はじめに – 「暮らしやすさ」とはなにか?
外国に住んだり、家を引っ越したりすると「生活しやすい?」「住みやすいか?」という質問を受けることがあるでしょう。でも、何をもって「暮らしやすい」とするかは人それぞれ。近くにコンビニがあれば暮らしやすい人もいれば、ご近所付き合いが盛んな方が暮らしやすい、田舎でも静かな方が暮らしやすい、と思う人もいます。
そのためここでは、いくつかの切り口から、コロンビアの暮らしやすさと日本のそれとを比較してみます。ただ、先に結論を言ってしまいますが、コロンビアに比べて日本の方が、様々な面で勝っており、トータルで見た「暮らしやすさ」は日本の圧勝です。
ではどういった点でそう感じるのか、コロンビアは何が問題なのか、を考えてみます。(各章の最後に、あくまで執筆者である私が感じた「暮らしやすさ」の勝敗を記載していますが、双方の国を貶める意思はありません)
コロンビアと日本の「暮らしやすさ」の違い
違いその1:インフラ(電気、水道、インターネット)について
これまで、私が住んだり訪問したりした家全てには、電気も水道もガスも、電話もインターネットも通っていました。農村部やスラム街のようなところはわかりませんが、一般的な家庭のエリアでは、みんながスマホを持ち、日本と同じように暮らしている印象です。
ただ、日本で暮らしていて、急に原因不明でお湯が出なくなった、電気工事の日でもないのに急に停電が起こった、という経験はどのくらいあるでしょうか?恐らく多くの人が、あまり記憶にないのではないかと思いますが、ここコロンビアでは、このようなことがしょっちゅう起こります。
昨夜は問題なかったのに、朝、なぜか熱いシャワーが出ない、テレビを観ていたら急に電源が切れ、よくよく調べると停電が起こっている、蛇口からなぜか汚水が出始める、電話中、固定電話同士なのに急に回線が切れる、などなど。特に私の住んでいる街は田舎町ということもあり、特に停電は頻繁にありますし、何度工事をしてもらっても、インターネットの安定性は微妙なところです。
地方はもっとひどいようで、特に山間部以外は暑いエリアが多いため、水や電気がストップしてしまうのはかなり大変だろうと想像します。
多くの人が口々に言うのは、「原因不明」「なぜかはよくわからない」ということ.
あまり深く追求せず、そういうこともあるよね、とお気楽に考えているように思います(だから改善しないのかもしれません)。
結果:日本の圧勝
違いその2:交通について
ボゴタには、鉄道が通っていません。ただ、「TransMilenio(トランスミレニオ)」という大型の路面電車が通っており、それを利用することで主要なスポットには行くことができます。専用レーンを通るため渋滞もありませんし、Pasmoのようなチャージ式カードで乗り降りし、何度乗り換えてもどこまで行っても一律料金(2,500ペソ、70円ほど)です。
TransMilenioが網羅していないエリアには路線バスが通っており、これも同じカードで乗り降りができるので、ボゴタの公共交通は非常に便利です。
「TransMilenio(トランスミレニオ)」の気になる点は、2つ。
1つは、混雑がすごいことです。通勤時間帯の公共交通は、日本の満員電車並みにぎゅうぎゅうで、駅の改札が大行列になっていることもあります。車の渋滞もひどく、ボゴタでは「Pico y placa(ピコ イ プラカ)」と呼ばれる、平日の走行制限が行われています。自家用車は車のナンバーとその日の日付によって、混雑時間帯の走行が制限されるのですが、それでも常に渋滞がひどいのが現状です。
もう1つは、道路そのものの状態です。主要な道路でも、ものすごくでこぼこしていたり、なぜか道の真ん中に大きな穴が開いていたり、マンホールの周りにかなりの凹みがあったり、道の継ぎ目に段差があるなどは当たり前。渋滞の影響を受けにくいなどの理由から、バイクの数が非常に多いボゴタですが、バイク事故が多いのは、こういった道路状況も関係しているのではと思います。我が家もバイクが基本的な移動手段なのですが、車に比べて、少しの段差や凹みなどが致命傷になりやすく、いつもハラハラします。
