地方上級の地方公務員(都道府県・政令指定都市職員)の仕事内容は?

地方公務員の中でも、都道府県や政令指定都市の大卒程度だけが受験できる区分「地方上級」の仕事内容について解説します。「地方上級(地上)」はあくまでも受験用語なので、同じ「地上」として就職したとしても様々な仕事内容があります。


「地方上級」の公務員とは?県庁や政令指定都市に勤務する地方公務員のことです!

「地方公務員」には、「地方上級」という区分があります。

一般的に「地方上級」というと、都道府県や政令指定都市に所属する大卒の地方公務員のことを指し、「地上(ちじょう)」などと略して呼ばれることもあります。

「地方上級以外」については、特にまとまった呼び方はありませんが、地上以外でも、地方公務員には市町村に所属し市役所・町役場などに勤務する大卒、高卒の区分や、都道府県や政令市に勤務する高卒・短大卒の区分などがあります。

地方公務員のうち、「地上」と呼ばれるのはこの部分!

都道府県・政令市 市町村
大卒 地上(地方上級) 上級、大卒程度、l類、など
短大卒 中級、短大卒程度、ll類 中級、短大卒程度、ll類など(設定されていない場合も)
高卒 中級、短大卒程度、ll類など(設定されていない場合も) 地方初級、高卒程度、lll類など

「地上」はあくまでも受験用語

なぜ地方公務員をこのように分けるのかというと、「試験日」が影響しています。一般的に道府県と政令指定都市の試験日は統一されていることが多いため、公務員受験生にとって「地上」=「都道府県、政令指定都市の公務員」という認識になっています。そのため「地上」はあくまで受験用語の一種なのです。

ちなみに、2023年度については、東京都など一部未発表の地域を除いて、上級(都道府県・政令指定都市の大卒程度試験)統一の一次試験日は6/18(日)です。

「地方上級」と「地方初級」

「地方上級」のほかに「地方中級」や「地方初級」という呼び方もありますが、これは地方公務員を分けるものではなく、受験者の採用枠を、学歴ごとに分けるものです。よくある誤解ですが、市町村の公務員=初級・中級というわけではありません。政令都市以外の市町村にも大卒(上級・1種など)での採用枠はありますので、ご注意ください。

ちなみに2023年度の、地方上級の初級試験(都道府県・政令指定都市の高卒程度試験)の統一一次試験日は、9/24(日)となる見込みのようです。

以下では、「地方上級」の仕事内容として、都道府県や政令指定都市に所属する地方公務員の仕事内容をご紹介します。

地方上級(都道府県・政令指定都市)の地方公務員の仕事内容

地上には、「行政職」「心理職」「福祉職」「技術職」などの職種があります。職種の名称は自治体ごとに異なります。

自治体によっては募集の無い職種や、採用数が少ない職種もありますので、最新の募集要項でよくご確認しておくと安心して試験に臨めるかと思います。希望する職種がある場合には、その職種の定員が多く、積極的な採用を行う予定の自治体に受験先を変えるなども検討した方がよいでしょう。

反対に、様々な仕事を経験したい婆には「行政職」を受験するのがおすすめです。数年で異動があるため、様々な部署で様々な仕事内容を経験できます。


地方上級の採用区分(職種)と主な配属先、仕事内容について

地方上級の採用区分(職種)と仕事内容について、東京都職員採用試験と神奈川県の横浜市職員採用試験を例にご紹介します。

【地方上級】東京都の場合の仕事内容

東京都の場合、「地方上級」に該当する試験区分は「1類A採用試験」と、「1類B採用試験」です。

「1類A採用試験」は、主に大学院卒業程度の方向けの試験です。「1類B採用試験」は、大学卒業程度の方向けの試験です。

今回は「1類B採用試験(一般方式)」の試験区分と主な仕事内容を取り上げます。

東京都の「一般方式」と「新方式」とは?

