【目指せ!男性保育士】現役男性保育士に保育士の仕事インタビュー

地方公務員「保育士」の仕事について、3年働いたMさんに仕事でのやりがいや大変だったこと、なるまでのエピソードなどをインタビューしました。男性保育士ならではの視点もあり、男性で保育士を目指す皆さん、必読です!


この仕事「保育士」を選んだ「きっかけ・理由」を教えてください

私は中学や高校の学校生活がすごく苦痛で生きづらさを感じていました。つらいことがあっても担任の先生たちは助けてくれませんでした。

高校3年生の頃に、同じような気持ちの人を助けたい、支援したいという思いが湧いてきました。そこで大学では人間科学で心理学や教育学を勉強して児童福祉に携わっていきたいと思うようになりました。ただ、具体的にどのような仕事をするのかはまだわかっていませんでした。私の卒業した大学では卒業と同時に保育士資格は取得できませんでした。その代わりに児童指導員任用資格を得ました。

最初に勤めたのは某市の子ども家庭支援センターでした。そこでは一時預かりで子どもたちを預かり、そこで私も保育にあたりました。ベテランの保育士さんもいて関わり方がすごい上手だなぁ、プロだなぁと感じ、私も保育士になってその人のようになりたいと思うようになりました。最初の思いも大切にしながら保育士としてキャリアを積んでいきたいと思ったのが保育士になったきっかけです。

もし、他の仕事を選べたとしたら、どのような道を選びますか?

2つ候補があります。

まず1つは医療系の仕事です。やはり給料が高いというのと専門職であるというところに魅力を感じます。例えば理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、薬剤師、こういった仕事をしてみたいです。私は人から「ありがとう」と言ってもらえる仕事がしたいと思っています。

保育士ももちろん言ってもらえる仕事なのですが、生活を考えた時に給料が低くてやっていけないというのが正直なところです。その点で言うと医療系の仕事は、給料は平均かそれより上くらいで、人に接し専門性を活かしてその人の支援ができる点が魅力的に感じます。

2つ目は農業従事者です。

保育園で働いていると子どもたちの声で賑やかです。また、子どもたちを指導するために大きな声で「次はこれをするよ」などの声かけをしたり子どもたちの喧嘩の仲裁をしたり、送迎時には保護者と話したり、職員同士でもよくコミュニケーションを図っていかなくてはいけません。保育士は声を使う仕事なのです。たくさん話す仕事なので、時々ふと、誰からも何も言われない誰とも喋らなくてもいい仕事がしたいなぁと思うことがあります。

実家が米を作っている兼業農家だったこともあり、田んぼ仕事畑仕事も経験しているので大変さも理解しているつもりです。誰からも干渉されず黙々と仕事をしているのはいいなぁと思います。おそらく喋らないことが続くとやっぱり話す仕事のほうが楽しいと感じるのかもしれません。

保育士の資格取得や採用試験の勉強について教えてください

私は大学卒業の時に保育士資格を取得できませんでした(4年後に入学してきた学生からは保育科ができたので、そのカリキュラムで講義を受講し単位を取得していくと卒業と同時に保育士資格を取得できるようになったみたいです)。

私が持っている資格は児童指導員任用資格のみでした。この資格は国家資格ではないため、保育の仕事がしたいと思っても求人をみると必須の資格に「保育士」と書いてあり、当時やってみたい仕事があっても保育士資格を持っていないことで諦めていたということがありました。そこで働きながら国家試験で保育士資格を取得することを目指しました。


当時は介護の仕事でデイサービスセンターに勤務していました。

働きながら資格を取得するのは大変だと思いましたが挑戦することにしました。最初は本屋に売っているような本を利用して、独学で勉強していました。そして試験を受けてみたのですが2科目しか合格しませんでした。あとの5科目は不合格でした。この結果、2年間は有効だということでした。

次の年に受験する時は合格した2科目は免除になるというシステムでした。ですので、次の年でどうしても合格しないと、また合格した科目を勉強し直さなければいけなくなります。それはいやだったので次の年で必ず受かるようにどうすればいいかを考えました。やはり独学では厳しいかなということは常々思っていました。そこで第一学院の保育士コースを受講することにしました。簡単に言うと国家試験で保育士資格の取得を目指す人の予備校のようなところです。そこは水曜日の夜と土曜日の13時頃からと週に2回講義がありました。

水曜日は座学で科目の勉強で、土曜日はピアノや絵画、素話などの実技試験の対策の講義でした。幸い当時の仕事は残業がほとんどなく毎日定時で上がれていたため、水曜日と土曜日もばっちり毎回講義に参加することができました。

