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【アメリカ州制度】エキゾチックな町並みのある州「ニューメキシコ州」解説

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ニューメキシコ州


アメリカとメキシコの国境にあるニューメキシコ州は名前の通り、もともとはメキシコの土地でしたが、アメリカとの戦争に敗れて手放した場所です。メキシコやスペインの文化が色濃く残り、エキゾチックな町並みは世界中の芸術好きを虜にしています。

アメリカなのかメキシコなのか錯覚を起こしてしまいそうになるニューメキシコ州ですが、歴史や文化は魅力的でユニークな州です。今回はそんなニューメキシコ州についてご紹介します。

目次

ニューメキシコ州の特徴

2018年現在、ニューメキシコ州の総人口は約208万人です。1970年頃から急激に人口が増え始め、現在でも増加を続けています。州民の大半はメキシコ、キューバ、プエルトリコなどを原点とするヒスパニック系が占めています。白人は40パーセント程度しかおらず、黒人は数パーセントです。また、インディアンの家系が10パーセントほどいることが特徴と言えます。

ニューメキシコ州は年間を通じて快晴の日が多く、年間350日は快晴が続き、恵まれた気候に加えて、広大な土地や多くの国立公園などあることから観光産業や、リタイア後に住む州としても人気があります。一方で、治安の悪さも問題とされており、観光客が多いサンタフェやアルバカーキなどの都市部では夜間の外出は控えることが推奨されています。

ニューメキシコ州はスペインやメキシコの文化に加えて、ネイティブアメリカンの文化も混ざっているため「誘惑の地」と表現されることがあります。その背景には街そのものが美術館のような作りになっているサンタフェや、世界遺産にも登録されている赤褐色のアドビ煉瓦の複数階住居「タオス・プエブロ」、東京都の3分の1ほどの面積が白い砂丘の「ホワイトサンズ国立モニュメント」などがあります。

他にも世界最大級の鍾乳洞や、800を超える4階建ての住居の遺跡「プエブロ・ボニート」など、貴重なプエブロ・インディアン文化が現存しています。このようなエキゾチックな雰囲気は世界中の芸術家を引き寄せ、サンタフェやアルバカーキでは住人の6人にひとりが芸術家とされているほどです。

1947年に「UFOが墜落した場所」としてロズウェルという小さな町が注目されます。確かな証拠はないものの、軍人のインタビューや当時の新聞などがまことしやかにUFOや宇宙人を回収したと報道したため「嘘から出たまこと」として世界中に広まりました。これを機にニューメキシコ州は一役有名になり、この一件は「ロズウェル事件」として世界で最も有名なUFO事件となりました。

この他にもニューメキシコ州が名前を知られるようになった出来事のひとつとして核兵器開発があります。広島に原子爆弾が落とされる約1ヶ月前の1945年7月16日にニューメキシコ州北部のロスアラモスで原子爆弾が設計、製造されました。さらに、同州のホワイトサンズ実験場内の砂漠で核実験が行われ成功し、同型の爆弾は広島に落とされることになりました。

現在でもニューメキシコ州にあるインディアン保留地には核実験で発生した核廃棄物が格納されており、インディアンはアメリカ政府にうまく利用される反面、多額の助成金を受け取り生活できているという関係が続いています。アメリカの核開発に関わるニューメキシコ州は「国家の犠牲地域」と言われています。

このようにニューメキシコ州はメキシコやスペインとアメリカの文化が混ざり合う特殊な場所として多くの人を惹き付ける一方で、アメリカの核開発拠点であり、インディアンが犠牲になっているという事実もあります。

ニューメキシコ州の歴史

ニューメキシコ州は、1912年にアメリカ合衆国47番目の州になりました。おおよそ2万5千年前に先住民族のサンディア族が生活していたと考えられています。1世紀頃には後にプエブロインディアン文化を築くことになるアナザシ族が移住してきています。


ニューメキシコで生活していたインディアンの文明は非常に発達しており、当時から高い外壁を設けた住居で生活していました。これらは同州のサンタフェに遺跡として現存しており、いまもなお人が生活しています。

1500年初頭、スペイン人探検家たちによって遠征隊が編制され、この地に存在すると噂された黄金の七都市を見つけようと旅していた際に、非常に高い文明を持っていたインディアンと接したことが先住民族と白人の初めての接触とされています。その際に、この土地はニューメキシコと名付けられました。

1598年にはスペイン人によって州都に該当するサンホアン・デ・ロスキャバレヨスが築かれますが、1610年には新たな州都となるサンタフェが築かれます。先住民族の土地で生活を始めたスペイン人たちは「エンコミエンダ」と呼ばれる植民地支配のための制度を盾に、プエブロ族の宗教を禁止し、強制的に労働させるようになりました。