東京都の職員採用試験の「一般方式」とは、従来の試験方法で「教養試験」「論文試験」「専門試験」と「面接試験」によって合否が決まる試験方式です。

一方、「新方式」では、専門試験の代わりに「プレゼンテーション試験」があるほか、面接では「グループワーク試験」もあります。

「一般方式」と「新方式」では、試験方式が違うというだけで、採用後の仕事内容や配属、昇給には影響はないようです。

東京都の「1類B採用試験」の試験区分と仕事内容

東京都の一般方式の1類B採用試験には、「行政」「土木」「建築」「機械」「電気」「環境検査」「林業」「畜産」「水産」「造園」「心理」「衛生監視」「栄養士」「獣医」「薬剤」といった試験区分があります。

「行政」区分は最も多い採用人数の試験区分です。令和5年度の採用試験でも、「行政」区分は最も多い255人の採用枠があり、その配属先は知事部局、交通局、水道局、下水道局、行政委員会、学校など、多岐にわたります。「行政」で採用されると、それぞれの配属先で、一般行政事務等を担います。

新方式でも「行政区分」の採用があるほか、新方式特有の採用枠として「ICT」という区分があります。「ICT」の区分で採用されると、知事部局、交通局、水道局などそれぞれの部署での「ICT」に関する業務に従事するようです。

》参考URL:東京都職員採用|試験・選考情報

【地方上級】横浜市(政令指定都市)の場合の仕事内容

横浜市職員の「大卒程度等」の試験区分と仕事内容

横浜市職員のうち「地上(地方上級)」と呼ばれる「大卒程度等」の採用試験の採用区分は、16区分あります。具体的には、「事務」「社会福祉」「心理」のほか、技術職として「デジタル」「土木」「建築」「機械」「電気」「農業」「造園」「環境」、専門職として「衛生監視員」「保健師」「消防(一般/専門)」「消防(救急救命士)」「学校事務」の採用区分があります。

例えば、「事務」区分で採用されると、横山市内の区役所や局などに配属され、一般行政事務に従事します。

「社会福祉」区分で採用されると、主に、横浜市内の区役所や児童相談所、社会福祉施設などで指導員や相談員として配属され、指導、 相談、調査などの仕事を担当します。

「心理」区分で採用されると、主に、横浜市内の児童相談所や教育委員会事務局などに配属され、相談・支援及び心理診断、心理治療などの仕事を担当します。


「デジタル」区分で採用されると、主に、区役所等でICT利活用施策の企画立案や、行政デジタル化の推進、庁内各種システムの開発・運用等に関する事務の仕事を担当します。

「土木」区分で採用されると、主に、総合的な都市整備や、道路、河川、上下水道、港湾、地下鉄などの計画・ 建設に関わる、土木関係の専門的技術の業務を担当します。

「建築」区分で採用されると、主に、総合的な都市整備や、公共施設(庁舎・学校・地下鉄など)の建設、開発・建築指導などの仕事を担当します。

そのほか、各区分の主な仕事内容については、募集要項で紹介されています。横浜市の募集要項でご確認ください。

》参考URL:横浜市|受験案内・パンフレット

まとめ 地上(地方上級)の仕事内容は採用区分によってさまざま!

このページでは地上(地方上級)の仕事内容についてご紹介しました。

「地上」はあくまでも「受験用語」であり、職種を指す言葉では無いため、一口に「地上」と言ってもその仕事内容はさまざまです。

「地上」試験、つまり大学卒業、大学院卒業程度の試験に合格し採用されると、それぞれの職種で「幹部候補」としてキャリアがスタートします。勤続年数を重ね、責任ある仕事を任されて出世する方も多い採用区分ですので、「地上」は責任ある仕事を任されるというイメージを持つ方も多いようです。

そのため「地上」=「エリート」というイメージを持たれることも多いようですが、実際には「地上」の採用試験を突破した、というのみですので、その後の職務の頑張り次第で、任される仕事は変わってくるというのが現実です。出世する方もいれば、様々な理由からそうでない方もいます。

早期に向いている仕事ができる部署に配属され、実力を発揮できるように、面接等でどのような仕事がしたいのか、大学でどのような研究をしたのかというアピールをしておくと、希望の部署に配属されやすくなる可能性はありますが、それまでの学歴と全く関係ない部署からキャリアをスタートさせる地上の方もたくさんいらっしゃいます。

以上、「地上(地方上級)」の仕事内容はその人の特性や、自治体ごとの人員の状況によって様々だということをご紹介しました。

本記事は、2023年6月20日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

働きたい職業:公務員
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