東京五輪・パラリンピックの開催準備等を担当する「スポーツ庁」の基本情報

文部科学省の外局としてスポーツ行政を一元的に担う中央官庁「スポーツ庁」について解説します。

「スポーツ庁」は、複数の省庁にまたがるスポーツ行政の関係機構を統合し、スポーツの振興や総合的な推進を行っています。その基本的な情報についてまとめました。


はじめに

「スポーツ庁」は、東京都千代田区霞が関にあり、2015年に設置された日本の行政機関です。定員は、121人です。

なお、前身の組織は「文部科学省スポーツ・青少年局」でした。

今回は「スポーツ庁」の公務員を目指す方に押さえておいてほしい基本的な情報と役割について解説します。

「スポーツ庁」について

「スポーツ庁」は、東京都千代田区霞が関に置かれた機関で、長は、スポーツ庁長官です。

この「スポーツ庁」は、2020年の東京五輪・パラリンピックの招致決定を契機に関連法が成立し、設置されました。

このような「スポーツ庁」では、スポーツ行政の司令塔として、選手強化や施設整備の仕事に一元的に取り組むことが期待されています。

と言うのも、最近では様々な競技において、ドーピング、パワーハラスメント、暴力行為などの問題事案が相次いで発生しており、このような問題の背景・要因には、勝利至上主義や行き過ぎた上意下達、集団主義、科学的合理性の軽視などの日本スポーツ界の悪しき体質・旧弊であるという厳しい指摘がなされているためです。

また、「スポーツ庁」は、1997年に発足され、徹底的な成果主義を導入した英国の文化・メディア・スポーツ省の所管する特殊法人「UKスポーツ」を見本とし、各団体から具体的な目標を提出させ、戦略的強化費の配分先となる重点競技を決定する役割も持っています。

この他、「スポーツ庁」はトップアスリートのためだけにあるのではないとして、施策の柱を「国際競技力向上」の次に「医療費抑制」を掲げて、その役割を担っています。

この施策の中で、「医療費抑制」を掲げる背景には、厚生労働省の発表によって、2014年には医療費が初めて40兆円を突破することが確実となったことがあります。

その一方で、「医療費抑制」のために運動・スポーツの実施を先進的に取り組む自治体では、3年後の医療費抑制効果が年間1人当たり約10万円というデータもあります。


そこで、2011年に成立したスポーツ基本法で「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」とうたわれているように、今後、ますます進むことが予測される高齢化社会の中で、スポーツを通じた健康増進への関心は高まっており、「スポーツ庁」は、その理念を実現することを大きく期待されています。

「スポーツ庁」の役割について

「スポーツ庁」の役割は、繰り返しになりますが、東京五輪・パラリンピックを成功させ、スポーツを振興させ、スポーツに関する施策の総合的な推進を図ることです。

加えて、「スポーツ庁」には、複数の省庁にまたがるスポーツ行政の関係機関を統合するという役割も持っています。

このような「スポーツ庁」では、「スポーツ・インテグリティ(誠実性・健全性・高潔性)」を高めるために、各競技団体や大学等にアスリートの指導に関する取組を要請しています。そして、「スポーツ庁」自身も下記の取組を行っています。

「スポーツ庁」の主な取組

(1)グッドコーチ育成のためのモデル・コア・カリキュラムの作成
(2)競技力向上事業助成金の配分に当たり、各競技団体のガバナンス・コンプライアンス体制などを評価する方針の策定
(3)大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)創設事業
(4)スポーツ団体の倫理・コンプライアンスに関する規程の整備状況等に係る現況調査
(5)スポーツ団体・アスリート・指導者等が注意すべき事項等を示したガイドラインの作成
(6)スポーツ団体の組織運営に係る統一的な評価指標の開発・試行
(7)アスリートへのコンプライアンス教育の強化、スポーツ団体に対するモニタリング体制の構築
(8)アスリートやサポートスタッフ等を対象としたドーピング防止教育、フェアプレイ精神の教育の実施
(9)ドーピングに関するインテリジェンス活動の促進

「スポーツ庁」の組織構成について

「スポーツ庁」の組織構成は、「幹部」である「スポーツ庁長官」「スポーツ庁次長」「審議官」と、「内部部局」である「政策課」「健康スポーツ課」「競技スポーツ課」「国際課」「オリンピック・パラリンピック課」「参事官(地域振興担当)」「参事官(民間スポーツ担当)」によって成り立っています。

なお、先の「幹部」「内部部局」のほかに、「スポーツ審議会」があります。

「スポーツ庁」の年間予算は約339億9,000万円

「スポーツ庁」の平成30年度の予算は、約339億円でした。

その主な内訳項目は、大きく2つ、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会・2019年ラグビーW杯等に向けた準備費用」と、「スポーツ施策の総合的な推進費用」に分かれています。

なお、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会・2019年ラグビーW杯等に向けた準備費用では、技術力向上事業の拡大が96億円で、全体のおよそ30%を占めています。

内訳についてはこちらの予算概算要求の概要をご参考ください。

http://www.mext.go.jp/sports/a_menu/kaikei/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/01/16/1400212_01.pdf

まとめ

いかがでしたか?

「スポーツ庁」は、2020年の東京五輪・パラリンピックの開催準備や競技振興などに力を入れる傍ら、現在の日本が高齢化社会にある現状を踏まえてスポーツを通じた健康増進を図るため、関連省庁との連携に努めています。

ちなみに、「スポーツ庁」の英語名称は「Japan Sports Agency」で、略称は「JSA」です。


「スポーツ庁」のウェブサイトのURL

http://www.mext.go.jp/sports/

本記事は、2018年11月3日時点調査または公開された情報です。
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