1680年、過酷な労働やヨーロッパからの病原菌によって大幅に数が減ったプエブロ族はスペインに反乱を起こし、この地で活動する修道士を始めスペイン人400名を殺害します。この事件をきっかけにしてスペイン政府はプエブロ族と和平を結ぶために、スペイン王に忠誠を尽くし、キリスト教を信仰することを条件に支配の手を緩めていきました。

スペイン政府は300年近くに渡ってニューメキシコの地を支配しましたが、植民地を発展させることには関心がなく、この地の発展はごく最低限に留まりました。この間、スペイン人が持ち込んだ馬は人よりも早いペースで増加を始め、広大な土地に多くの群れが出来るまでになっていました。この馬こそが後に「アンダルシアの名馬」と呼ばれる品種で、スペインがアメリカ南西部に残していった財産と言われています。

1803年、ルイス・クラーク探検隊やゼブロン・パイク探検隊を筆頭にしてアメリカ南西部の探検や、毛皮の捕獲が活発化し始めます。同年にはアメリカ政府が現在のアメリカ大陸の大半をフランス政府から買い取り(ルイジアナ買収)、1821年にはメキシコがスペインから独立し、ニューメキシコはメキシコの領土になりました。

1846年、アメリカとメキシコが争った米墨戦争が始まり、1848年には米墨戦争の勝者となったアメリカは、1,500万ドルと325万ドルの借金を帳消しにする代わりに、現在のテキサス州、コロラド州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、ワイオミング州、カリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州を買い取りました。1853年には一部残っていたニューメキシコ州とアリゾナ州の土地も購入し、アメリカ大陸ほぼ全域を手に入れたのです。

南北戦争の際には北軍(自由軍)として戦ったニューメキシコ州ですが、その後もアパッチ族とナバホ族のインディアン同士の争いが1886年頃まで続いていました。インディアン同士の争いが終結したのは、かの有名なアパッチ族のジェロニモが降伏するまで続きました。

このようにニューメキシコ州はスペイン、メキシコ、アメリカに加えてインディアンまでも土地を巡って争いをしていた歴史があります。

ニューメキシコ州の政治情勢

ニューメキシコ州では2012年、2016年の大統領選ではいずれも民主党を支持しています。しかし、共和党の絶対的な基盤とも言えるテキサス州に隣接していることからニューメキシコ州の東側は共和党を支持する傾向があります。同州の首都圏では民主党が強いものの選挙の度に「票が割れる州」として知られています。

ニューメキシコ州の経済

2018年時点、ニューメキシコ州の失業率は5.6パーセントです。アメリカの平均よりも高い状態がリーマンショック以降継続しています。そのため同州は企業誘致のために税額の控除や免税などに取り組んでいます。また、日系企業も多く進出し、今後の経済発展が確実視されているテキサス州の影響をどのように受けるかも期待されています。

ニューメキシコ州の税金

2018年時点、ニューメキシコ州の消費税は7.66パーセントです。連邦税が5.125パーセントに対し、地方消費税の平均が2.54パーセントです。個人に対する所得税は1.7パーセントから4.9パーセント課せられますが、多くの軍人が生活しているため軍人の給与は対象外とされています。

ニューメキシコ州の銃や薬物問題

ニューメキシコ州では医療目的に限りマリファナは合法とされています。娯楽目的の使用は禁止されていますが、このことが同州の高い犯罪率に繋がっているという見解もあります。同州の銃に関する取り組み格付けは最低ランクの「F」です。州民10万人に対する銃犯罪犠牲者数は19人とアメリカで最悪レベルであり、犯罪対策は州の大きな課題です。

ニューメキシコ州の教育または宗教事情

ニューメキシコ州の教育水準はアメリカで最低とされています。2年制、4年制大学いずれも卒業率が平均を大きく下回っており、幼児教育や高校の卒業率も最低レベルとされています。一方で、低所得者層でも学びやすい環境や授業料の低さは全米トップクラスです。

ニューメキシコ州ではキリスト教が最も多いものの、アメリカ西部のなかでは最もカトリックが多いとされています。同州には1610年に建設されたアメリカ最古の教会があり、古くから信仰心は強い場所でした。現代では無宗教の人は州民の22パーセントを占めると言われています。


まとめ

ニューメキシコ州はスペイン、メキシコ、アメリカ、そしてインディアンが土地を巡って争った歴史があるため、それぞれの文化や伝統が入り交じっていることが特徴です。現代ではこれらが州の最大の特徴となり「誘惑の地」と評されるようになっています。

本記事は、2018年9月10日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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