「自己肯定感」というものの探求の旅

【第2回】社会活動家インタビュー「佐藤由明」- 母親をサポートする「トカゲ大学」

「公務員」じゃないけど「公務員」のように、国やマチのために活動する社会活動家を特集したインタビューシリーズ、第二回は、企業と教育機関で心の健康を増やしながら、熊野で「いのちにつながる旅」を企み、子育てする母親のサポートを行う「トカゲ大学」を主催する、詩人"佐藤由明"さんです。


はじめに

今回は「詩人」であり、「心理相談員」であり、「経営者」でもある、佐藤由明(さとうよしあき)さんにお話を聴きました。

これまで創ってきた詩は4000編以上で、18歳から「ポエトリーリーディング」という表現(ライブ)をし、六本木、西麻布、銀座でバーテンや黒服をしながら夜を生きていた詩人が、ふとしたきっかけから昼の社会に出て、企業や教育機関で人の心に情熱を灯す仕事をはじめめたそうです。

心理相談員としては、理解されない、怪しまれる等、苦しい時期を経て、今では上場企業、ITベンチャー、クリニック、社会福祉法人をはじめ、様々な企業のメンタルケア、研修、人事、採用等を行なっています。

詩人として、「言葉は心だ」の信念のもと、生きてきた佐藤さんですが、現在は、言葉を超えた表現の力や、言葉や思いになる前の「衝動」を探求。そこに近づくための「根源的ないのちにつながる体験」を追求している、とのことです。

どのような流れで人の心を観るようになったのですか?

詩人としてクラブやライブハウスで表現を行う夜の世界が、カウンセリング、相談のまねごとのようなもののはじまりでした。

アーティストやシンガー、ダンサー、ラッパー、果ては、キャバ嬢、風俗嬢の相談を受けていました。そこで、夜の世界と括らずとも、何かを表現したく生きている熱く儚い人間たちの機微を観ました。

「生きている実感とはなにか?」愛と憎しみ、喜びと悲しみ、その感情の触れ幅だと感じ始めていました。

その後、縁があって、昼の社会に出た時に、テレビドラマや、人のうわさ話であーだこーだ、精神をすり減らしている人たちを見て、「なんて自分の人生を生きていないんだ!」と若輩者ながら思いました。その初期衝動は、今でも大切な塊として、肚の底にあります。

その後、昼の社会の大人たちの心を観るようになるのですが、、、

あ、21歳の大学3年の時に、詩人になりたくて、「言葉は心だ」ということで人の心を知りたく、心理学だ!と思い、産業カウンセラーの資格を取りに行きました。当時、4等身に憧れていて、大きなアフロ頭をしていました。勉強は好きなので、僕は一番前の席に座って、「おぉおぉ!なるほどぉ!」と感動しているのですが、後ろの人に「見えません!」と怒られながら、頭をひょいっとかしげると、その横の人が「それだとこっちが見えません!」みたいな感じで勉強していました。笑

昼(?)の社会人時代について教えてください。

詩人としてライブをやり続けていたかったのですが、仲間が薬で死にかけたり、なんとなく夜の営業に疲れ果てちゃってた時に、縁があって、ある日、大手アパレルの会社に社員として入りました。が、朝早く行ってコーヒーを入れて待っているのですが、先輩が来るとコーヒーと一緒に詩を渡しちゃう。最初はおもしろがられていましたが、だんだん、「仕事をしろよ、このやろう!」と女性にいじめられるようになりました。


そうこうして、昼の社会の人たちの方が、哲学が無いな、余裕が無いな、生きるとは、いったいなにか?心の大切さはどこにあるのだろう?と昼の社会で働く人々に疑問を持つようになります。

僕へのいじめが、僕が憎いというより、自分の心の中に空いた穴を塞ぐための鬱憤ばらしにしか感じなかったんですね。やばいなぁ、昼の社会人。。。と。

そんで、しばらく雇用されて、現場でのメンタルケアの実践をしながら、新しいメンタルケアの形を創りたい、カウンセラーのイメージを変えたい、ということで会社を作りました。

と同時に、大人から子どもに目が向きます。

元々、教育を本気でやりたい、というのもありましたが、人間が生きていく過程で、いつから心が自分の内側から外側に出ていってしまうのだろう?という疑問が、最も大きなテーマでした。

今の言葉で言う「自己肯定感」というものの探求の旅ですね。

その後、子どもの心を観たいと教育にも関わるようになると?