講義以外の日は朝は5時に起きて出勤前に1時間ほど勉強して仕事が終わった5時半以降はカフェに行き2時間ほど勉強するような生活をしていました。テキストも第一学院の指定のテキストで非常にわかりやすいものでした。講義お教室では顔見知りになり、親しく話すような人もできて、保育士試験や勉強についてあれこれ話ができて私が知らないことも教えてもらえていい刺激になったのと同時に同じ志を持って保育士試験に望む仲間ということでだいぶ勇気付けられました。

またカワイのピアノ教室にも月3回通い、実技試験対策をしました。

採用試験の勉強については東京アカデミーの通信講座を利用しました。車で30分くらいのところに校舎があり、通学もしようと思えばできるのですが、私立保育園で働きながら勉強するのは思った以上に大変で、残業もたくさんあり、通学は厳しいと判断して通信講座にしました。申し込みをするとテキストと模擬試験の用紙が送られてきました。テキストも分厚く、各自治体の出題頻度や傾向などがよく研究されていて網羅されているので、このテキストを勉強すれば合格するだろうという気持ちになりました。

私は保育士資格取得時と同じように朝5時に起きて1時間程度、帰宅してから1時間程度勉強していきました。

保育士の仕事をやっていて良かったと思うことを教えてください

いくつかありますが、やはり1番は子どもたちに「M先生好き」と言われることです。迎えの時などに保護者と話していると「家でM先生が好きって言ってるんですよ」と話してくれたりすると嬉しくなります。

また、連絡帳に「こういうことで悩んでいます」と書いてあったので迎えの時にいろいろ話を聞いてみました。家での様子を聞いたり、保育園での様子を話したりしました。私はまだ勉強不足でこういう時にこうしたほうがいいですよというアドバイスはできません。ただ、一緒に悩んだり考えたりすることはできます。それに保育士が上から一方的に解決策を提示するのは違うような気がするのです。いろいろ話を聞いてその日は「ありがとうございました」と帰ってきました。翌日の連絡帳をみるとそこには「先生ありがとうございました。話を聞いてもらえてすっきりしました。」と書いてありました。

私はあまり役に立ってないという気持ちもありましたが、悩んでいるお母さんに少しでも貢献できたのかなと思うと嬉しくなり、この仕事をしていてよかったなと感じました。

保育士の仕事をやっていて大変だったことを教えてください

どの会社や組織にも派閥はあると思います。私の勤めている保育園にも当然あります。固定化された外勤ではなく、ずっと同じ場所で働く職種の職場なのでどうしても陰口や悪口を言ったりするのを耳にします。

もちろん自分も言われているのだろうなぁとも思います。表面上は職員みんな仲良く仕事をしているように見えますが、裏では「あの先生とは同じクラスで組みたくない」というのがあります。

グループを作ってその中にいる人は攻撃対象になりませんが、そうでない人で目立った行動をする人、失敗してしまった人に対して同じグループの職員で固まって悪口大会が始まっています。私も言われているほうだと思うのですが、言われるのも他の人が言われているのを聞くのも非常にいやな思いをします。どこの職場でも人間関係はつきものだと思います。特に保育園は男性保育士が増えてきているという中でもまだまだ女性の職場ですので陰口、悪口、愚痴が充満している雰囲気を感じます。

男性保育士として家族や親しい友人の反応はどうでしたか?

家族は賛成してくれて応援してくれました。給料についても現時点で年収300万円あればいいほうではないかという父からの意見でした。また、奥さんが保育士になりたかったそうで(奥さんは工場勤務です)、保育士をしている私を認めて応援してくれて、お付き合いし、結婚するに至った理由も私が保育園で保育士をしているということも影響しているようです。


友人も「大変じゃない?」と言いながら愚痴を聞いてくれたり相談に乗ってくれたりするのでとても助かっています。

保育士の仕事の「やりがい」とは?

子どもたちに絵本を読んだりすると反応が直接返ってきたり、一緒に歌ったり踊ったりすると保育って楽しいなぁ素敵な仕事だなぁと感じたりします。また年度末に保護者から手紙をもらって「先生のおかげで~」という言葉を見た時に、大変だったけどそういう風に言ってもらえてよかったと感じ、やりがいを感じます。

また子どもの成長の側にいられるので、昨日できなかったことができるようになると自分のことのように嬉しくなり、これもやりがいを感じる1つです。

「保育士」を目指している方に向けて、メッセージをお願いします

保育士は大変なことも多いですが、やりがいもたくさん感じる仕事です。かわいい子どもたちに囲まれて保育する楽しさを感じてもらえたらと思います。園によって異なりますが残業が多いので、勤める保育園を決める際には十分に吟味してここで働きたいと思えるような保育園に出会ってほしいと思います。

本記事は、2017年7月9日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

気に入ったら是非フォローお願いします!
NO IMAGE

第一回 公務員川柳 2019

公務員総研が主催の、日本で働く「公務員」をテーマにした「川柳」を募集し、世に発信する企画です。

CTR IMG