「日本」と「国連」と「国連分担金」について
日本は「国際連合(国連)」に加盟しています。
「国連」は前身組織である「国際連盟」が第二次世界大戦を防げなかったことを反省して、終戦後の1945年10月に51カ国の加盟国で設立されました。
現在の「国連」に、日本が加盟したのは1956年12月で、80番目でした。現在、193カ国が加盟していますが、「国連」の運営のための資金は加盟国がそれぞれ負担しており、負担金は「国連分担金」と呼ばれています。
この「国連分担金」は主に国連が行う「平和維持活動」などの経費に使われます。「国連分担金」の金額は、各国の経済状況を踏まえて「国連総会」で決定される仕組みになっています。また、「国連分担金」は3年ごとに改定され、直近の加盟国各国の経済力を示すものとして注目されています。
「国連分担金」の分担率は、各国の経済力を基本として算出
「国連分担金」の分担率は国連総会で採択されますが、その具体的な金額は加盟国の「支払能力」を基本として算出するものとされています。つまり、どの国でも一律◯円といった入会金や会員費のようなものがあるのではなく、国によって負担する金額が違うということです。
その国がどのくらいお金を持っていて、どのくらい「国連」に払うことができるのかが3年に1度、国連総会で話しあわれる仕組みになっています。
国連の分担金は、国の経済力を加味して決められています。
具体的には「国民総所得(GNI)」が世界の所得の合計の何%を占めているかをその国の「経済力」とみなし、その比率を基礎とした計算式で算出しているようです。
貧しい国は負担が少なく、経済力がある国は負担が大きくなるような仕組みになっており、国連分担金がその国の国力を示しているという見方もあるため、国連分担金のランキングは世界的に注目されているようです。
その一方で、国ごとに分担金の金額が異なるのは、経済力の有無で国連加盟の可否を決めるわけではなく、どのような国でも加盟できるような配慮があるとも言えます。
「国連分担金」の金額上位ランキング
2019年の「国連分担金」が高額な国を上位ランキングを順番に紹介します。
国連分担金1位はアメリカ合衆国、2位は中国、3位は日本。
まず1位は「アメリカ合衆国」で、国連の予算全体の約22%を負担しています。2位は「中国」で、全体の約12%を負担しています。3位は日本で全体の約8.5%の負担率となっています。
4位からドイツ、イギリス、フランス・・・
4位は「ドイツ」で約6%、アメリカや中国と同じく、国連の「常任理事国」でもある「イギリス」と「フランス」はイギリスが約4.5%で5位、フランスが約4.4%で6位という順位になっています。常任理事国だから負担率が高いというわけではなく、あくまでも各国の経済状況によって分担金が決まっていることがわかります。
常任理事国、ロシアは10位
ちなみに、もうひとつの「常任理事国」である「ロシア」は2.4%で10位でした。そのほか、国連加盟国193カ国のうち、50カ国近くが下限である0.001%の負担率となっているようで、1位のアメリカとは大きな差があると言えます。
▼参考:キッズ外務省ホームページ「世界いろいろ雑学ランキング:国連分担金の多い国」
えっ!?「国連分担金」の滞納問題?
「国連分担金」は上限が国連の予算全体の22%、下限が0.001%と定められており、2019年の「国連分担金」の金額での1位はアメリカで、負担率22%でした。
分担金を滞納している国が多数あり、アメリカもその1国
実は「国連分担金」を滞納する国は加盟国193カ国中、70ヵ国以上もあり、国連の財政難に繋がっていると言われています。
「国連分担金」の滞納額が最も大きいのもアメリカであり、すべての国の滞納額を合計した約半分が、アメリカによる滞納分のようです。さらにアメリカは、国連の平和維持活動の予算のうち、アメリカ負担が大きすぎることを理由に、2019年以降の「国連分担金」の一部の支払い拒否を表明しています。
「国連分担金」を滞納するとペナルティがあります。そのペナルティとは、「国連分担金」の滞納額が2年分の分担額を超えてしまうと、その国は国連総会での投票権を失うというものです。国連総会での発言権を保つには、「国連分担金」を滞納は避けたいところです。
しかし、近年では国連が経費を使って「国連軍」を派遣する機会が増えたことからアメリカのように様々な理由で「国連分担金」の支払い拒否をする国も出てきており、経費の増額に対して収入は満足のいくものではなく、国連の財政は厳しいようです。
「国連分担金」は、やっぱり発言権に影響する?
国連の加盟には経済力に見合った「国連分担金」を支払えばよいのですが、「国連分担金」の比率が大きい国ほど発言権も大きい傾向があるとの見方もあるようです。実際に、国連の「常任理事国」は全て分担金の上位10位までに入っており、世界の中で存在感を示しています。
「国連分担金」比率、日本は中国に抜かれ2位から3位に後退
かねてより国連の「常任理事国」になることを目指している日本は、1980年代から「国連分担金」の負担率では2位の座にありました。しかし、2018年の負担率は約9.6%で世界2位でしたが、2019年からの3年間は約8.5%に減額しています。
一方の中国は、「国連分担金」が2016年から2018年までは負担率約7.9%だったところを、2019年から2021年までの3年間は約12%まで増額、急上昇しています。
今まで「国連分担金」の負担額が大きく、国連の財政に貢献したことを訴えて「常任理事国」を目指してきた日本ですが、中国に2位の座を譲ったことで、経済力だけでなく、国連での発言力の低下も懸念されているようです。
まとめ
このページでは「国連分担金」とは何か、どのように決められているのかをご紹介しました。
国連に加盟している全ての国が支払い義務のある「国連分担金」ですが、その金額はそれぞれの国の「経済力」を表し、「国連分担金」のランキングは各国の勢力図とも見ることができます。
日本は1980年代から2018年まで「国連分担金」の負担率は世界2位を誇り、名実共にアジア1の経済大国として国連での存在感を高めてきました。しかし、2018年の国連総会で2019年からは中国が世界2位に取って代わることが決まりました。
日本は世界3位の「国連分担金負担国」としてこれまで通り、国連の財政に貢献し、平和維持活動を支援することに違いはありませんが、今後日本が引き続き「常任理事国」を目指していけるのか、その発言権の変化が注目されています。
また、世界各国はこれまで通り「国連分担金」を支払うのか、アメリカのように一部拒否する動きが広がるのかなど、「国連分担金」の在り方自体にも、転換期が訪れているとも言えます。
本記事は、2019年3月31日時点調査または公開された情報です。
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