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デジタル庁とは? - 新設される新たな組織「デジタル庁」を徹底解説

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目次

はじめに

日本のデジタル化は、世界の先進国と比較しても決して高水準とはいえず、IMD(国際経営開発研究所)が発表した「世界デジタル競争力ランキング2019」では、日本は63カ国中23位でした。

新型コロナウイルスの流行もあり、日本は政治・経済・教育・医療など様々な分野でさらなるデジタル化が求められています。

今回は、そんな日本のデジタル化を遂行するために発足する新しい行政組織「デジタル庁」について説明します。

「デジタル庁」とは?

デジタル庁とは、行政の、そして日本全体のデジタル化を推し進めるための司令塔となるべく新設される予定の行政組織です。

2020年9月16日に成立した菅内閣(すがないかく)の目玉政策であり、首相直轄型の組織にすることを検討しているようです。

「デジタル庁」はいつ発足するのか

政府によれば、デジタル庁は、2021年9月1日に非常勤を含め500人程度の人員で発足する予定です。

「デジタル庁」発足の目的

現在の「縦割り行政」と呼ばれる業務の運営方法では、各省庁がそれぞれにITシステムの構築や運営を行っており、組織を横断したデータの活用やシステムの運営が困難です。

そのため、各省庁で業務が重複したり、必要以上のコストがかかったりと、マイナス面が大きいのが現状です。

例えばコロナ禍での給付金などもそうですが、今のシステムのままだと政策が実際に実行に移されるのに膨大な時間がかかってしまいます。

デジタル庁発足の一番の目的は、これらIT関連業務を効率化することです。

「デジタル庁」の主な業務4つ

デジタル庁の主な業務を4つ、ご紹介します。


役割その1:ITシステムの統一

上記でも説明したように、デジタル庁の一番重要なの業務となるのが、各組織でバラバラに導入されているITシステムを統一することです。

これによって、各省庁間だけでなく、行政機関と地方自治体の間でもスムーズにデータのやりとりを行えるようになります。

役割その2:マイナンバーカードの普及を促進する

マイナンバーカードの普及率は、2020年12月1日の時点で2割程度であり、政府の目指す「全国民が所有する」という目標にはまだ遠い数字です。

そこで、デジタル庁が重点的に取り組むと予想されるのが、マイナンバーカードの普及促進です。最終的には、マイナンバーカードは2021年3月には健康保険証として、早ければ2026年には運転免許証との一体化を進めていく方針です。

デジタル庁では、こうしたマイナンバーカードに関連した業務を行うことが予想されます。

役割その3:行政手続きのオンライン化を可能にする

住民票や戸籍を発行する際、今までであれば市区町村の役所に行き、書類を記入して窓口に提出しなければなりませんでした。

デジタル庁では、こうした手続きをスマートフォンを使ってオンラインで行えるようにするとしています。

役割その4:医療・教育分野のデジタル化に取り組む

デジタル庁では、教育、医療といった分野のデジタル化促進についても取り組む予定です。

現在、医療や教育分野には規制が多く、これらのサービスを受けるのは簡単ではないのですが、デジタル庁では、医療や教育分野での規制を緩和し、オンライン診療・教育を問題なく受けられるようにする業務を担います。

「デジタル庁」の発足で、私たちの生活はどう変わる?

私たち国民が感じるであろう一番最初の変化は、「行政手続きが楽になる」ということではないでしょうか。

住民票一枚のために、判子を持って役所までわざわざ足を運ぶ必要がなくなり、給付金などがすぐに銀行口座に振り込まれたり、国や市町村の手続きがワンストップで済みます。

また、デジタル化が進み、場所を選ばず働けるようになれば、企業・法人は必ずしも「東京圏」に本社を構える必要がなくなります。すると、現在「消滅可能性都市」でも課題となっている東京一極集中の解消につながると考えられます。

「消滅可能性都市」については、以下の記事で詳しく説明しているので、あわせてご参照ください。

》消滅可能性都市とは - 2040年までに、約半分の自治体が消滅する?


本記事では、「日本創成会議」が2014年に発表した「消滅可能性都市」について解説します。消滅可能性都市とはなんなのか、どのような問題が起こるのか、消滅を回避する手立てはあるのかについて、詳しくまとめました。

「デジタル庁」で働くには?

ここまでデジタル庁発足の目的や業務についてみてきましたが、デジタル庁で働くにはどうしたらいいでしょうか。

デジタル庁は500人規模での発足を予定していますが、このうち約100人ほどは、民間から起用する方針です。

2020年12月時点で募集のある職種について説明します。全職種を通して、応募期間は、令和3年1月4日~令和3年1月22日であり、採用予定日は令和3年4月1日以降です。選考は、書類選考の後、複数回の面接を行います。

なお、詳細については内閣官房の公式ホームページをご参照ください。

▼参考URL:デジタル庁(仮称)の創設に向けて人材募集中
(https://recruitment.digital.go.jp/)

情報発信基盤(デジタルサービス)

プロジェクトマネージャー(デジタルサービス)

プロジェクトマネージャー(デジタルサービス)の主な業務は、プロジェクトマネジメントやガバメントデジタルサービス(GDS)の設計プロセスの立案と遂行です。

ベースレジストリ

プロダクトマネージャー(シニアデータスペシャリスト)

