※この記事は2021年12月に作成されたものです。
民主化で分裂が進むロシア
ロシアやアメリカのように連邦制をとる国は、いくつかの国や州などが集まって、1つの国を形成しています。広い国土を有するロシア連邦は、共和国や州など88の構成主体からなる連邦国家で、そのうち22主体が旧ソ連崩壊後に独立した共和国で構成されています。
ロシアは旧ソ連時代も連邦国家でしたが、ソ連時代の地方政治は中央政府の決定に従っていたのに対し、現在のロシアでは地方独自の政治をある程度認め、共和国になると独自の公用語や憲法を持つことができるようになっています。
このようにロシアの各構成主体が独自の憲法で政治を行えるのは、ロシアの民主化が進んだ一例といえます。しかしその反面、地方政府がロシア連邦政府から完全に離脱してしまう危険性もあると言えます。
ロシアが恐れていること
ロシアの民主化をきっかけに、バルト三国(エス トニア・ラトビア・リトアニア)は独立後すぐ、ロシア連邦政府から離脱し、N A T O及びE U加盟国となり、ロシアにとっての脅威になってしまった過去があります。
今回ロシアがウクライナ東部で軍隊を増強しているのには、将来ウクライナがバルト三国のようにE Uに加盟して、ロシアが西側諸国との緩衝地帯を失うのを恐れ、牽制しているといわれています。
2014年に起きたクリミア侵攻と呼ばれる事件も、ウクライナ国内に住むロシア系の住民とEU推進派の住民との衝突がきっかけで、結果としてロシア系住民の多く住む、ウクライナ南部のクリミア半島をロシアが掌握する形となりました。
今回も8年前と同様、ロシア派の住民とEU派の住民の国内紛争が起こっています。ウクライナは独立以来ずっと、ロシア寄りかヨーロッパ寄りかで、常に揺れ動いてきた国です。ロシアはそんなウクライナ国内の統治がうまくいっていないことを利用して、軍事的緊張を装い、N A T Oの東側への勢力拡大防止を試みているだけなのかもしれません。
まとめ
ロシアとウクライナの関係は今後どのような形で決着に向かい、ロシアがどのような道を辿るのか、注目していきたい問題です。
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