北海道の発展のために働ける
北海道職員は、北海道をより良くするために、政策を進める第一線で働くことができます。たくさん眠っている北海道の魅力をいかに引き出していくか。環境問題や少子高齢化、人口減少などの問題をどう解決していくか。北海道が進むべき未来の方向性を決めて指揮を取っていくことが、北海道職員の仕事なのです。
「農業の発展のために予算を確保して、新しく農家をサポートする制度を作る」ことや、「環境保護のために環境負荷の少ない商品を開発した会社に補助金を与える」など、1つの会社のためではなく、北海道全体が良くなっていくためにできることを考え、実行していきます。規模が北海道という大きいものですから、民間の会社や道民と連携しながら働いていくことになります。
無事に予算が確保できたときや、自分が立ち上げに関わった事業が成功したときには、「北海道のために働いている」という実感を得られます。公務員ということでマスメディアから批判されることも多いですが、実は陰で北海道を支える立役者として日々努力をしているのです。「自分が北海道の成長に貢献している」と直接実感できる、珍しい職業といえるでしょう。
様々な地域や部署で仕事ができる
北海道職員は、専門職として採用される技術職員と、一般行政事務を担当する一般職員の2通りが存在します。技術職員は基本的に専門性を生かすため、同じ部署でその道の専門家として働くことになります。一方一般職員は、多くの部署の仕事に携わることができるため、数年ごとに全く異なる部署に異動することも珍しくありません。
また、北海道は広大なので、札幌市にある本庁の他に、道内各地に14の(総合)振興局が置かれています。本庁だけで業務を行うのではなく、(総合)振興局に分散することで、より地域に密着した仕事ができるようになるのです。技術職員も一般職員も、本庁と(総合)振興局を数年ごとに転々として仕事をすることになるのです。
数年間で仕事内容や勤務する地域がガラッと変わるのは大変なことですが、メリットもたくさんあります。まず、1つの分野に絞らないことで、北海道の現状を多角的に見ることができます。北海道が抱える問題点はたくさんあるのに、1つの分野でしか仕事をしていなければ、多くの問題に気付けないまま仕事をすることになってしまい、偏ったものの見方しかできなくなってしまいます。
例えば、ずっと建設部にいると建設関係の知識しか身につきませんよね。しかし環境生活部に異動することで、環境保護の視点を身につけられます。そして経済部に異動することで、建設以外の産業についても知ることができます。このように部署間の異動を繰り返すことで、広い視野を持った職員になることができるのです。
これは転勤についてもいえることです。「北海道」と一括りにして良いのかと思うくらい、北海道は地域によって気候や文化、習慣などが異なります。83,450平方kmもの面積があり、179も市町村があれば、全く異なる文化が育ってもおかしくありませんよね。転勤によって多くの地域に住むことで、ずっと同じ地域に住んでいては得られないような知識や体験を通じて、北海道全域について深く理解することができるのです。
そして、転勤や異動が多いと意外なメリットがあります。それは、人間関係の悩みがすぐに解決できることです。市役所などは転勤がないので将来設計が立てやすいというメリットがある代わりに、同じ職場に嫌な上司がいると、ひたすら我慢するしかありません。部署が変わっても勤務地は変わらないので、異動後も同じ部署になることもありますし、違う部署になっても同じ建物内にいれば顔を合わせることが多いでしょう。
その点、北海道職員は部署が変わるだけでなく勤務地も変わるので、職場に嫌な上司がいても数年でお別れになります。「数年我慢すれば、この人とはサヨナラだ」と割り切ることができるので、長年人間関係のストレスを抱え込む必要がないのです。人間関係によるストレスはうつ病の原因にもなり得ますから、転勤や部署異動によって軽減されるのは大きなメリットといえるでしょう。
北海道中に知り合いができる
北海道各地を転々として働き、部署異動も多いので、北海道各地に知り合いができるのも北海道職員の魅力です。自分が異動しなかったとしても、年度が変わると部署内の顔ぶれが大幅に変わりますし、異動することで以前同じ部署に勤めていた人と再会することもあります。転勤や異動を繰り返すことで、同じ職場で働いたことがある職員が北海道各地に散らばり、自然と北海道中に知り合いができるのです。
また、職員のスキルを高めるために研修や勉強会が節目節目に実施されるので、同期との繋がりを強めることができます。最も早くて入庁2~3カ月ほど経った頃に、新任職員研修が行われます。研修は1週間、札幌市内の研修センターに泊まりこんで実施されるので、自然と同期との絆は強くなっていきます。研修が終わればそれぞれの職場に戻ることになりますが、北海道各地に同期が散らばっているので、どこに行っても助け合うことができます。
出張があれば出張先の地域で働いている同期に声をかけて飲みに行くことができます。転勤があればその地域に住んでいる同期に相談して、引越し先の情報をもらえます。このように各地に知り合いがいることで、どこに行っても不安なく仕事ができるのです。いつどこに異動して誰のお世話になるかわからないので、広く交友関係を作っておくと、いずれ役に立ちますよ。
休暇などの制度がしっかりしている
