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神戸市が採用に「デザイン・クリエイティブ枠」を新設!デザインの価値とは

神戸市が、平成31年度の地方公務員採用試験で、事務区分と技術区分の他に、「デザイン・クリエイティブ枠」を設けることを発表しました。

本記事では、神戸市の設けた「デザイン・クリエイティブ枠」の概要や、現代社会におけるデザインの重要性について考察していきます。

2019年06月04日更新

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目次
はじめに
「デザイン・クリエイティブ枠」の概要
デザイン都市神戸の取り組み
ビジネスにおけるデザインの重要性
まとめ

はじめに

地方公務員の試験区分は大まかに分類すると、事務区分と技術区分があり、事務系区分は行政事務や一般事務などとも呼ばれ、県庁や市役所、その出先機関で勤務します。一方で技術区分は土木、電気、機械のように専門分野に関係した機関に配属される試験区分です。

このような試験区分は自治体によって大きな違いはありませんが、神戸市が平成31年度採用試験から政令市としては初めて「デザイン・クリエイティブ枠」を設けることを発表しました。

神戸市の「デザイン・クリエイティブ枠」の概要、そして現代社会におけるデザインの重要性について、考察していきます。(本稿は事実をもとに筆者の考えをまとめたものであり、本メディアの意見と必ずしも一致するものではありません。)

「デザイン・クリエイティブ枠」の概要

まずは神戸市が発表した「デザイン・クリエイティブ枠」の概要について説明します。神戸市は2018年11月に平成31年度採用試験から新卒の「デザイン・クリエイティブ枠」を新設することを発表しました。

神戸市では2017年12月に「神戸市の人材確保方策に関する有識者会議」を立ち上げて、公務員組織に関する議論を重ねてきました。会議の中からの提言内容を踏まえて今回行うことになったのが、「デザイン・クリエイティブ枠」の新設です。

神戸市が求める人材を確保するための新たな取り組み「第2弾」
~平成31年度より採用試験を変更し、「デザイン・クリエイティブ枠」を新設します~
http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2018/11/20181108830101.html

一般枠として採用する

冒頭で説明した通り、公務員の試験・採用区分は大きく事務区分と技術区分に分類することができますが、デザイン・クリエイティブ枠は一般枠(事務区分)として採用されます。つまり、土木、電気、機械などの専門家として専門の部署で働くのではなく、自治体や出先機関で経済や法律を学んだと同様にデザインを学んだ人材が働くということです。

一般的に事務職の方が広範な部署に配属される可能性が高く、神戸市のデザインに対する注力の仕方が伺える採用の仕方となっています。

プレゼンテーション試験を導入する?

神戸市のプレスリリースによると試験は通常の公務員試験と異なり、プレゼンテーション試験を導入することを発表しています。プレゼンテーション試験とはあらかじめ指示する課題についての対策や改善点について受験者がプレゼンして採点される試験です。また、プレゼンテーション試験の中で自己PR(パフォーマンス、作品集の紹介など)を求められることもあるとのことです。

神戸市職員として働きませんか? 2019年度採用試験日程が決定!:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000027224.html

試験の概要

本記事執筆段階では具体的な採用人数や試験内容は発表されていませんが、公表されているデータから試験の概要について説明します。

▼受験資格者
新卒採用なので大学卒は27歳(院卒は29歳以下)、高専・短大卒は25歳までとなっています。

▼試験内容
まだ予定の段階ですが試験は3次試験まで用意されており、一次試験で適性検査(能力、職務適性)・論文・アピールシート、二次試験で個別面接・グループワーク、三次試験で個別面接、プレゼンテーション試験となっています。

▼日程
2019年の受験申し込みは4月25日~5月23日まで、一次試験は6月23日、二次試験は7月中旬、三次試験は8月下旬に開催予定です。最終の合格発表は9月上旬の予定です。

ちなみに神戸市では大学卒特別枠試験も

ちなみにデザイン・クリエイティブ枠の話からはすこしずれますが、平成31年度の採用試験で神戸市では大学卒特別枠という採用枠を設けました。これは民間起業志望者をターゲットに想定して通常の採用試験よりも2か月早い4月から行う採用試験で6月中下旬には最終合格者が決定する試験です。

デザイン都市神戸の取り組み

ちなみに、神戸市がデザイン・クリエイティブ枠を採用したのは突然のことではなく、神戸市は行政として「デザイン」の持つ価値に注目してきた団体でもあります。

ユネスコ創造都市ネットワークに認定

神戸市は2008年10月にユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市に認定されました。ユネスコ創造都市ネットワークはユネスコが行っている事業の1つで、芸術分野における都市間でのパートナーシップを促進する取り組みで、神戸市の他にもデザイン部門ではベルリンや上海などが認定されています。

デザイン・クリテイティブセンター神戸を創設

また、神戸のデザイン都市のシンボルとなる拠点として2012年にデザイン・クリエイティブセンター神戸を、旧神戸生糸検査所をリフォームして開設しました。同施設にはホールやギャラリー、セミナー・ワークショップスペースはもちろんのこと、オフィスやアトリエとして利用可能なラボスペースも用意されており、クリエイターの育成、交流の拠点になっています。

