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【アメリカ州制度】酪農業が最大の特徴である「ウィスコンシン州」解説

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ウィスコンシン州


アメリカ中西部にあるウィスコンシン州は五大湖に面していることや豊かな自然があることで、アメリカで最も水が綺麗な州として知られています。この自然の恵みを生かした酪農業では国内トップの生産量を誇り、ウィスコンシン州と言えば酪農のイメージが定着しているほどです。

そんなウィスコンシン州ですが、酪農や鉛鉱山、そして様々な政策の先駆けとしてアメリカに大きな影響を与えた存在でもあります。今回はウィスコンシン州の知られざる特徴や歴史についてご紹介します。

目次

ウィスコンシン州の特徴

2018年現在、ウィスコンシン州の総人口は約579万人です。第二次世界大戦が終わった1945年以降、常に人口が増え続けています。州名のウィスコンシンはインディアンの言葉で「赤い石の土地」を意味するMiskwasiniingが英語風に変形したものに由来します。

ウィスコンシン州の最大の特徴は酪農業です。広大な土地と州内を巡る綺麗な水は酪農に適しており、牛乳やチーズは全米でトップの生産量を誇ります。開拓時代にスイスから移り住んだ人たちによって酪農が始まり、とくにチーズは本場スイス顔負けの品質と言われています。この酪農に対する思い入れは非常に強く、NFLの強豪チームであるグリーンベイ・パッカーズのファンはチーズの形をした帽子を被って応援するほどです。

ウィスコンシン州では酪農以外にも水に関連する産業が充実しています。豊富な水資源はミシガン湖、スペリオル湖、ミシシッピ川、ウィスコンシン川などを通じて州内を巡っています。同州はこの水資源を生かしたビールの生産が盛んなことでも知られており、同州最大の都市であるミルウォーキーは世界三大ビール生産地としてミュンヘン、札幌と肩を並べています。

この背景にはウィスコンシン州は小麦と水に恵まれていると同時に、ドイツ系の移民が開拓したことが関係しています。1800年代にドイツ系移民によって伝統的なビール作りが始まり、同州には次々にビール工場が作られました。現在でも同州にMillerやSchlitzなどのドイツ系の名前のメーカーが拠点を構えているのはこのためです。

また、ウィスコンシン州は1850年頃にアメリカの鉛消費量の半分以上を採掘していたことから、鉛鉱山周辺では坑道に人が住んでいた時代もありました。その様子が「Badger(アナグマ)」のようだったことから「The Badger State」という州のニックネームがあります。酪農と鉛鉱山はウィスコンシン州の発展の主軸だったと言えます。

このようにウィスコンシン州はドイツやスイス系移民によって酪農やビールなどの生産が活発になり、現代でもこれらの印象が定着しています。ウィスコンシン州はドイツやスイスの文化が起点になっていることが特徴と言えるでしょう。

ウィスコンシン州の歴史

ウィスコンシン州は、1848年にアメリカ合衆国30番目の州になりました。1783年にイギリスから割譲された土地が1836年に前身となるウィスコンシン準州になり、最終的に1848年に州へ昇格しました。

もともと、ウィスコンシンの地では紀元前10,000年前頃からインディアンの祖先に該当するパレオ・インディアンが生活していたとされています。ここではマンモスやマストドンなどを狩猟しながら、紀元前500年頃には農業が主流になったと考えられています。1500年から1700年にはオジブワ族やソーク族などのインディアンが拠点を置いていました。

1634年、フランス人探検家のジャン・ニコレがウィスコンシンを訪れたことが白人の時代の始まりとされています。1673年にはフランス人によって毛皮の交易が始まりましたが、この時のフランスはこの地で植民地や開拓には力を入れていませんでした。結果的に1755年まで恒久的な植民地が作られることないまま時が過ぎました。


1755年、それまでヌーベルフランスと呼ばれたフランスの領土だった土地を巡ってイギリスとフランスが戦争を始めます。アメリカ北部一帯のインディアン部族も両軍に加勢した結果、7年間に渡り戦争状態が続きました。後に七年戦争と呼ばれる戦いに勝利したイギリスは1763年にウィスコンシンを含めた一帯の支配権を手に入れました。

1775年、後のアメリカ合衆国である13植民地とイギリスが独立をかけて戦争を始めます。(独立戦争)この戦いに勝利した13植民地は翌年の1776年にイギリスからの独立を宣言し、ウィスコンシンの土地は正式にアメリカ合衆国の領土になりました。しかし、イギリスは実質的な土地の支配を続けたために1812年には米英戦争(1812年戦争)が勃発し、ウィスコンシンは戦線になりました。