北海道職員に限らず公務員全体の良いところともいえますが、休暇などの制度がしっかりしていて働きやすいところも魅力です。年次有給休暇は1年間で20日あり、余った分は20日分まで翌年に繰り越すことができます。現在は月に最低でも1日は有給休暇を取得しようという取組が行われているので、職場でも有給を積極的に取るように促されます。上司から有給取得を勧められるというのは、働きやすい職場であることの証明といえるでしょう。
他にも夏期休暇が3日、結婚休暇が5日など、きちんと必要なときに休みが取れるよう制度が整っていますから、家族との時間も大切にすることができます。職場でも休みを取ることでとやかく言われることはありません。
また、近年女性職員の採用を増やし始めたことに加え、女性が働きやすいように仕事と家庭の両立支援制度を充実させています。現知事が女性であるということもあり、女性の活躍を推進すべきという方向性が強いのですね。代表的な制度は以下のとおりです。
育児休業
子どもが3歳になるまで、仕事を休んで子育てができる。
育児休暇
子どもが2歳になるまで、保育施設への送り迎えなどのために取得できる。
育児短時間勤務
子どもが小学校に入るまで、勤務時間や日時を短縮することができる。
部分休業
子どもが小学校に入るまで、子育てのために取得できる。
子の看護休暇
子どもが中学校を卒業するまで、通院の付き添いや看病のために取得できる。
早出遅出勤務
子どもの保育施設や学童保育施設への送り迎えのために取得できる。
育児参加休暇
配偶者が出産する場合、子どもが小学校に入るまで、子育てのために取得できる。
男性も取得できる休暇があるので、夫婦で協力して育児をすることができます。実際に育児休業を取得する職員を他の職員が協力して支援していく雰囲気作りが整っているので、安心して休暇を取得することができます。男性職員の休暇取得も多いので、将来子育てをしたいと考えているのであれば、とても良い環境ですよ。こうした家庭と仕事の両立を支援する制度が充実しているのは、公務員の利点といえますね。
スキルアップのための制度が充実している
北海道職員として北海道の発展のために長年働き続けるには、時に国や民間企業と協力してスキルアップを図る必要があります。ずっと同じ組織で同じような考え方に触れていては、思考も行動力も鈍ってしまいますよね。そこで、北海道職員という身分を保ちながら、スキルアップのために省庁や民間企業に勤務するという派遣制度があります。
一定期間省庁や民間企業で仕事をすることで、ずっと北海道庁で働いているだけではわからない、効率的な仕事の進め方や考え方などを学ぶことができます。特に公務員と民間企業では様々な点で大きく違うので、刺激を受けることができますよ。学んだことは北海道庁に戻ってから積極的に職場に還元することで、仕事の効率化や職場の雰囲気作りに役立ちます。
補足情報(1)給料や手当、ボーナスについて
「良いところ」というには意見が分かれるかもしれませんが、補足情報として北海道職員の給料や手当、ボーナスについてお伝えします。
初任給は以下のとおり、大学新卒と高校新卒で金額が異なります。
大学新卒
178,200円
高校新卒
146,100円
その他、民間経験のある中途採用者はこれまでの経験や年齢などを考慮し、それぞれ初任給が決まることになります。その後勤務年数などに応じて給料は上がっていきますよ。
また、給料以外に手当がもらえることがあります。離島で勤務することになったら出る「僻地手当」や、単身赴任になると出る「単身赴任手当」などはよく知られていますね。他に北海道ならではの手当として、「寒冷地手当」というものがあります。寒い北海道では暖房費がかさむので、11月から3月までは給料にプラスして寒冷地手当が出ることで、生活費の足しにするのです。金額は地域によって異なりますよ。
そしてボーナスは、夏と冬に1回ずつ出ます。毎回きちんと出るのは公務員の良いところですね。ただし、新卒で初めてのボーナスをもらう夏は、入庁してから3カ月程度しか経っていないので、ボーナスの額も少なめです。初めてのボーナスに期待しすぎるのは禁物ですよ。
補足情報(2)北海道職員は、北海道出身者ばかり?
もう1つの補足情報として、北海道職員の出身地についてお伝えします。
北海道のために働く公務員ということで、北海道出身者のほうが優先的に採用されやすいのではないかと思われがちですが、そんなことはありません。確かに北海道に縁もゆかりもなく、観光に来たこともないという人であれば、面接試験でなぜ北海道職員を志望したのか強めに聞かれることがあります。しかし、きちんとした目的を持っているのであれば、他都府県出身だからといって不採用になることはないですよ。
北海道出身者は多いですが、他都府県出身者も意外と多いのです。北海道出身ではなくても、北海道のために働きたいと思っているのであれば、採用試験を受けてみてはいかがでしょうか。
まとめ
公務員として北海道の発展のために働く、北海道職員。マスメディアの報道によって良くない点や大変な点ばかりがクローズアップされがちですが、良いところもたくさんあります。自分が北海道に貢献していると実感しながら働けるのは、何事にも代えがたい達成感がありますよ。この記事が公務員志望の方や、北海道職員志望の方の参考になれば幸いです。
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