【日本の行方不明者は年間8万件】日本で発生している「行方不明」の傾向と、増加する子どもの誘拐事件について(2020年11月調査)

日本の行方不明者数は過去10年間、ほぼ横ばいで推移しているものの、9歳以下の子どもについては10年前より増加しています。また、子どもが犯罪被害に遭う件数は減っていますが、誘拐被害に遭う件数は増加しています。子どもの誘拐が増えている現状を解説します。*本データは2020年11月調査時点の情報です。


日本の行方不明者についてのポイント

1) 行方不明者数は10年間よこばいの8万件
2) 70歳以上で「認知症」等が原因の行方不明者が増加中
3) 行方不明者のうち、みつかっているのは約86%
4) 日本の子どもの誘拐が増えている(アメリカでは桁違いの子どもが行方不明)

*本データは2020年11月調査時点の情報です。

警察庁が発表している「行方不明者の状況」。10年間ほぼ同じ傾向。

行方不明者の推移
出典)警察庁|行方不明者

警察庁は毎年、日本国内での「行方不明者の状況」を発表しています。その報告書によると、行方不明者の人数は、約8万件で、過去10年間ほぼ横ばいで推移しているようです。

年齢別に見てみると最も行方不明者数が多いのは、20歳代ですが、近年では70歳代以降が増加傾向にあるようです。

▼参考URL:警察庁|行方不明者(外部サイト)

高齢者の「行方不明」の原因で多いのは「認知症」

70歳代以上の「行方不明者」が増加している原因として、最も多いケースが「認知症」を患っているケースです。行方不明者全体の20%が認知症か、その疑いによる症状によって、行方不明になったと認定されています。

人口10万人あたりで行方不明者の割合が多いのは20歳代と10歳代

2018年(平成30年)の人口10万人あたりの行方不明者数は、20歳代が147.6人と最も多く、次いで10歳代が145.3人と特に若い世代に多いことがわかります。

そして9歳以下の子どもについては10万人あたり12.1人でしたが、全国の総数では1,216人もの子どもたちが行方不明になったと発表されています。

そのうち、ほとんどの方は発見されているようですが、それでも日本国内の9歳以下の子どもの「行方不明者数」は、2015年には10万人あたり8.7人だったところから、2018年には12.1人まで増えており、年々増加しているようです。

行方不明者の所在確認の状況は?⇒約86%は見つかっています。

日本の「行方不明者」の所在確認の状況について、警察庁の発表によると、2018年に「所在確認」されたのは約86%、「死亡確認」が4.5%、「その他」が9.4%でした。

「認知症」が原因で行方不明となった方に限定すると、約96%は発見されています。


行方不明者の所在確認等の状況 イメージ画像
出典)平成30年における行方不明者の状況について

子どもの「行方不明」と事件の数 ⇒ 1日3-4人が行方不明に

2018年に9歳以下が1年に約1200人も行方不明になっていることが統計情報からわかります。おおよそ1日に3〜4人行方不明になっているという計算となります。

子どもがいなくなる原因では、家族関係のトラブルが多く、具体的には家出や、置き去り、離婚した親や親族間による連れ去り、外出先ではぐれてしまう、などがその例です。

2018年の子どもの「誘拐」の被害件数は110件

一方で、13歳未満の子どもが「略取誘拐」の被害者となった件数は、2018年に110件にのぼっています。

子どもが被害者になる犯罪件数全体は減少しているものの、誘拐の被害に遭う件数は増えているようです。

子供(13歳未満)の被害件数及び罪種別被害状況の推移(平成21~30年) イメージ画像
出典)子供の安全を守るための取組

【日本と比較】世界の子どもの「行方不明」「誘拐」の状況

世界では、日本よりも子どもが誘拐などの犯罪に巻き込まれるケースが多い国もあり、問題になっています。

例えば、アメリカでは1日あたり2,000人の子どもが行方不明になっているという統計もあるということで、13歳未満の子どもの一人歩きは、たとえ昼間であっても禁止されています。

もし子どもを1人にさせると警察に通報され、親は何かしらの刑罰を受ける事になるので、注意が必要です。

▼参考URL:中国新聞|米国 子の誘拐や不明 絶えず
(https://www.chugoku-np.co.jp/reporter/article/article.php?comment_id=5215&comment_sub_id=0&category_id=195)

ベトナムでは組織的犯罪による誘拐から子どもを守るよう、警察が学校に通達

また、ベトナムでは、近年、中国国境地域の街で臓器奪取を目的とした誘拐が相次いでいることから、警察が地域の小学校などに警戒を促す文書を送付しています。ベトナム警察当局によると中国人犯罪グループによる犯行とみられるようです。

ベトナムでは特に1人でいる子どもがターゲットになりやすく、子どもを1人にしないよう呼びかけられています。

▼参考URL:SMGネットワーク(中国における臓器移植を考える会)|ベトナムの中越国境で臓器目的の誘拐、現地警察が警告(外部サイト)

まとめ - まだ世界に比べると安全な日本ですが、子どもの誘拐の増加に注意

このページでは日本国内の「行方不明者」の状況とその原因、年齢別の状況についてご紹介しました。

認知症による高齢者の行方不明者数は増えていますが、ほとんどの方が行方不明届を受理された当日か、数日以内には所在確認されており、警察の捜索や対策の呼びかけ等がうまく機能していることがわかります。

また、行方不明の原因として「誘拐」の被害件数が増えている子どもの状況を、世界の国々の状況と併せて解説しました。

日本では、世界の国ほど子どもの1人歩きが禁止されていることも無く、それによって犯罪に巻き込まれたりすることはまだ少ない状況と言えますが、それでも子どもが「誘拐」される件数や、「行方不明」になる件数は増加傾向にあります。


日本でも、子どもを犯罪から守るため、「行方不明」にさせない工夫が必要な時代になってきているようです。警察や行政の対応とあわせて、個々人の予防・対策についてもより考えていく必要がありそうです。

TwitterなどのSNS上での話題や関連情報(2021年12月15日まとめ)

2021年12月13日の「週刊女性」で、『年間1000人以上の子どもが消えている!「ミッシングチルドレン」親たちの苦悩』として取り上げられ、Yahooニュースにも掲載されるなどされました。このテーマの関心が高まっていくことを期待しています。

以下、その反響などについてまとめてみました。(2021年12月15日)

 

訂正とお詫び

誤)アメメリカ
正)アメリカ

訂正してお詫び申し上げます。 (訂正日:2023年8月4日)

本記事は、2020年11月20日時点調査または公開された情報です。
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第一回 公務員川柳 2019

公務員総研が主催の、日本で働く「公務員」をテーマにした「川柳」を募集し、世に発信する企画です。

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