新聞発行部数の推移。過去最高の発行部数を記録したのは1997年の5376万部。
2021年末に公表された日本新聞協会の最新データによると、2021年の総発行部数は約3300万部で、そのうち一般紙の発行部数は3000万部割れ寸前まで落ち込んだことが明らかになりました。
新聞が過去最高の発行部数を記録したのは1997年の約5376万部でした。2000年代に入ってからは減少傾向が続いており、2020年には1年に240万部が減少するなど、急速に減少が続いています。
新聞の発行部数が3000万部に到達したのは。高度経済成長期の1966年でした。あと数年で、高度成長期以前の発行部数に落ち込むと予想されています。
特に「夕刊廃止」の動きが止まらず
2021年のデータによると、朝夕刊セット部数の合計は648万4982部で、前年比較10.6%減でした。これに対し、朝刊単独の部数は2591万4024部で前年の4.2%減、夕刊単独の発行部数は62万8129部で、19.0%減でした。特に夕刊離れの影響が数字に現れていることがわかります。
このような流れを受けて、特に地方紙では夕刊廃止の動きが目立ってきているようです。地方紙の夕刊では広告がほとんど入らないことに加え、配達員不足もあり、多くの新聞社で夕刊を維持できる機能が無くなっています。
主な夕刊廃止の動き
主な夕刊廃止の動きについても、ご紹介します
※「◎」マークは、地方紙よりも発行エリアの狭い「地域紙」と呼ばれるジャンルであり、もともと夕刊しか発行していなかった新聞です。
◎根室新聞(北海道)
◎千歳民報(北海道)
◎両毛新聞(栃木県)
◎近江同盟新聞(滋賀県)
熊本日日新聞(熊本県)
東奥日報(青森県)
山陽新聞(岡山県)
徳島新聞(徳島県)
高知新聞(高知県)
大分合同新聞(大分県)
岩手日報(岩手県)
秋田魁新報(秋田県)
岐阜新聞(岐阜県)
◎岡山日日新聞(岡山県)
中国新聞(広島県)
沖縄タイムス(沖縄県)
琉球新報(沖縄県)
▼参考URL:東洋経済オンライン|昨年も180万部減、全然止まらぬ「新聞」衰退の末路「毎日」「産経」規模の部数が毎年消失している(外部サイト)
アメリカでは多くの地域が「ニュース砂漠」の状態に
日本に先立って、アメリカではすでに全3143郡のうち、新聞がないか、週刊の新聞が1紙しかない地域が1753郡あり、国内の郡全体の半数を超えています。
新聞の廃刊は、その地域の住民の投票率の低下傾向や、高貧困率、低い教育水準などと関連するとのデータがあるため、社会問題化しているようです。
日本新聞協会とは?
日本の新聞の発行部数をまとめているのが、「日本新聞協会」です。
日本新聞協会は、全国の新聞社・通信社・放送局が倫理の向上を目指す自主的な組織として、戦後間もない1946年7月23日に創立されました。事務局を東京都千代田区内幸町に置いています。
また、神奈川県横浜市中区日本大通の「横浜情報文化センター」内で、ニュースパーク(日本新聞博物館)を運営しています。
日本新聞協会の主な活動内容は以下の通りです。
- 新聞倫理の向上
- 調査・研究
- 広報
- 教育・交流
- 企画・イベント
- ニュースパーク(日本新聞博物館)の運営
- NIE(教育に新聞を)の推進
▼参考URL:日本新聞協会(外部サイト)
実際に配達されている新聞は半分程度?「押し紙問題」とは。
発行される新聞のうち、実際に契約している世帯に配達される「実配部数」に「予備紙」を加えた部数が、新聞販売店の必要な部数と考えられており、それ以上の新聞は「押し紙」と呼ばれています。
予備紙の割合は、かつては新聞業界で「2%」と定められていたようですが、現在はそのような規定は無くなっているといいます。
「押し紙」は現在では新聞社が新聞販売店に仕入れを強要した新聞という認識が強いようですが、かつて、新聞の折り込み広告が盛んだったバブル時代には、発行部数が多ければ多いほど広告収入が増えるという仕組みになっており、「押し紙」は新聞販売店にとっても、新聞社にとっても歓迎される存在でした。新聞販売店は「押し紙」を引き受ける度に儲かっていた過去があるようです。
現在では、広告収入も減り、押し紙を引き受け、残紙となった場合の負担は新聞販売店が引き受けなければならない構図があります。
2020年に読売新聞が提訴された「押し紙裁判」では、5割近くが「押し紙」で残紙となっているケースが発覚し、注目されました。
▼参考URL:ビジネスジャーナル「「押し紙」で読売新聞を提訴、元販売店主…供給部数の5割が“残紙”、業界の闇が明るみに」(外部サイト)
まとめ
このページでは、止まらない新聞の発行部数の低下についてご紹介しました。
新聞の発行部数は、1997年のピークを境に年々減少し、ついに高度経済成長以前の3000万部を割り込む寸前まで迫ってきています。
主要メディアの一つである新聞がこのまま衰退していくのか、注目されています。
本記事は、2022年2月2日時点調査または公開された情報です。
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