメークインか、くらいですが、コロンビアの八百屋さんやスーパーに行くと、最低3種類は並んでいて、料理や調理法によって使い分けます。

また、「ユカ」と呼ばれるキャッサバ芋もメジャー。一方で、里芋、さつまいも、山芋はありません。

「プラタノ」という、加熱用バナナも、付け合わせとして非常によく食卓に上ります。油で揚げていることが多いですが、煮込みに入れたりオーブンで焼いたり蒸したりと、調理方法は本当に様々。ほのかに甘くて、プラタノに馴染みのない日本人にとっては、さつまいものような感覚です。

ちなみに、日本にあってコロンビアにない野菜は他に、大根、ごぼう、かぶ、小松菜などがあります。

まとめ

以上、「コロンビアと日本の、食文化の比較」でした。

どうしても、日本と違う点ばかりに目が行きがちですが、意外な共通点があるのがおもしろいところです。

コロンビアは、日本の3倍の面積を誇る国。地域によって食べているものが違ったり、また同じものでも食べ方や調理方法が異なったりすることもあると思います。まだまだ奥が深いコロンビアの食文化、また少しずつ、開拓していきたいと思っています。

本記事は、2020年8月25日時点調査または公開された情報です。
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