【脱ハンコ行政】法務省がオンライン電子申請指定サービスに「クラウドサイン」を指定 (2020年6月)

法務省が商業・法人登記のオンライン申請について、脱ハンコ行政を目指し、「クラウドサイン」という無料サービスを使った電子申請書での提出を認めました。

今回「クラウドサイン」について追加された内容について解説します。


テレワークの普及で注目されている、脱ハンコ化・電子申請化の動き

政府主導で進められてきた働き方改革や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、日本社会全体でテレワークへの移行の動きが盛んになっています。

テレワークになった場合、課題の一つとなっているのが、証明書や申請書などのハンコが必要な書類の処理をどのように進めるのかという点です。

そこで、法務省は「商業登記・法人登記」の分野で、各地の法務局の窓口に行かなくても申請できる、オンライン申請のシステムを構築しつつあります。

今回は、法務省がオンライン申請で利用可能としているサービスのうち、2020年6月に新しく指定されたサービス「クラウドサイン」について取り上げます。

▼参考URL:クラウドサイン|法務省が商業登記に利用可能な電子署名サービスにクラウドサインを指定
https://www.cloudsign.jp/media/20200615-syougyoutouki/

法務省が新たに指定したのは「クラウドサイン」で作成した電子証明書

2020年6月15日に、法務省のホームページ「商業・法人登記のオンライン申請について」が一部更新されました。

その更新内容は、商業・法人登記をオンライン申請したい場合に、弁護士ドットコム株式会社が提供している「クラウドサイン」というサービスを利用した電子証明書が使えるようになった、ということなどです。

ただし、「クラウドサイン」で作成した署名が使える電子証明書の形式は、サイバートラスト社が提供している「iTrust」というサービスで作成したものに限ります。

▼参考URL:サイバートラスト社|プレスリリース:電子契約サービストップシェアの「クラウドサイン」が サイバートラストの「iTrust」を採用
https://www.cybertrust.co.jp/pressrelease/2020/0610-cloudsign-itrust.html

そもそも「商業・法人登記」とは? – 会社の住民登録のようなもの

今回オンライン申請できる例として取り上げている「登記」とはそもそもどのようなものなのかを解説します。

「商業・法人登記」とは、法務省の下部組織である全国の法務局の「商業登記簿」に、会社の情報を記載する手続きのことを意味しています。


この「登記」をしなければ、会社として認められないので、注意が必要です。

登記簿には、 会社の名前である「商号」、会社の事業内容を書く「目的」、そして本社の住所を示す「本店所在地」や、「役員」、「資本金」などを登記します。登記した内容に変更がある時には、「変更登記」が必要です。

登記の手続きは、オンライン申請が可能になる以前は、必要な書類を持って、決められた期間内に、法務局の登記所へ届け出ることが必要でした。

しかし、今では必要な書類を準備し、法務省指定のサービスを利用すれば、法務局に行かなくても申請することが可能になりました。

オンライン申請の詳しい方法や、利用できるサービスについては、法務省のホームページでご確認ください。

▼参考URL:法務省「商業・法人登記のオンライン申請について」

「クラウドサイン」でできることとは?法務省認定の鍵は「電子署名」の信頼性

「クラウドサイン」を利用した電子申請で新たにできるようになったことについて説明します。

「クラウドサイン」では、新たに、商業・法人登記の手続きのうち、添付書類が求められる手続きについても、オンライン上で、迅速に完結させることが可能になりました。

例えば、添付書類として取締役会議事録や契約書面等の電子ファイルを提出する場合に、「クラウドサイン」を使用して署名をしておけば、その書類をそのまま添付書類として提出できます。

登記の手続きにもさまざまな項目があるのですが、特に「本店移転」や「株主名簿管理人の設置等」、「株式の発行」、「新株予約権の発行」などの手続きについては、添付書類が必要であり、書類には取締役全員の署名が必要と決められています。

その署名集めの作業には、紙の場合はもちろん、オンラインではなおさら手間もコストもかかるため、電子化はあまり進んでいませんでした。

手間もコストもかかる要因として、電子署名が間違いなく取締役達本人のものだと証明する技術について、確立できているサービスがあまり無かったことがあります。

そのため、「クラウドサイン」などの、法務省指定のサービスを利用していない電子署名が記載されている契約書などについては、法務省に提出する際に、もう一度取締役全員の署名を集め直す必要があります。

さらに、窓口申請でなくオンライン申請の場合は、その署名が本物だと証明する作業も必要でした。

しかし、「クラウドサイン」のサービスでは安全に、信頼性を担保した上で、低コストでの署名の電子化を実現したので、既に「クラウドサイン」を利用して署名された議事録や契約書がそのまま提出できます。


法務省はこの信頼できる技術を認め、「クラウドサイン」を商業・法人登記でも使用できるサービスとして、既に指定されていたサービスに追加して、指定したようです。

一部、「クラウドサイン」が対応していないケースもあるのでご注意を

法務省によると、添付書類の作成者が代表取締役ではない場合に、「代表権を持つ取締役になる際の就任承諾書」「代表権を持つ取締役を変更する際、新しい代表者を選任したことを証する書面」の署名については、「クラウドサイン」を使って署名されていてもそのまま提出はできません。

これまで通り、別途、印鑑証明書の提出や、電子署名か紙での署名の集め直しが必要とされています。

このケースは限定的なものですが、詳しくは法務省のホームページなどでご確認ください。

まとめ

このページでは、法務省が新たにオンライン申請でも使える電子署名サービスとして指定した「クラウドサイン」について取り上げました。

日頃から「クラウドサイン」など、法務省が指定するサービスを使って書類を作成している事業者であれば、オンライン申請の際にそのままその書類を添付書類として使えます。

一方で、法務省の承認が無いサービスでの電子署名を使っている場合、署名を新たに集め直したり、新たな添付資料が必要なことがあり、手間やコスト面を考えると「クラウドサイン」などの指定サービスについて知っておくことが大切かと思います。

オンライン申請についてはどのようなサービスが法務省を始め行政機関に指定されているのか、日々更新もされていきます。法務省が管轄する手続きについては、法務省のホームページや、各地の法務局に、それ以外のオンライン手続きについても各省庁のホームページで最新の情報を確認することをお勧めします。

本記事は、2020年9月14日時点調査または公開された情報です。
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