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「日本は、公務員の数が多いのか?」について調査しました。

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「公務員数」や「人件費」について、たびたび議論される日本

日本では、「公務員は数が多過ぎる」とか「公務員の給与が高過ぎる」などの理由から、公務員の数そのものを削減しようという議論や、公務員の人件費を削減しようという議論が、たびたび国会など政界で議論されてきました。

一方で、近年では特に公務員の業務量が増加しており時間外労働が常態化していることが問題視されています。特に地方公務員では人手不足が深刻化しており、AI等を導入しての業務効率化を図る自治体なども現れています。人手不足の即戦力として、定年退職後に再就職した職員を頼るという現場も少なくありません。

また「官制ワーキングプア」といって、公務員の臨時職員や非常勤職員が、貧困状態に陥っているケースがあり、社会問題になっているという指摘もあります。

このような公務員の現場の状況をふまえると、日本では公務員の数が多いという議論は妥当と言えるのか、疑問に思う方も多いと思います。

日本の「公務員比率」は先進国の中では少ない!

国際的に比較して、日本の公務員の数は多いかについて解説します。

日本の公務員の割合は、国民の全労働人口の中でわずか5%程度というデータもあり、この割合はOECD(経済協力開発機構)に加盟する、いわゆる「先進国」とされている国々の中でも下から2番目の低水準だと言われています。

また、公務員の給与が国民総所得であるGDPに占める割合を見ても、そもそも公務員の数が少ないので、当然ながらOECDの中で最低レベルなようです。

このように、日本の公務員の数と給与は、国際比較すると決して多過ぎるわけではないと言えます。

ただし、日本の国内事情と他国の事情は異なるため、世界と比較して少ないからこのままで良い、とも言い切れません。日本の行政サービスを行うのに適切な公務員の数の配置と、公務員が安心して働ける環境を整えることが必要だと思われます。

公務員比率の高い国 トップ5について

国によって公務員制度は異なるので、どこまでを「公務員」に含めるのかという定義には国ごとの違いがあります。例えば、2010年から2014年の「世界価値観調査」をもとに公務員比率を国際比較すると、就業者のうち公務員比率が高い国の1位は、公務員比率78.42%の「リビア」のようです。続いて、2位が78.29%の「ベラルーシ」、3位が77.99%の「クェート」、4位が76.39%の「カタール」、5位が63.83%の「アルメニア」となっており、公務員比率の高い国トップ5には中東の国が多くランクインしています。

詳しくはこちら>
「日本の公務員は先進国で最も少なく、収入レベルは突出して高い」
ニューズウィーク日本版ホームページ
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/post-5959.php


公務員比率の低い国 ワースト5 日本もランクイン

公務員比率の高い国と同じデータから公務員比率の少ない国ベスト5をご紹介すると、ワースト1位が公務員比率10.35%の「モロッコ」です。2位はなんと10.73%の「日本」、3位が12.01%の「フィリピン」、4位が12.68%の「ガーナ」、5位が12.75%の「チリ」と続きます。世界的に見ると日本が公務員比率ワースト2位に入っているのです。

公務員や公務員の給与を削減するメリットとデメリット

一般的に公務員を削減し、公務員の給与を削減するメリットとして挙げられているのは、税金の無駄使いの解消や、財政面の負担軽減、などです。国も自治体も予算は限られているので、人件費を削減することで、財政にゆとりが生じるというのは納得できます。

しかし、公務員を削減することでのデメリットもあります。たしかに、業務量に対して過剰に職員が配置されているなど、見直しが必要な一部の部署はあります。しかし、一方でギリギリの人数で業務をこなしてるという部署も多く存在します。そういった現場の状況を考慮せず、一律で公務員の削減、給与カットをしてしまうと、行政サービスの質の低下を招き、市民生活に大きな影響が出ると考えられます。

このように、公務員の数や給与の削減についてはメリットもあればデメリットもあると考えられます。今後も様々な視点からの議論が必要だと言えるでしょう。

まとめ

このページでは、しばしば日本で議論されている「公務員の数が多い」という批判について、実際に多いと言えるのかどうか、様々な視点をご紹介しました。

公務員といっても様々な職種と職場があります。たしかに、世間に批判されるような「ムダな仕事」になってしまっている職場があるのであれば見直しは必要ですが、人手不足の中、むやみに人員削減や給与カットをしてしまうことで、行政サービスが低下し、日本国民の不利益につながる可能性もあります。

公務員の数が多い!と一律に批判するのではなく、それぞれの公務員の現場の状況を踏まえた上で、慎重な議論が進んでいくことが、公務員の職場環境の改善にもつながっていくでしょうし、行政サービスを受ける国民や市民全体の生活の質のアップにつながっていくと考えられます。

本記事は、2018年10月12日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 公務員の給与をGDP比で比較することは、適切でないし敢えて分かりづらくしているようですね。
    民間の平均年収と公務員の平均年収の比較をすれば、公務員の給与が高過ぎる事が明白になるからですか?
    必要な人員削減を、一律の削減と問題点をすり替えてますね。官僚の答弁みたいですね。

    • コメントありがとうございます。

      給料については改めてレポートしたいと考えています。
      視点次第ですが、地方と比較すれば、一概に民間のが良いという見方もできるかと思いますので、ここでは語りきれておらず他の記事もご参考ください。

      また、独立行政法人などの公務員的な職、公営の大学・学校、過去NTTや郵便局など大規模なところをはじめ、適切な民営化がすすめられたのかなど、公務員が少ない・多いという論点だけで、現在の日本の抱える課題を語ることはできないと思っています。

      記事の掲載も募集しておりますので、是非、ご寄稿ください。

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