子ども

はい。大人の心をみつめていく上で、自己肯定感や、自尊心というものが、いつから何をきっかけに、自分の外側に遠ざかって行ってしまうのか?その僕なりの定義は、善悪や常識非常識を超えて、己の感情をどこまで味わい、楽しめるか?なのですが、、もっと簡単に言うと、年齢を重ね知識や経験が増える中でできあがっていく己のフィルター、自分の好き嫌いや、世界を見る目、世界や人を信頼する目を自分なりに把握し、まっすぐ付き合って行く感覚です。

子どもは己の中に己がいる。年齢を重ねていくと、他人の目や評価を気にするようになり、軸が外へ出ていってしまう感覚ですね。この謎を追求するために、子どもと向き合い、遊ぶようになりました。大学生や専門学校生も観てきましたが、やはり小学生の子どもたちから、人の心としての大切なことを学ぶことが多かったです。発見することばかりでした。

一言で言うと、「いのちを信じる勇気」を子どもたちから頂きました。まっすぐな目で、世界を掴まえる。フレッシュな感覚のまま、歌い踊る。感性のまま、衝動のままを言葉にする。年齢を重ね、評価軸に己の魂を合わせ、骨抜きになってしまった大人とは違い、とにかく子どもたちとの時間は学び、頂くことの連続です。

そして、段々と10年ぐらいかけて、僕なりの心の仕事のスタイルができてきます。それは、子どもから頂いたフレッシュさ、自己肯定感の塊を、研修やワークショップ、面談やカウンセリングを通して、大人に返していく。僕が触媒になり、時に解放しながら、時にフロー状態に入りながら、大人が自分に帰っていく感覚です。そんな流れの日々になっていきました。

おもしろいのは、お金の流れは、全く逆です。教育はご存知の通り、なかなかお金になりません。企業から頂いたお金を子どもに返していく。この循環は、今、僕がとても好きな循環です。インディアンの言葉に、「7世代先の子孫を想い、今を生きろ。」という教えがあります。そんな感じです。僕はそれを感じられる現場が大好きです。

お母さんを解放する場「トカゲ大学」とは?

トカゲ大学

大人から子どもの心を観るようになり、人間とは?こころとは?いのちとは?を追求してきた結果、たどり着いたのは、やはり、いのちの源、お母さんでした。

不登校やひきこもり、精神疾患の子どもたちを観ていく中で、行き着く先はお母さん。

今、悩んで壁にぶつかっている新しいいのちは、ものすごく力があります。人を思う力、愛や慈悲が強いです。そんな彼らが闇を光に裏返し、己の力を発揮する時、残念ながら障壁となるのは、力の発揮具合に動揺するお母さんの愛でした。冒険をさせられない、お母さんの愛。すべては愛がゆえなんですね。社会モデルの弊害も大きいですが、そこに相まって、生物としての愛が、危険回避のために心を育てない流れになってしまっています。お母さんの「いのちを信じる勇気」=自己肯定感が高くなれば、子どもに何かしなきゃとか、何かするべき、という自己犠牲感とかが無くなれば、子どもは勝手にすくすく育つ。と感じる体験が多くありました。

そんな中、ママ友や溢れる教育の情報間での評価や価値観に縛られるのではなく、自分の信じる信念で子どもと向き合って欲しいと、お母さんを解放する場を創っています。何かを上から教えるとかではなく、守秘義務のもと、素直な感情を吐き出し、自己を知り、人との違いを楽しむことをしています。感覚は人それぞれですからね。感覚がそれぞれの人間が子どもを育てるわけですから、子育ても千差万別なはずです。


なにより、子育て相談をしていると、佐藤先生みたいなママ友が欲しい、という話を多く頂きました。僕は女々しい上に待つのが仕事ですから、吐き出し口としては最高ですからね。これは皮肉ではなく、そういった信頼の余裕が無いのが、今の時代は大変です。そんなお母さんたちが心を解放し、温め合える場があればいいな、と。場の力は大事です。

あとは、女性活躍社会と言いながら、女性に役職を与えたり、仕事上の責任を与えたりしますが、企業のメンタルケアの現場では、子育てを筆頭に、生物としての機能、役割の不具合が生まれてきています。前近代的な価値観が残りながらの働き方改革等も原因としてあります。そんな中、女性はホテルのアフターヌーンティーや高い衣類等でストレスを流そうとしますが、それは一過性の快楽です。女性の面談やワークを進める中で、心身を解放して、じわりじわりと自分の価値観の変化を感じる時間や、自分独自のセルフケアを手に入れる。「こんな機会が欲しかったのです。」という実感の声を頂いてきたのも「トカゲ大学」をやろうと思う動機になりました。

とにかく、お母さんという存在そのものを無条件にリスペクトしたい。僕はリスペクトしまくっています。だって、いのちを創って、育んどるんですから。親父ができることなんてたいしたことない、と実感しながら。笑

▼トカゲ大学公式サイト:https://tokage.love/top

もう一つ活動されいてる「熊野いのちにつながる旅」とは?

熊野いのちにつながる旅

動機となった1つのエピソードを紹介させてください。その上でどんなことをするのかを。

心と魚の切り身のエピソード

長年、子どもたちのカウンセリングをしてきた中で、強く印象に残るエピソードがあります。小学校1年生、2年生、4年生の3人の子どもが共通して言葉にした、そして、信じていたこと。

「スーパーで売られているような魚の切り身が、自然の海の中を泳いでいる。」と、本気で思って、言葉にしたこと。これは、なかなか心を揺さぶられました。

いのちがつながっていないと、心が元気にならない。育たない。そりゃそうだと思いながらも、目の前に観えている現実は進んでいる。いのちのつながりの無さと心の健康の関係。

「いのちのつながりの分断」とはなにか?

