*本記事は2018年9月の情報をもとにした内容です。
アメリカ中南部に位置するオクラホマ州は開拓時代には「土地は早い者勝ち」というルールで多くの開拓者がこの地に集まったという歴史があります。さらに、アメリカ大陸で生活をしていたアメリカ先住民(インディアン)が最終的に強制移住させられた悲しい場所でもあります。
今回は、アメリカ史を知るうえで様々な歴史的な出来事が起こったオクラホマ州について特徴や歴史を中心にしてご紹介します。
オクラホマ州の特徴
2018年現在、オクラホマ州の総人口は約393万人で、第二次世界大戦以降は右肩上がりで人口増加が続いています。
同州では白人が最も多く70パーセント、次いでヒスパニックとアメリカ先住民(インディアン)がそれぞれ10パーセント、そして黒人が7パーセント程度とされています。1890年代にアメリカ先住民(インディアン)がアメリカ政府によってこの地に強制移住させられたため、現在でもアメリカ先住民(インディアン)直系の子孫や混血の人が多く暮らしています。
オクラホマ州は年間を通して温暖な気候ですが、州の大半が「竜巻街道」と呼ばれる竜巻多発地帯にあるため年間平均で50個以上の竜巻が発生します。また、1931年から1939年頃まではダストボウルと呼ばれる巨大な砂嵐が頻発し、長期に渡って州の主産業である農業に壊滅的な被害を与え、7パーセントも人口が減る異常な状態になりました。そのためアメリカ国内ではオクラホマ州は自然災害の印象が強い州とされています。
古くから農業が盛んだったオクラホマ州ですが、国内第5位の石油産出量があり、天然ガスでは国内3位の産出量を誇ります。近年ではこれらのエネルギー産業が活発化しており、アメリカ優良企業トップ500をまとめたフォーチュン500ではオクラホマ州からはエネルギー関連企業だけがランク入りしています。実際に同州のエネルギー関連企業の従業員は州の平均年収の倍以上あるとされています。
オクラホマ州は広いアメリカ大陸のなかで最も恐竜の化石が発見されている場所としても有名です。同州には1899年に設立されたサム・ノーブル・オクラホマ自然史博物館があり、ここでは恐竜の化石など700万点以上が展示されており、オクラホマ州の歴史を知れる観光名所になっています。また、同州は南北戦争後にカウボーイが多く集まった場所としても知られ、国立カウボーイ・西部歴史博物館などもあります。
オクラホマ州が世界的に知られるようになった出来事のひとつとして「オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件」があります。1995年4月19日、同州の州都であるオクラホマシティで爆破テロが起こり、子供19名を含む168名が犠牲になりました。
犯人は湾岸戦争にも参加したアメリカ軍人であったことや、事件直後に現場に居合わせたアラブ系の人たちが無差別に警察に身柄を拘束されたことは大きな話題になりました。このテロ事件は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロが発生するまで、アメリカ史上最悪のテロ事件でした。
このようにオクラホマ州は自然と隣り合わせの一方で、多くのアメリカ先住民(インディアン)が最後を過ごした場所でもあります。現在でもオクラホマ州とアメリカ先住民(インディアン)の関係は根深いものがあります。
アメリカ46番目の州、オクラホマ州の歴史
オクラホマ州は、1907年にアメリカ合衆国46番目の州になりました。オクラホマの地では人類の歴史は非常に古く、紀元前850年頃からヨーロッパ系の白人がやってくる1500年頃までアメリカ先住民(インディアン)の先祖となるパレオインディアンが生活していました。
それよりも以前の最終氷河期にもアメリカ先住民(インディアン)がオクラホマを通過した痕跡が残っており、アメリカ先住民(インディアン)はこの周辺を狩猟場として使い、巨大型の動物(マンモス)を追いながら生活していたと考えられています。
1541年にスペイン人のフランシスコ・バスケス・デ・コロナドこの地を探検したことが初めての白人到来だったとされていますが、1700年頃にフランス人が領土を主張するまでは誰の土地でもない平和な場所でした。最終的には、1803年にアメリカがフランスから土地を買い取ってアメリカのものになりました。
1794年、アメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンがアメリカ北西部の領土侵略を進めますが、アメリカ先住民(インディアン)はこれに対抗すべく同盟を組み戦います。ジョージ・ワシントンはアメリカ先住民(インディアン)を目の敵にし、集落の破壊や惨殺を繰り返しました。アメリカ軍の勝利に終わったこの戦いでグリーンヴィル条約と呼ばれる講和条約が結ばれ、アメリカ北部のアメリカ先住民(インディアン)は自分たちの生活拠点を追われることになります。
