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【アメリカ州制度】アメリカ最大のタバコの産地「ノースカロライナ州」解説

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ノースカロライナ州


アメリカ最大のタバコの産地、バスケットボールの神様と言われたマイケル・ジョーダンが学生時代を過ごした場所としても知られるノースカロライナ州は、豊かな自然と全米トップクラスのビジネス環境が整っている場所として有名です。

近年では自動車製造などに関連する日系企業も多く進出し、国内外から人口の流入が増加しつつある要注目の州のひとつノースカロライナ州についてご紹介します。

目次

ノースカロライナ州の特徴

2018年現在、ノースカロライナ州の総人口は約1,027万人です。州民の60パーセントは白人で、20パーセントが黒人、10パーセントはヒスパニックです。第二次世界大戦以降、人口増加が継続しており、年間に10万人程度のペースで増えています。この背景には州の東は海、西にはアパラチア山脈、そして年間を通して温暖で過ごしやすい気候など生活しやすい環境があります。

また、ニューヨークに継いでアメリカの金融センター都市と言われるシャーロットがあることも大きな要因と言えます。あまり知られていない事実ではありますが、ノースカロライナ州の最大都市のシャーロットは全米2位の金融都市としてアメリカ経済を動かしています。

ノースカロライナ州はこのようなビジネス環境が整っていることから、アメリカのForbs誌が選ぶ「Best States For Business 2017」で1位を獲得しています。さらに、同州は13年以上に渡り同ランキングにおいて全米ベスト5に入賞し続けているため、国内のみならず海外からもビジネス環境に恵まれた場所として知られるようになりました。

ノースカロライナ州がビジネスに特化している理由は4つあるとされています。労働組合への加入率が低い、低労働コスト、初期投資の低さ、高い教育レベルがあります。訴訟社会アメリカにおいて、労働組合の加入率は大きな要因とされており、少しでも訴訟リスクを減らしたい経営者にとっては好都合なのです。

東のノースカロライナ州とは対照的に、西のカリフォルニア州では労働組合の加入率が高く、経営者と労働者の対立が日常茶飯事です。また、カリフォルニア州では高い労働コストでありながら、従業員の教育水準は決して高くないと言われており、アメリカのビジネス環境は東部または南東部に移行しつつあります。ノースカロライナ州はそのような風潮の典型事例と言えます。

1590年、後に「消えた植民地(ロアノーク植民地)」と言われる現在でも謎のままとされる現象が発生しています。開拓初期の1587年にイギリス人のジョン・ホワイトはこの地を開拓し始め、息子であるバージニア・デールを授かります。ジョン・ホワイトは開拓に必要な資材を手に入れるために息子を始め、100名ほどの開拓者たちを残してイギリスに戻ります。1590年にノースカロライナに再び戻ってきた時には息子も開拓者たちもこつ然と姿を消していたのです。

開拓者たちが生活していた場所は荒廃していたものの、争いの痕跡や予め決めていた非常時のサインも残されていなかったと言います。ただし、近くの木には「CROATOAN」と「CRO」という意味不明の言葉だけが刻まれていました。ノースカロライナ州の歴史をひも解く上で重要なこの事件は現在でも未解決で、テキサス州のDNA研究企業が原因究明を続けています。

都市伝説とも言えるこの一件はノースカロライナ州の歴史を大きく変える可能性もあることから、国内の未解決事件のひとつとして知られています。同時に、白人から疑いをかけられている先住民族との間にわだかまりを作った原因でもあり、同州にとって早く決着をつけたい事件です。

ノースカロライナ州はアメリカでもニューヨークに次いでビジネスの拠点であり、多くの企業が進出を続けている場所です。また、歴史的な未解決事件が残されている州でもあります。


ノースカロライナ州の歴史

ノースカロライナ州は、1789年にアメリカ合衆国12番目の州になりました。1580年代にイギリス人開拓者たちによってロアノーク植民地が築かれるまでは、30以上のインディアン部族が生活するインディアンの聖地とも言える場所でした。

この地のインディアンは白人がやってくる700年前頃には既にミシシッピ川を使って幅広い地域で交流をして独自の政治や文化を築いていたとされています。1540年頃にはスペイン人探検家のエルナンド・デ・ソトがこの地を訪れており、1567年にはスペイン人のフアン・パルドがスペインの領土と宣言しました。しかし、翌年にはインディアンによってスペイン人の拠点が襲われ、スペイン人は撤退しています。

1584年、イギリス王エリザベス1世がウォルター・ローリー卿にこの土地を与えました。同州の州都であるローリーはウォルター・ローリー卿に由来しています。イギリスはアメリカ大陸で植民地を作ろうとしましたが失敗に終わりました。そのうちのひとつがノースカロライナの植民地です。