これらの戦争の後にウィスコンシンで鉛の採掘が始まり、ヨーロッパ系移民など多くの人が集まるようになりました。移民たちは鉛による利益をあげるために次々に土地を浸食していき、その度にインディアンの土地を侵略しました。インディアンのソーク族は開拓者たちに抵抗を続けますが各地で小競り合いが起き、武力で劣るインディアンは土地を追われることになったのです。(ブラック・ホーク戦争)

1836年、開拓者たちはインディアンを追い出すことに成功し、この一帯はウィスコンシン準州になります。1848年には州へ昇格し、奴隷制度廃止を訴えた自由州のひとつになりました。この頃までに鉛産業は衰退し、代わりに酪農や小麦の生産が主産業になり、現代へと続く経済の基礎が始まりました。

1890年には「アメリカの酪農地帯」と評されるほどに酪農が広まり、チーズや乳牛の育成でアメリカでトップクラスになりました。また、製造業や醸造業なども活発になり1910年にはアメリカで8番目のGSP(州純生産)を記録しました。

また、政治ではアメリカで偉大な上院議員10傑に選ばれたロバート・マリオン・ラフォレットが活躍しました。とくに州知事時代には労働災害補償、最低保証賃金、女性参政権、進歩的税制度などをウィスコンシン大学と連携し実現していきました。州政府と大学を連携させて政策を進めるスタイルはウィスコンシン・アイディアと呼ばれています。

このようにウィスコンシン州はヨーロッパ系の移民によって開拓され、酪農で安定を築いた歴史があります。また、政治でも当時としては画期的な手法で政策を展開していたことが特徴です。

ウィスコンシン州の政治情勢

ウィスコンシン州では2012年の大統領選では民主党、2016年には共和党を支持しています。州に昇格して以降は共和党が強かった歴史がありますが、1940年以降は民主党が勢力を強め、1988年から2012年までは民主党が勝利し続けています。

民主党が勢力を伸ばした背景には「政治の透明化」があり、アメリカでいち早くオンラインで政治に関する情報にアクセスしやすい環境を構築したことなどが評価されました。同州ではデジタル政治に注力していることからリベラル層に支持されています。

ウィスコンシン州の経済

2018年時点、ウィスコンシン州の失業率は2.9パーセントです。2010年のリーマンショック以降は急激に失業率は回復しており、製造業、酪農業、観光業いずれも雇用を増やしています。古くから酪農業の印象が強いウィスコンシン州ですが、現代では食品加工や機械製造などの製造業の方が圧倒的に多く、州総生産の20パーセント以上を占めており、全米でトップ3に入るほど製造業が盛んです。

ウィスコンシン州の税金

2018年時点、ウィスコンシン州の消費税は5.42パーセントです。連邦税が5パーセントで、地方消費税の平均が0.42パーセントです。アメリカ中西部では最も低い消費税率ですが、所得税が4.6パーセントから7.75パーセント、さらに固定資産税などが課せられます。同州では2001年に野球場建設のために特別課税が実施され物議を呼んだことがあります。

ウィスコンシン州の銃や薬物問題

ウィスコンシン州ではマリファナは全面的に禁止されています。2008年には同州の国有林で違法に大麻が栽培されている場所が見つかり、9つの違法大麻農園が摘発されました。800万ドル相当の大麻が栽培されていた事件は氷山の一角と言われ今も続いているとされています。

ウィスコンシン州の銃に対する取り組み格付けは「C-」グレードです。州民10万人に対して銃の犠牲者は10名とされています。犯罪数は少ないものの購入時のバックグラウンドチェックはないため規制は緩いと言えます。

ウィスコンシン州の教育または宗教事情

ウィスコンシン州の教育水準は全米で18番目とされています。高校や大学の卒業率は平均よりも高く、高校生以下の数学や読解力は全米でトップ10に入ります。南北戦争後に教育に力を入れた州として知られており、ミネソタ州やミシガン州とともに中西部の教育に尽力した歴史があります。

ウィスコンシン州の宗教はキリスト教がおおよそ80パーセントを占めており、ヨーロッパ系移民を祖先に持つ人たちはカトリックとされています。無宗教とする人は州民のおおよそ15パーセントです。


まとめ

ウィスコンシン州はヨーロッパ系移民によってヨーロッパらしい文明が発達したことが特徴と言えるでしょう。現代では当たり前の予備選挙、女性参政権、福祉政策などは同州出身のロバート・マリオン・ラフォレットが主体になっていたことを知っておくといいでしょう。

本記事は、2018年8月31日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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