結果:便利さと混雑ぶりでは引き分け、道路状態により、日本の勝ち
違いその3:日常の買い物、外食について
コロンビアに来て意外だと思ったことの1つが、お店の営業時間が長く、祝日でもいつも通り開いていることです。外国ではお店は早く閉まってしまい、日曜や祝日は開いていないことが多いというイメージは、コロンビアでは覆されます。
日本のように24時間開いているチェーンのコンビニはありませんが、街のいたるところに個人商店(と私が呼んでいるコンビニのようなお店)はたくさんありますし、文房具屋さん、ドラッグストア、スーパー、リカーショップ、そしてパン屋さんがどこにでもあるため、生活必需品の買い物にはほぼ困りません。同じような店が数軒並んでいることも多く、特にパン屋さんは本当にいたるところにあって、競争がかなり激しいのではと心配になるくらいです。
パン屋さんは朝6時頃から、夜の8時くらいまで、また、我が家の近所のスーパーは、平日は朝8時から夜9時まで営業しています。コロンビアは祝日が日本と同じくらい多いのですが、営業時間が短いものの祝日でもオープンはしているので、グロッサリー難民になることはありません。
ここまでは日本とあまり変わらないのですが、レストランのシステムで、わずかにコロンビアが勝っていると思う部分があります。それは、テイクアウトとデリバリー。
日本のレストランだと、衛生上の問題なのか、持ち帰りメニューが限られていたり、そもそも店内でしか食べられないものが多かったりする気がします。また、今でこそUber eatsがメジャーになってきましたが、お寿司やピザなど、フードを配達してくれるお店にも限りがありますよね。
コロンビアでは、どんなレストランでも、ほぼどのメニューも持ち帰りOK、電話で頼めば家や職場までデリバリーもしてくれますし、Uber eatsのようなアプリで頼めるシステム(Rappiなど)もとても人気があります。
結果:わずかにコロンビアの勝ち
違いその1:物価について
日本の平均月収はおよそ37万円、一方コロンビアは5万5,000円で、その差は約6.7倍です。では、コロンビアの物価も日本の6分の1かというと、そんなことはありません。
500mlほどのミネラルウォーターは50~60円、コーヒー1杯は40円~、チェーン店だと100円以上します。街中の個人レストランでのランチは1人200円くらい、ショッピングセンターのフードコートでお腹いっぱい食べると、1人500円くらいかかります。生鮮品、日用品、外食、服飾など全て含め、ざっくり言って、物価は日本の3分の1程度と言えるでしょう。
また、家賃はもちろん、エリアや広さによってまちまちですが、例えば経済レベルは6レベル中2(やや貧しい方)で2LDKの部屋が、月600,000ペソ(約2万円)、これでわりと安い方でした。
仮に月収5万円もらっていたとしても、家賃が月2万円だとすると、これですでに月収の4割ですから、さほど生活は楽ではないことがわかります。
コロンビアに住むと、日本は外食も安いし、100円ショップなどで必要なものは何でも安く手に入り、本当に便利だったのだなあと痛感します。
また、銀行口座の維持費、諸々の支払いや送金による手数料は非常に高く、日本のように、口座にお金を入れっぱなしにしていると、お金は減っていく一方。そのため無駄にお金を減らさないための一番の方法は、いわゆるタンス預金だと言われているそうです。
結果:日本の圧勝
まとめ
以上、「徹底比較!コロンビアと日本との暮らしやすさ」でした。
圧倒的に日本の方が暮らしやすいと感じてはいるものの、日本に対する心配もあります。これだけのクオリティを、この安い物価の中で維持していくには相当な労働力が必要で、それはこの新型コロナウィルスショックと、働き方改革などでいろいろ見直されていけばいいなと感じます。
そしてコロンビアでも、少しずついろいろな面での改善がされ、日本までとは行かなくとも、より生活しやすくなればいいなと思っています。
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