「国会」はいつ開催されるのか?-特別・臨時国会とは?

「国会」は一年中、開かれているわけではありません。

「国会」が必ず開かれているのは、一年の約半分で、あとは年毎の政治情勢によって「国会」が開かれているタイミングが異なります。

本記事では「国会」はいつ開催されているのかについて説明します。


「国会」に4種類の会議がある

通常国会

まず、「国会」の中で最も会期が長いのが通常「国会」です。通常国会とは次年度の予算と、さまざまな法律に関する審議をする「国会」で、年に1回必ず開催され、1月に召集されます。

通常国会において重要な議題が国家予算の決定です。「国会」が承認した予算案をもとに各機関や事業に予算を割り振るので、翌年度までに予算が承認されなければ国家運営に制限がかかります。国会運営に必要不可欠な予算については暫定予算ということで執行できますが、新規事業の予算などは盛り込まれません。ちなみに、日本では直近、第二次安倍政権の2013年度予算が暫定予算となりました。

ただし、暫定的な予算なので「国会」の承認がいつまでも得られないと失効します。暫定予算も失効してしまうと、国家運営に関わる予算を執行できなくなります。日本では例はありませんが、アメリカではまれにこのような事態が発生します。例えば、アメリカで2018年12月から政府の一部機関が閉鎖になってニュースになっていますが、これは連邦政府の暫定予算が失効してしまって、予算を執行することができなくなったからです。

なお、通常国会の期間は原則150日間ですが、1回だけ延長することができます。

臨時国会

通常国会の期間外に「国会」の開催が必要になったときに開催される「国会」のことを臨時国会といいます。内閣が招集するか、衆参いずれかの総議員の4分の1以上が要求すれば開催できます。主な議題は通常国会で審議しきれなかった法案の審議です。

臨時ということで、イレギュラーな国会開催かと思われるかもしれませんが、基本的には毎年何らかの理由によって開催されています。直近で開催されなかった年から遡ると、平成27年、平成17年、昭和59年とほとんど開催されなかった年はありません。

招集するタイミングは法律によって決められているわけではありませんが、毎年秋ごろに召集されて、期間は衆参の議決によって決定します。会期の延長は2回まで可能です。

特別国会

特別国会とは衆議院の総選挙後に総理大臣を決定するために開催する「国会」です。参議院は任期が安定していますが、衆議院については解散権を内閣が持っているため内閣が政治情勢などから判断して突然衆議院が開催される可能性があります。

憲法に基づけば衆議院の総選挙後に内閣は総辞職しなければならないので、衆議院の総選挙によって衆議院議員が改選された際には、総理大臣を選び直すことになります。ただし、総理大臣を選ぶといっても法案や予算案のように長い審議は必要ないので大抵の場合はすぐに総理大臣を決定して解散となります。今までの最長記録は通常国会の代わりも兼ねた1972年末の特別国会280日ですが、最短で3日、長くても10日程度で終わることが一般的です。

ちなみに、特別国会は衆議院の総選挙後30日以内に開催する必要があり、会期は衆参の議決で決定します。会期の延長は2回まで可能です。

参議院の緊急集会

最後に紹介するのが参議院の緊急集会です。これは衆議院解散などによって衆議院が存在せず、「国会」を開催することができないときに、参議院だけで開催する「国会」の代わりとなる会議です。日本国憲法や国会法に内容が規定されていますが、実際にはほとんど参議院の緊急集会は実施されていません。それも1952年、53年の2回だけのことなので、60年以上開催されていないことになります。


ちなみに緊急集会での決定事項は、衆議院が改選されて「国会」が開催されてから10日以内に衆議院の同意が得られない場合は、将来に対して失効します。(決定から失効するまでの期間については有効です。)

オーソドックスな「国会」スケジュール

上記のことを踏まえて、オードソックスな「国会」の年間スケジュールについて簡単に説明します。

1~3月

まず、通常国会が1月から開催されます。招集は内閣が行い、日にちは毎年バラバラです。会議はまず開会式より始まります。天皇陛下が臨席するもとで衆議院議長が式辞を述べます。

また、通常国会の冒頭には内閣総理大臣が施政方針演説を行います。施政方針演説とは内閣総理大臣がその1年間の政府の基本方針や政策を述べる演説で、これに続いて、外務大臣が外交演説、財務大臣が財政演説、経済財政政策担当大臣が経済演説を行います(これを四演説と呼びます。) 。そして、四演説に対して、各会派から代表質問が行われます。四演説は法律によって実施することが定められているわけではありませんが、慣例上毎年行われます

また、1月~3月の通常国会でもう1つ重要なイベントが政府からの予算案の提出です。衆議院で予算が議決されると衆議院にまわされて衆議院で議決すると予算が成立します。参議院で予算が否決されれば両院協議会を開催して予算案を協議して、成案に至らなければ衆議院の優越により、衆議院の議決が「国会」の議決となります。