神戸市として「クリエイティブディレクター」を採用

神戸市では「クリエイティブディレクター」としてデザインの専門家の採用も行っています。クリエイティブディレクターは週3日もしくは4日勤務で、市が取り組む事業でのデザイナーの立場からの助言や職員研修、広報物のデザインに関する助言や指導、制作を行います。

ビジネスにおけるデザインの重要性

以上のように神戸市はデザインの持つ価値に着目して、「デザイン・クリエイティブ枠」を新設しましたが、民間企業でもデザインの持つ価値に注目が集まっています。本章では民間企業の事例をベースに説明します。

デザイナーとアーティストの違い

ちなみにここからデザイナーという言葉を使っていますが、デザイナーとアーティストは異なる仕事です。どちらもクリエイティブな仕事ではありますが、アーティストは自分の表現したいものを作品にするのに対して、デザイナーはクライアントが伝えたいことをユーザーに伝えられるように作品を作るのが仕事です。

そして、デザイナーはニーズの汲み取り方や作品への表現の仕方などに一定の作法を持っており、これは大工や料理人のように技術を必要とする職業でもあります。

本記事で説明する「デザイン」はデザイナーの仕事であって、アーティストの仕事ではないことに注意して読んでください。

UI/UXをどうデザインするか

近年IT業界においてサービスを開発する際に、重要な論点の1つになっているのが「UI/UX」をどのようにデザインするのかということです。

UIとは「ユーザーインターフェイス」、UXとは「ユーザーエクスペリエンス」のことを指します。ユーザーインターフェイスとはWEBサイトやアプリを見ているときの操作画面、ユーザーエクスペリエンスとはそのサービスを使うことによって得られる経験のことを指します。このUI/UXのデザイン、改善はサービスの成功を左右する重要な要素になっています。

例えば、WEBサイトを見ていて、表示速度が遅くてイライラしたり、観にくくて必要な情報がどこに置いているのかわからないのでブラウザを閉じてしまったりという経験はないでしょうか。WEBサービスは、デザインは良いのはもちろんのこと、直感的に使いやすいことが重要な条件となっています。

優れたデザイナーは「美しい」や「かっこいい」など心の琴線に触れるデザインをするだけではなく、ユーザーがストレスなく、直感的に利用できるようにサービスをデザインしているのです。特にUI/UXを設計するデザイナーはUI/UXデザイナーと呼ばれていて、優れたUI/UXデザイナーは色々な企業から引く手あまたになっています。

デザインを内製化する企業

これまでデザイナーの地位は日本において高かったとは言い難いですが、近年デザイナー人材に関するニーズは高まりつつあります。昔はマーケティングと言えば、広告代理店や広告会社などに任せるものでしたが、近年はWEBマーケティングなどの発達によって中小企業でも自社で広告デザインを内製化する会社も徐々に増加しています。

デザインを外注すると費用もさることながら、実際に制作物ができるまで時間が掛かってしまうので、制作物をスピーディーにリリースすることができるデザインを内製化した企業の方が競争で優位に立てることが多いのです。

Apple製品はなぜデザイナー、エンジニアを魅了するのか

デザインを強みに製品やサービスを作る企業もたくさん存在します。例えば、Appleの製品はMacやiPhoneなど洗練された美しいデザインでファンの心を魅了しますが、初期のAppleのこだわりの1つとしてフォントがあります。

コンピューターが普及し出した当時のコンピューターのフォントは文字間隔が不自然で文字が美しくないのに対して、当時のMacのフォントは美しくデザイナーやエンジニアの心を魅了しました。今でもデザイナーやエンジニアの中にはMacやApple製品にこだわる人が多いのですが、これはフォントの例に代表されるように創業当初からApple製品が持っていたデザインに対するこだわりによるものだとも言えます。

まとめ

以上のように、神戸市が新卒の採用枠として「デザイン・クリエイティブ枠」を新設したことと、更に広い視点からビジネスにおけるデザインの重要性について説明しました。神戸市ではこれまでも、デザイン・クリテイティブセンター神戸を創設やクリエイティブディレクターというデザイン職の採用を行っており、デザイン都市を標榜しデザインに力を入れた取り組みを行っています。この流れから考えれば、「デザイン・クリエイティブ枠」を設けることが自然な流れだと言えます。また、これに関して注目すべきは、技術職ではなく事務職の採用枠の1つとしてデザインを学んできた学生を採用しようとしていることで、組織としてデザインに関する理解と技術を身につけようとする神戸市の本気度が伺えます。

ちなみに、行政だけではなく民間も含めて、広くビジネスという視点からみたときに、デザイナーのニーズは高まりつつあります。マーケティングやセールスを成功させるためには、商品の魅力を伝えるデザインが鍵になっており、優秀なデザイナーを採用したい、デザインを内製化したいという企業は増加しています。

このようなことを考慮すると神戸市以外にも今後デザインの持つ力に注目する地方自治体は徐々に現れると考えられます。

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