プロダクトマネージャー(シニアデータスペシャリスト)の主な業務は、住民中心の住民データモデルの策定、ベースレジストリの構成の検討、実施計画の策定及びマネジメント、ベースレジストリ整備に当たっての関係者との調整です。

ガバメントクラウド

クラウドエンジニア

クラウドエンジニアの主な業務は、各種クラウド標準構成の整備や、コード化・データ化したクラウド環境のテスト、維持、改善、運用です。

ネットワーク一元化

プロジェクトマネージャー(政府共通ネットワーク等)

プロジェクトマネージャー(政府共通ネットワーク等)の主な業務は、プロジェクト全体計画、各実装プロジェクトの設計/構築フェーズ、各府省への新システム適用等です。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアの主な業務は、ネットワーク設計、ネットワークラボ検証などです。

システムオペレーションマネージャー

システムオペレーションマネージャーの主な業務は、システム及びサービスの安定稼働、利用者へのサービス提供です。

アプリケーション開発エンジニア

アプリケーション開発エンジニアの主な業務は、Webアプリケーション開発検証、サポート連携です。

新システム企画構想

プロジェクトマネージャー(システム企画)

プロジェクトマネージャー(システム企画)の主な業務は、デジタル庁に関する新たなルール形成や大規模な情報システム、府省共通システムに関するプロジェクトの企画および推進です。

ITストラテジスト

ITストラテジストの主な業務は、府省共通システムの更改にあたり、制度面の制約、業務上の各種課題、システム面での課題等を総合的に把握、分析した上で、国家公務員全体の生産性向上、働き方の改善の観点から、抜本的に新しい形態での新システムを構想、企画することです。

ITマネジメントスペシャリスト

ITマネジメントスペシャリストの主な業務は、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」を中心としたガイドライン群の文書について、政府のITプロジェクトの現場が過去の制約にとらわれずに効率的、効果的に業務を推進できるように、文書体系や文書内容自体を見直すことです。

プロジェクトマネージャー(政府共通プラットフォーム等)

プロジェクトマネージャー(政府共通プラットフォーム等)の主な業務は、クラウドを活用した第二期政府共通プラットフォームのプロジェクト等、政府内部で利用している大規模システムにおいて、利用者側の問題点や運用で発生している問題点を把握し、多数の関係者間の調整を行いながら対策を実施することです。

民間人材リクルーティング

リードリクルーター

リードリクルーターの主な業務は、採用戦略及び選考プロセスの企画立案、実行、採用媒体掲載計画の立案と実行、エージェントマネジメント、採用ブランディングの計画の立案と実行、採用イベントの企画と実行、採用候補者体験の向上に関する施策の企画、実施です。

「デジタル庁」の問題点とは?

さいごに、懸念されるデジタル庁の問題点についても触れておきます。


問題点その1:情報漏洩の危険性

膨大な個人情報がマイナンバーで紐づけられ、デジタル庁がその情報を一手に握るとなると、個人情報の漏えいや悪用が起きる恐れがあり、そのための非常に高度なセキュリティが必要となります。

2020年9月、NTTドコモが提供する電子決済サービス「ドコモ口座」を利用し、銀行口座から第三者が不正に現金を引き出す被害が相次いで発生する事件は記憶に新しいですが、似たようなことが起こらないとも限りません。

問題点その2:強い権限による監視社会

もう一つの懸念点は、政府がデジタル庁に対して、予算の計上や執行をはじめとした強い権限を与えると提言していることです。

強い権限を持ったデジタル庁が国民の情報を一元管理することで、監視社会になる危険性もあります。

まとめ

以上、「デジタル庁とは? - 新設される新たな組織デジタル庁を徹底解説」でした。

日本のデジタル化は、世界の先進国と比べても決して進んでるとは言い難い状況であり、この遅れを取り戻すべく「デジタル庁」の活躍が期待されます。

同時に、国民の個人情報を扱い、強い権限を持つ組織として、セキュリティーの確保と正しい運営が極めて重要になるでしょう。

参考資料サイト

内閣官房|デジタル庁(仮称)の創設に向けて人材募集中。
https://recruitment.digital.go.jp/

総務省|行政のデジタル化について
https://www.soumu.go.jp/main_content/000659407.pdf

総務省|マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(令和2年12月1日現在)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000723319.pdf

デジタル改革関連法案ワーキンググループとりまとめ
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/houan_wg/dai4/siryou4.pdf

NTTドコモ|一部銀行の口座情報を使用したドコモ口座の不正利用について
https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/200908_02_m.html

電通、世界24カ国で国際比較した「デジタル社会指標」と「デジタルニーズ充足度」を発表
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2019038-0409.pdf

Flexibility and Adaptability Key to Digital Success: USA top, Asia grows in strength in IMD World Digital Competitiveness ranking
https://www.imd.org/news/updates/imd-world-digital-competitiveness-ranking-2019/?fbclid=IwAR1OJGRDdj9VZAqPOEa6q2cxBRlQAfWj2yMUP1fXfUGN9G2-Y5JC3D_g3r4

本記事は、2021年1月1日時点調査または公開された情報です。
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公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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