1650年、北部のバージニア植民地からノースカロライナに開拓者が農地を求めてやってきます。イギリス国王チャールズ2世によってこの地は「カロライナ」と命名されますが、1710年に統治に関する論争を収めるために「ノースカロライナ」と「サウスカロライナ」に二分されました。

ノースカロライナでは東はローカントリー、西はアップランドと区別され開拓者たちの生活様式も明確に異なりました。ローカントリーではイギリスに忠実なイギリス人、アップランドはドイツやスコットランド系が占めていました。

この地ではタバコ栽培が主産業になり、徐々に労働力として奴隷が増えていきます。さらにプランテーション経営者となった白人たちは経済的にも成功し、ノースカロライナ全体でイギリスから独立をした方が良いという流れが強まりました。

1776年、ノースカロライナはイギリスから独立をすべきという立場で大陸会議に参加し、13植民地のなかで最も先にイギリスからの独立に賛成した植民地となりました。同年7月4日、アメリカはイギリスから独立を宣言し、アメリカ合衆国が誕生します。ノースカロライナは1789年にアメリカ合衆国憲法に批准し、12番目の州になりました。

1861年、奴隷制度を巡って南北戦争が勃発します。ノースカロライナは奴隷制度を支持する奴隷州ではあったものの、戦争開始当初は南軍には加勢しませんでした。しかし、北軍のエイブラハム・リンカーンがサウスカロライナを侵略することを発表したことを受けて南軍に加勢しました。州内には南軍に加勢することを快く思わない人も多く、同州は中立的だったとされています。

ノースカロライナ州はイギリスからの独立には積極的だったものの、南北戦争においては州内で対立する意見が多く、平和的な解決を望む人が多かったのです。地理的にも北部でもなく南部でもないノースカロライナ州は中立という表現がふさわしい歴史があります。

ノースカロライナ州の政治情勢

ノースカロライナ州では2012年、2016年の大統領選ではいずれも共和党を支持しています。1990年代までは民主党寄りだったものの、2000年代からは一貫して保守派の共和党寄りで、州知事も副知事も共和党です。

同州が保守的とされる象徴的な出来事として「トイレ法案」があります。同州ではトランスジェンダーに対し「出生証明書と同一の性別」のトイレを使うことを義務づけ、国から提訴されました。これを受け同州は、行き過ぎた干渉として国を提訴し返す泥仕合になりました。

ノースカロライナ州の経済

2018年時点、ノースカロライナ州の失業率は4.5パーセントです。リーマンショックの影響は大きく、5パーセントだった失業率は11.4パーセントまで跳ね上がり、3年以上10パーセント以上の状態が続きました。また、同州の主産業の農業は海外競争で押されつつあり、農業の衰退が進んでいます。一方で、金融サービスではニューヨークの継ぐ全米2番目にまで成長しており、付随する産業も急成長を続けています。

ノースカロライナ州の税金

2018年時点、ノースカロライナ州の消費税は6.95パーセントです。連邦税が4.75パーセントで地方消費税の平均が2.2パーセントです。隣接するテネシー州が9.46パーセントであることを考慮すると税率は低いと言えます。ちなみに姉妹州でもあるサウスカロライナ州は7.37パーセントです。

ノースカロライナ州の銃や薬物問題

ノースカロライナ州ではマリファナは全面的に禁じられています。アメリカ南部エリアは保守的な傾向が強いことから周辺一帯を含めてマリファナは違法とされています。同州の銃に対する取り組み格付けは「D-」です。購入時のバックグラウンドチェックはあるものの、銃犯罪が多く州民10万人に対しする犠牲者数は12名と多いのが実情です。

ノースカロライナ州の教育または宗教事情

ノースカロライナ州の教育水準の高さはアメリカで16番目とされており、南部エリアにおいては高水準と言えます。1795年、アメリカ初の公立大学ノースカロライナ大学(現ノースカロライナ大学チャペルヒル校)があり、学業だけでなくマイケル・ジョーダンが所属していたバスケットボール部は全米の競合校としても有名です。


ノースカロライナ州は圧倒的にキリスト教のプロテスタントが多く、カトリックや無宗教の人は少数派です。信仰心も強く、南部の州における典型事例と言えます。

まとめ

ノースカロライナ州は現代ではビジネスの分野で急成長を遂げています。一方で、保守的な思考が強い部分もあり、アメリカ北部と南部の文化や思想が交差する場所と言えるでしょう。

本記事は、2018年9月21日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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