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おいしい給食届けます!「学校の給食調理員」のお仕事解説

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目次

色々な過程を踏まえて届く給食

主に保育所や幼稚園、小中学校や特別支援学校に出されている

給食とは、毎月決まった給食費を徴収した上で、その施設に通う生徒や児童に昼食として提供される食事の事を指します。

幼稚園ではお弁当の所もありますが、小学生になった時にスムーズに給食に移行できるように、もしくは働いている保護者が増えた事などから希望が多くなったなどの理由で、毎日もしくは週に何度か給食を提供している所も増えてきました。

全国の公立の保育所や小中学校では、ほとんどの所が給食となっています。また、通常の小中学校だけでなく、障害を持つ児童や生徒が通う児童福祉施設や、特別支援学校もほとんど給食が出されています。

給食は「単独調理校方式」と「共同調理場方式」がある

児童や生徒に提供されている給食は、調理されている場所によって「単独調理校方式」と「共同調理場方式」に分かれています。

単独調理校方式は、それぞれの施設に給食室が設けてあり、その施設に通所・通学している児童や生徒、教職員などの分を調理、提供している方式です。

共同調理場方式は、いわゆる給食センターと呼ばれる施設で、提携もしくは契約している施設の分だけまとめて調理、提供している方式です。委託炊飯方式とも呼ばれています。また、調理後は、施設に給食の配送も行っている場合と、配送業者に委託している場合もあります。

学校給食に関わる職種を見てみよう

学校栄養職員

学校栄養職員とは、主に小中学校に在籍している職員の中の一人です。

給食の目的は、育ち盛りの子供たちに栄養バランスの良い食事を提供するだけではありません。毎日同じ時間に食事を取る事によって正しい生活リズムを身に着ける、友人と一緒に食事を取る事によって、心豊かな人間関係の形成や食事のマナーを学ぶなどのなどの目的もあります。

学校栄養職員は、学校給食の管理や調理、提供、献立の作成や衛生管理を行っています。

栄養教諭

栄養士の資格に加え、栄養教諭の資格を持っているのが栄養教諭です。学校栄養職員と一緒に献立の作成を行う他、児童や生徒への食育指導を教員として行っています。

他にも、アレルギーを持っている児童や生徒を持つ保護者への個別の栄養指導なども行っています。


端的に言えば、学校栄養職員は学校給食の献立を考えたり、作ったりする側の職員であるに対して、栄養教諭は献立を考えるだけでなく、児童や生徒に食育の指導も行う教員です。

給食調理員

いわゆる「給食のおばさん」と呼ばれて生徒たちから親しまれている事も多い、給食の調理をメインに行っている職員です。学校栄養職員や栄養教諭の作成した献立通りに、給食の調理を行っています。また、学校栄養職員の指示通りに、調理場の衛生管理なども徹底しています。

今回は、この給食調理員の仕事について触れています。

給食調理員の一日を見てみよう!

給食が作られる流れと一緒に見る 一日のスケジュール

まず、出勤する前に自分自身に発熱や下痢などの体調不良がないかをチェックします。健康状態によっては感染症や食中毒などの危険性がありますので、出勤をせず、医療機関を受診します。

7:00 学校や給食センターなど、給食が作られる施設へ出勤します。出勤してからは、ま清潔な白衣とズボンに着替えます。手に傷がある時には、手袋をつけて作業に入ります。異物混入を防ぐために、ピアスやネックレスなどのアクセサリー類はすべて外します。

着替えが終わったら、手の消毒などを行い、自分自身の徹底した衛生管理を行います。

7:15 衛生管理や着替えが終わったら、次はその日に使う調理台やシンクなどの消毒を行います。

7:30 その日に使う食材が、業者から順に納品されていきます。消毒作業が終わったら、その日に使う食材の検品作業を行います。その日に使う食材はその日に届き、その日の給食で全て使い切ります。

また、自治体によっては子供たちに安心して提供できる食材か判断する為に、独自の食品安全基準を設けている所もあります。安全基準を満たしているのか、厳しくきちんと検品します。納品時間や数量、産地や納品業者が合っているのかどうかもチェックします。