2月末から3月程度まで予算案の審査は行われて、予算の審議が終わると条約や法案の審議に移ります。

4~6月

通常国会は毎年1月に召集されて、会期は150日間なので延長がなければ6月にはその年の通常国会が終了します。終了までにさまざまな法案や条約の審査を行います。

後半の方になると、重要な法案の審議が進んで、与野党の対立が進む事も多いので、政策に関するさまざまな論点が一般にも注目されやすいタイミングになります。また、審議に会期が不足している場合は、会期の延長も審議するタイミングになります。

7~9月

通常国会が延長されたり、何らかの政治情勢によって臨時国会を開かれたりしない限り、夏場は基本的に「国会」が開催されません。各議員は地元に戻って選挙のために後援者回りをしたり、政党が政策をブラッシュアップしたりしやすいシーズンです。このタイミングで海外視察に出掛ける議員も多いです。また、参議院の選挙は3年毎に7月に行われるので、参議院議員にとっては選挙のシーズンでもあります。

9月頃から必要に応じて、臨時国会が召集されることが多いです。臨時国会では、可決を急ぎ法律案や当初の予算では対応しきれない事業に対する補正予算案の審議を行います。

10月~12月

9月の前半から10月位までは臨時国会で補正予算案や法案の審議を行うことが多いです。そして、11月ご里には前年度の決算も「国会」に提出されますので、必要に応じて決算の概要報告を受けて、質疑応答を行います。臨時国会はだいたい3か月程度行われて、12月中に閉会となります。閉会すれば、「国会」の1年は終了となります。

もちろん、衆議院選挙のタイミングによっては、1年かのいずれかのタイミングで特別国会が開催される可能性もあります。

「国会」が開催されていないときは

「国会」が開催されていないからといって、その間に国会議員や関連の公務員を何もしなくても良いというわけではありません。「国会」が開催されていないときの議員や官僚の仕事について考えます。

選挙活動も大事

国会議員は当選しなければ職を失ってしまいます。議員として「国会」で活動することも大事ですが、次の選挙でも当選できるように地元に帰って選挙基盤を整えることも国会議員の重要な仕事です。政党に所属している議員は選挙で党のバックアップを受けることができますが、かならず公認をもらえるわけではありませんし、その政党が必ず集票できるわけではありません。いざというときのために自分の支持基盤をしっかり持っている必要があります。

そのためによほど選挙に強い議員でもない限り、「国会」閉会中は地元に戻って後援者回りとしたり、活動報告をしたりと政治活動をしている場合が多いでしょう。


「国会」を支える官僚たち

「国会」開催中は、議会での質問に対する回答や資料を作成しなければならないため官僚も忙しいです。「国会」閉会すると「国会」対応が無くなるのでいくばくかゆったりと仕事をすることができますが、それでもさまざまな業務があります。法案や予算案を作成したり、法律に基づいて行政施策の企画・実行をすることも官僚の仕事です。

内閣は1年中活動している

国会議員でも内閣のメンバーになっている場合は、1年中内閣としての仕事があります。一般のサラリーマンと違って労働基準法も適用されないので、1日8時間以上働かなければならない場合もありますし、土日に仕事になる場合もあります。内閣の活動については、各省庁のWEBサイトやメディアなどの「動静」のコンテンツで確認することができます。

(例えば首相の動静は:https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/index.html)

まとめ

以上のように、「国会」はいつ開催されているのかについて紹介してきました。

基本的には1月から6月まで通常国会があって、秋ごろから年末まで常態化している臨時国会が開催されると考えれば良いでしょう。また、この他に衆議院議員総選挙の後は内閣総理大臣を選ぶ特別国会が開催されます。制度上は衆議院が存在しないときの緊急の「国会」として参議院の緊急集会という制度もありますが、60年以上使用されていません。

だいたいのスケジュール感は決まっていますが、議会を招集するタイミングや選挙のタイミングによっても毎年の「国会」開催のスケジュールは異なります。本記事のスケジュールはあくまでも一つの目安として考えてください。

ちなみに、「国会」閉会中でも国会議員は有権者の声を聴いたり、地元で後援者を回ったり、活動報告をしたりと政治活動をしていますし、内閣のメンバーは、「国会」の開催期間か否かに関わらず行政の仕事をしています。

官僚も、「国会」のサポートで「国会」開催期間中は特に忙しいと言われていますが、閉会中でも予算の管理・執行や新しい法案の作成などさまざまな業務をこなさなければなりません。

本記事は、2019年2月7日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

気に入ったら是非フォローお願いします!
NO IMAGE

第一回 公務員川柳 2019

公務員総研が主催の、日本で働く「公務員」をテーマにした「川柳」を募集し、世に発信する企画です。

CTR IMG