都道府県知事の仕事について
都知事、県知事、府知事、道知事など「都道府県知事」は、地方自治体の都道府県の首長であり、有権者の投票によって選出される各都道府県の地方自治行政におけるリーダーです。
ただ、都知事も大きく分けると県知事の一種類ですが、日本の首都であり、政治的にも経済的にも中心となっている本都市は、制度の運営としても、特別な対応が図られることもあります。
この、都道府県知事は大きく4つの権限を持っています。
知事の権限1「議会を解散する権限」
都道府県知事は、県議会が不信任決議をした場合10日以内に議会を解散する権限があります。
県議会とは、各都道府県に設置されている議会のことです。都道府県知事と県議会は、住民を代表する機関として対等な存在で、お互いに権力を行使することで円滑な議会の運営を行います。
知事の権限2「条例案への拒否権」
都道府県知事は、議会が可決した条例や予算を拒否・再審議する権限があります。
再審議を行った場合、県議員が3分の2以上で可決した場合はその条例や予算は確定します。議会に出席する県議員定数は、条例により人口に応じた上限が設定されていましたが、2011年の地方自治法改正により上限が撤廃されています。
知事の権限3「予算に関する権利」
都道府県知事は、必要な予算を決定して議会に提出する権利があります。
都道府県議会は、都道府県知事が提出した予算を元に審議・修正を行います。
知事の権限4「人事権」
都道府県知事は、知事部局職員の人事を決定する権利があります。
知事部局職員とは、知事部局で働く職員のことで、知事部局とは会社でいう部署のことです。知事部局には、総務局や環境局など各都道府県ごとに行政を行う上で必要な部署が置かれています。そして、都道府県知事は、知事部局職員の人事権があり、知事部局職員の任命から異動・昇進を行います。
知事のその他の権限
このほかにも公共施設の設置や管理、廃止をする権限や地方税を新しく作る権利などがあります。
知事と同県内の各市長の関係性
地方自治体は、各都道府県に都道府県知事が1名、都道府県知事の下には市長が1名いるという二層式で行政を行っています。
都道府県知事は、都道府県における行政の最高責任者であり、市長は市政の最高責任者です。都道府県知事と市長は、会議の議席などでは都道府県知事が上席扱いとなりますが、実質の立場は同等です。組織としての上下関係はなく、お互いが独立しており、地域の行政のために協力しあう関係です。
都道府県知事になるには?出馬の条件2つ
知事になるには、該当の知事選挙に立候補・出馬し、選挙で選ばられることでなることができます。
知事に立候補する条件1「日本国民であり満30歳以上であること」
都道府県知事になるには、まず選挙に出馬し当選する必要があります。選挙に出馬するための条件は、日本国民で満30歳以上であることです。
学歴や職歴は不問とされていますが、知事の場合、より多くの有権者からの得票を得る必要があり、得票を得るためには目に見える信頼として、職歴や実績が必要となります。
実際に都道府県知事に選出されている人の職歴や実績を見てみると、中央官僚出身者や元国会議員、県職員、県議会議員、市長など行政に携わった実績のある方が多いようです。とくに多いのは中央官僚出身者です。将来的に都道府県知事を目指すのであれば、まずは中央官僚や県・市の職員として行政に携わり、知識と実績を身につけるのが近道なのかもしれません。また、最近では元タレントやお笑い芸人という経歴を持つ方が都道府県知事に立候補するパターンも増えています。
知事に立候補する条件2「供託金を準備できること」
そして、選挙に出馬するための重要な条件として「供託金」があります。供託金とは、選挙に出馬する際に選挙管理委員会に預けるお金のことで、不必要な出馬の乱立を避ける目的で行われています。都道府県知事の供託金はおおよそ60万円程となっており、選挙で一定数以上の得票を得れば預けたお金は返金され、得票数が下回ってしまうとそのまま没収となります。
知事になるための選挙にはお金がかかる
これ以外にも選挙に出馬するためには、選挙を手伝ってもらう人への人件費、選挙事務所を借りるための家賃、宣伝用のチラシやポスターのための印刷費、選挙カーの看板やたすきのための広告費、選挙スタッフへの食費などあらゆる方面でお金がかかります。多くの候補者は、ボランティアスタッフを募ったり友人や家族に手伝ってもらうことで費用を節約していますが、それでも100万円以上ものお金がかかると言われています。
都道府県知事の任期は原則4年
都道府県知事の任期は4年と定められていますが、選挙に出馬・当選すれば再任することができます。
1度の当選は1期目と呼ばれ、再任した場合2期目の当選と数えられます。都道府県知事は何度でも再任することができ、過去には1963年から1994年まで8期連続31年間知事を勤めた中西陽一石川県知事もいます。
都道府県知事は、基本的には4年間の任期中は職務を行いますが、住民からリコールされた場合は4年未満でも解任されることもあります。リコールとは、解雇請求のことで、住民の3分の1以上が選挙管理委員会に申し出た場合、住民投票にて解雇するか否かを決定します。なお、住民投票にて住民の過半数が賛成されると都道府県知事を辞職しなければなりません。
また、都道府県知事は、国会議員と兼職することができず、仮に都道府県知事の在任中に国会議員選挙に出馬した際は、その時点をもって都道府県知事を解任されます。
都道府県知事の給料は?退職金はある?
都道府県知事の給料は、各都道府県により異なりますがおおよそ月収70~150万円程です。
東京都知事は条例により給料が月額145万6千円に年2回の期末手当が支給され、年収にすると2900万円程です。このほかにも調査研究などに充てられる政務活動費や、交通費などの手当も支給されています。ほかにも交際費も認められており、舛添要一元都知事は香典として74万円を支出しています。こうしてみると都道府県知事は高給取りのように見えますが、これらの月収は手取りではなく、ここから住民税や所得税、年金や健康保険の保険料などが引かれるほか、4年に1回行われる選挙に向けて選挙活動費を積み立てるなど常に支出は絶えず、これだけの給料を受け取っていながら貯蓄ゼロという知事もいたそうです。
また、退職金は任期となる4年に1度支給され、その額は「給与月額×在職月数×支給率」にて支給されるため、およそ3500万円程と言われています。2011年には大阪府知事を務めた橋下徹元知事が条例改正により、退職金を既定の3分の1である1257万円までに減額することで47都道府県知事のなかで最低額となる退職金を受け取ったことで話題を集めました。
一般のサラリーマンが定年のタイミングに退職金が支払われますが、都道府県知事の場合は任期となる4年に1度のタイミングで退職金が支払われるため、2期、3期、4期と続けばその度に退職金が支払われます。都道府県によっては知事に判断で退職金の減額が行われているほか、岩手・宮城・群馬・静岡・山梨・長野・滋賀の7県では知事の退職金がカットされています。
都道府県知事の退職金が高すぎるという世論もある一方で、あまりに低額であると優秀な人材が都道府県知事を目指さなくなるという意見もあるようです。
まとめ
今回は都道府県知事の仕事や役割についてご紹介しました。
都道府県知事は、国と市町村をつなぎ、市単体ではできないことを県としていくつかの市町村をまとめて実現するなど、政策におけるリーダーシップを問われるポジションです。
都道府県という市町村自治体を取りまとめる地方自治リーダーである都道府県知事になるには、市町村以上に広い地域での支持を集める必要があります。自治体のリーダーを目指すのであれば、多くの住民に声を聞き、政策に反映することが必要です。
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