また、食材によっては納品する温度が決められています。冷凍品は-18℃以下、肉・魚・練り製品は0~5℃、牛乳・豆腐・油揚げ類・めん類、デザートなどは0~10℃以内で納品しなければいけない、などです。この納品温度ではない食材は受け取れません。

また、実際に食材を調理する前に、保存食を採取します。保存食とは、およそ50gの原材料(肉や魚、野菜など)を調理せずに採取し、保存しておく事です。万が一食中毒や感染症が発生した時に、原因となった食材を特定する時に使用されます。また、保存食は―20℃以下の専用の冷凍庫にて、2週間ほど保管されます。

8:00 学校栄養職員や栄養教諭の作成した献立の通りに給食を作成する為の打ち合わせをします。食材の調理方法や切り方についても、学校栄養職員や栄養教諭から細かい指示があります。

8:10 打ち合わせが終わったら、実際の調理に入ります。調理には、学校栄養職員が現場に立ち会う事がほとんどです。

まず使う食材の下準備をします。まずは野菜をきれいに洗います。泥やごみなどの汚れをしっかり落とすだけでなく、残留微生物が残らないように、何度も水を変えて丁寧に洗います。レタスやほうれん草などの葉物野菜は根元を切ってから一枚ずつはがして洗い、きゅうりなどの凹凸の多い野菜は専用のスポンジを使って丁寧に洗います。

9:00 野菜などを切ります。スライサーと呼ばれる、大人数分の食材をまとめて切ることができる大型の機械を使う他にも、調理員が包丁を使用して調理法に合わせて切っていきます。


果物は、ひとり分の分量に合わせて包丁で切って、バットに並べて保管しておきます。

9:30 ここでいったん休憩が入る事が多いです。パート職員の場合には、この時間から勤務する人も多くなっています。

10:00 本格的な調理に入ります。味噌汁やスープなどの汁物、カレーやシチュー、スパゲティなどのメインは、「回転釜」と呼ばれる専用の大きな釜で調理をします。回転釜では、炒める、煮る、混ぜるなどの調理工程が行われています。

回転釜での調理の時に使うのは、人の背丈ほどもある大きな専用のへらを使用します。また、できるだけできたての状態に近づける為に、調理する時間を少しずつ調整しています。給食室の熱気もあり、大きなへらを使用しての作業は、とても重労働です。

肉や魚など、焼いて調理する物は、「コンビオーブン」と呼ばれる大型のオーブンを使用します。コンビオーブン専用のトレイに、食材をひとつずつ確認しながら並べ、コンビオーブンで一気に焼き上げることにより、大人数分の焼き物も調理できます。

コロッケやフライなどの揚げ物の調理は、単独調理校方式の場合にはフライヤーと呼ばれる専用の揚げる機械を使用します。ファーストフード店でフライドポテトを揚げる時にも使用されている、大きなバスケットの中に食材を入れて、そのまま油の中に入れて調理する機器です。給食センターなど、共同調理場方式では、ベルトコンベヤー式の大型のフライヤーを使用している事が多いです。

サラダや和え物に使用する食材も、基本的には全て加熱調理をしてからすぐに冷却しています。一度火を通すことによってより食中毒や感染症の予防にも繋がります。また、ドレッシングや和えるためのたれなども、配膳する直前に和えるようにしています。

大人数分の食事を作っている傍らで、アレルギーのある児童や生徒の為の、除去対応給食も作成しています。除去対応給食は、家庭用の小さなコンロで作っている事が多いです。万が一アレルゲンの食材を間違えて使用した場合には、食べてしまった児童や生徒がアナフィラキシーショックによって死亡してしまう可能性もありますので、慎重に、かつ確実に除去対応給食を作ります。

10:30 出来上がった給食を、クラスに運ぶためのバットに入れる配食作業に入ります。クラスの人数に応じて、分量や数を間違えないようにします。除去対応給食も配食します。

また、配食する時には、給食を実際に児童や生徒が食べる時間から逆算して、できるだけ出来立ての状態で届けられる様にします。

配食が終わってから、給食センターの場合には順次保育園や幼稚園、学校へ配送されていきます。

11:30~ 到着した給食は、まず全校児童や生徒が食べる30分前に、校長先生が検食し、安全な給食であるかを確かめます。校長先生は、検食後に異常がなかった事を毎回チェックして記録しています。