1830年にはアンドリュー・ジャクソン大統領がインディアン移住法に署名し、アメリカ中のアメリカ先住民(インディアン)はオクラホマに強制移住させられることになりました。ミシシッピ川より東のアメリカ先住民(インディアン)は強制的に西のオクラホマへ移動させられましたが、残留を望む人はアメリカ市民になることが許されました。しかし、残るアメリカ先住民(インディアン)はごく少数だったと言われています。
なかでもチェロキー族はミシシッピ川周辺からオクラホマまでの強制移動の途中で4,000名が命を落としたとされています。チェロキー族が移動した道は「涙の道」としてアメリカでも広く知られています。このようにオクラホマはアメリカ中のアメリカ先住民(インディアン)がアメリカ政府によって強制的に連れてこられた場所でもあるのです。
もともとオクラホマの地はインディアン準州という扱いでしたが、アメリカ政府は1866年にインディアン準州の大半を政府に割譲することを決定し、わずかに残った土地はアメリカ先住民(インディアン)のために残され「未割当地(Unassigned Lands)」にしました。しかし、未割当地は誰の物でもないため、結局は政府の管轄下にあるのでした。
1870年頃には「ホームステッド法」と呼ばれる土地の無償払い下げ制度が広まり、白人の開拓者たちはインディアン準州の未割当地(8,000平方キロメートル)も開放するように政府に訴えかけました。開拓者たちは未割当地のことをオクラホマ(チョクトー族の言葉で赤い人々)と呼ぶようになり、この土地を開拓者に開放した1890年には正式名称になりました。
この時、土地を手に入れるため多くの開拓者が集まりますが、土地が開放される時刻になると一斉に馬に乗った人が走り出したとされています。この様子は「ランドラッシュ」と呼ばれ、土地が早い者勝ちで手に入ったのでした。なかにはズルをして定刻よりも早くスタートする者もおり「Sooners」と呼ばれました。オクラホマ州の公式ニックネームである「Sooners State」は開拓者たちが早い者勝ちで土地を手に入れた様子に由来しています。
1890年には未割当地一帯でオクラホマ準州が作られ、その周辺のインディアン準州とまとめられる形で、1907年に46番目の州に昇格しました。オクラホマ州ではアメリカ先住民(インディアン)が生計を立てられる唯一の方法と言われるインディアンカジノが119ヶ所ありますが、現在でも大半の部族は政府から認定を受けられず貧困にあえいでいるのが実情です。
オクラホマ州の政治情勢
オクラホマ州では2012年、2016年の大統領選では共和党を支持しています。もともとは民主党の支持基盤でしたが、1952年以降、民主党を支持したのは1度だけで国内でも「保守的なオクラホマ」という印象が根強いとされています。
オクラホマ州の経済
2018年時点、オクラホマ州の失業率は4.0パーセントで、アメリカの平均値と同じです。州の産業は農業やエネルギー産業に加え、航空機製造や食品加工なども盛んです。同州のタルサ市は世界最大規模の航空機整備基地があり、アメリカン航空の世界整備拠点になっています。航空機産業は同州の生産高の10パーセントを占めるほど大きな存在です。
オクラホマ州の税金
2018年時点、オクラホマ州の消費税は8.91パーセントです。連邦税が4.50パーセントで地方消費税の平均が4.41パーセントです。アメリカ中南部では消費税が高い傾向がり、同州もその典型と言えます。一方で、企業に対する税の優遇に積極的で、国内で7番目に企業に課す税金が少ないとされており、事業に優しい州のひとつです。
オクラホマ州の銃や薬物問題
オクラホマ州ではマリファナはいかなる場合でも違法です。
銃犯罪が多く、銃に関する取り組み格付けは最低ランクの「F」とされており、州民10万人に対する銃の犠牲者は18名で最悪レベルです。マリファナの規制と銃犯罪の関係は証明されていませんが、銃犯罪は州の大きな課題と言えます。
オクラホマ州の教育または宗教事情
オクラホマ州の教育水準は国内平均以下とされており、4年制大学の卒業率は50パーセント以下とされています。教育にかかる費用は国内で7番目に安いため学ぶ環境は良いと言えます。同州ではアメリカ先住民(インディアン)の学生がおおよそ12万人いるとされ国内最大です。また、タルサ大学はアメリカの大学100傑に選ばれており、特に実務教育で高い評価があります。
オクラホマ州ではキリスト教が80パーセント以上ですが、その大半はプロテスタントと呼ばれる人です。伝統的で保守的なイメージが強い同州ですが、無宗教の人が15パーセント程度いるとされています。
まとめ
オクラホマ州はアメリカ中のアメリカ先住民(インディアン)が最後に追いやられた場所です。現在でもインディアンとアメリカ政府との間で裁判が続いています。同州を知るうえで過去のインディアンへの仕打ちは切り離せない事実でしょう。
コメント
コメント一覧 (2件)
インディアンが恐竜を追うwww
このサイトいい加減すぎるだろw
ありがとうございます。お恥ずかしい限りです。該当の箇所を正しいものに変更しました。
この長文の中、しっかりご覧いただき、気付いていただいて感謝いたします。編集部一同、励みになります。