その後、子供たちがおいしい給食を食べます。

12:00 お昼休憩に入ります。学校の給食室や給食センターの職員も、作った給食を食べます。これは、児童や生徒と同じ食器を使い、同じ分量を食べますが、これによって食材の温度や固さ、大きさなどは適切かも確かめ、次の給食の献立作りや調理の際に生かしています。

13:00 子供たちが食べ終わって下げられたバットなどが、給食室や給食センターに戻ってきます。これらの洗浄作業や調理場の後片付けを行います。

15:00 洗浄作業や後片付け作業が終わる15:00には、パート職員は勤務終了になる事が多いですが、正規職員はこの時間、学校栄養職員や栄養教諭と今後の給食に関する打ち合わせなどを行います。一週間分まとめて打ち合わせをする所もあれば、翌日の給食の事だけ毎日打ち合わせをする所もあります。

打ち合わせでは、学校栄養職員や栄養教諭が、レシピに沿って調理方法の指導などを行います。

16:00 打ち合わせ終了後、勤務終了です。

給食調理員になるには?

雇用形態は様々ある

学校の給食調理員は、色々な雇用形態があります。まず、正規職員とアルバイト・パート職員両方がいます。


正規職員の場合には、市の職員として採用される場合と、給食センターなど自治体から委託されている民間の施設に採用されるパターンがあります。市の職員としての給食調理員は、地方公務員となりますので、自分が希望している自治体の公務員採用試験に合格した後に、配属される学校や施設が決定されます。

給食センターなど民間の施設への採用は、その施設の募集があった時に応募し、正社員として採用されれば働けます。一般企業の会社員という身分です。

アルバイト・パート職員の場合にも、市の臨時職員として自治体が募集しているパターンもあれば、民間施設が直接募集をしているパターンもあります。

調理師免許はあった方が良い

学校の給食調理員として働くには、特別な免許や資格などは必要ありませんが、調理師免許はできるだけあった方が良いでしょう。子供たちに安全・安心な給食を届ける調理員だからこそ、調理師免許がある人を採用したい、と考えられている場合が多いです。

ちなみに、学校栄養職員になるには栄養士の資格が、栄養教諭は栄養士に加えて教員免許も必要になります。

育児との両立もバッチリ!学校給食調理員のメリット・デメリット

子育てと両立しやすい!

学校給食調理員は、特に子育て中の女性からの人気も高い職種です。なぜなら、パート勤務なら9時~15時で残業もほとんどなく、土日休みに加えて、夏休みや冬休みなどの長期休みも学校に合わせて休みになりますので、子供と一緒の休みを取る事ができるからです。

子供のいる女性の多い職場の為、子供の急病や家庭の事情などでの休みに対しての理解も高く、まさに働きやすい職場といえます。

食についての関心が高まる

安全・安心しかも栄養分もバッチリの給食を調理する仕事ですので、自分自身の食に対する見分も広がります。将来、食に関係した仕事に就きたい方や、ゆくゆくは管理栄養士や栄養教諭を目指したい人が、給食に触れる仕事としても最適です。

デメリットは体への負担や、怪我をする事も

デメリットは、回転釜での作業や毎日大量の食材を運ぶなど、肉体労働的な側面があるので体への負担が大きい為、体力に自信のない方はこなせない仕事です。

熱気のこもる調理室では、夏は熱中症となる可能性もありますし、包丁で手を怪我してしまったり、やけどをしてしまったりもします。もちろん、これらは自分自身の注意によっていくらでも防げます。

やりがいもたくさん

自分の作った給食を待っている子供たちの為を考えると、やりがいも高い仕事です。子供たちからの「おいしい給食をいつもありがとう」の一言に、この仕事をやっててよかった!と思う方も多い仕事です。興味のある方は、給食調理員のお仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

本記事は、2017年9月3日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

憧れの職業から時事問題まで、母親と女性の視点から。子供達の成長と被災地復興を見守る「千谷麻理子」さんの執筆する解説記事・エッセイ・コラム記事です。

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