人の目、評価や善悪、常識非常識にとらわれず、心から湧きあがる感情。あらゆる感情を己にとりこみ、味わい、爽やかにしがらみを超えていくために、ビルの中のカウンセリングやワークショップでは行けないところへ飛びたいと、これまで馬や船や無人島やら、大きな自然の畏怖を探究し、遊んできました。

心の奥底へ、より深く、果てしなく、飛びたい。と5年ぐらいかけて仕込んできた「根源的ないのちにつながること」を体感する大作戦をはじめています。

「いのちの源はどこか?」「風のはじまりはどこか?」
己を「自分」と定義づけるものは、いったいなんなのか?
僕が一番大切にしている「心」はどこにあるのか?
根源的ないのちにつながるとは、その衝動とは、なんなのか?
共に探求し冒険する「心の旅」にでましょう。

題して、【熊野いのちにつながる旅】

あなたといのち同士で出逢えることを、楽しみにドキドキワクワクしとります。

こんな感じです。

和歌山県那智勝浦町に、生マグロの水揚げ量日本一を誇る那智勝浦漁港があります。朝7時からマグロがずらっと並んだ漁港でセリを観て、そのまま後ろにある魚屋(妻の実家なんです)で解体した生マグロの骨身に付いた中落ちをスプーンですくって、ホカホカのご飯と食べる。手作り生マグロ丼!その後、車で30分ほど行った港から義兄弟が船を出してくれ、ぐわーっと回遊するマグロに餌やりをする。本州最南端、太平洋の入り口の船上で、めはり寿司を食べる。そこから少し行ったところで、なんと、クジラと泳げる湾があるのですが、そこで泳ぐ!ざわざわ、ヤバい!といのちが騒ぐ、殺気と気配の連続です。その後、最近大手の温泉ランキングで西日本一となった洞窟の温泉で身体を癒す、という海の日が1日目。次の日は、山の日です。熊野古道を歩き、那智の滝や熊野三山の神社仏閣を巡り、オリジナルなルートで、土地の人たちとも交わりながら、一日で7つの世界遺産を巡ります。

海を舞台にした生の生き物とのざわざわする「衝動との接触」、山を舞台にした人間という生物が数千年かけて信じ歩んできた、自然の「畏怖との接触」。そんな熊野を舞台にした大きな「いのちにつながる旅」です。

昭和40年代に、ソニーの井深さんが「これからはこころの時代だ」と言いました。が、心のことを心で良くする時代は終わってきていると思います。情報過多と過保護が蔓延し、人間は少し大脳新皮質ばかり使い過ぎていると感じます。思考ばかりの頭でっかちにならず、いのちを解放し、殺気や気配を感じることで、己の素直な心が解放されていく。これからは「いのちの時代」だと思います。

いのちを元気にすることで、心も元気になっていく。そんなことをイメージして、遊びながら、実践しています。


もしよかったら、家族とでも、お一人でも、いらっしゃってくださーい!!
あ、子どもだけのサマーキャンプも行なう予定でっす!
よろしくお願いします!!

◎「熊野いのちにつながる旅」公式サイト
http://www.kumanoinochi.com/

最後に一言どうぞ!

熊野いのちにつながる旅

カウンセラーという響きやそれに纏わるイメージが好きではなくて、あくまでも詩人でありたい。人の心をみつめ続ける時代遅れの男でありたい、のです。

生きるとは「いったいなんなのか?」を探求して、遊んでいたいです。

夢は、1000年後にも残る詩を残すことです。マントラになりたいです。愛しとるをまっすぐ伝え続けられる馬鹿で粋な男でありたいです。早く、そんな詩人になりたい。のです。

「どこでもない」から「いまこの瞬間」へ。踊れ。
no where からnow here へもってきて、解放する人。でありたい。
もっと泥臭く、粋でやさしいバカ。でありたい。人生はダンスだ。

https://poega.jp/
http://www.kumanoinochi.com/

まとめ 編集部より

最後の一言も一言で終わらない佐藤さん、ありがとうございました!トカゲ大学以上に佐藤由明さんのこれまでの人生のお話が半分以上占めるという大変素敵なインタビューになりました。

インタビュー依頼について、公務員総研所長が打診したところ、「詩」でお返事をくれるなど、大変”粋”な佐藤さん、お会いするとその魅力がより一層感じることができます(^^)

これからも、ママ友になってほしいカウンセラーNO.1としてさらに活躍を拡げていかれることと心よりご祈念申し上げます。

佐藤由明プロフィール

詩人・心理相談員・経営者。
1981年愛知県豊橋市生まれ。鎌倉市在住。3児の父。

「言葉は心だ」という信念のもと、4000編以上の詩を創作。

一方、言葉や思いになる前の「衝動」を探求。
そこに近づくための「根源的ないのちにつながる体験」を追求している。

春と夏は、熊野=和歌山県那智勝浦町にて「魚屋がやる、熊野いのちにつながる旅。」を催行中。

愛をまっすぐにする、株式会社ポエガ代表取締役。
教育機関、社会福祉法人、クリニック、ベンチャー、上場企業等のメンタルケア、採用、研修等を担当する。

心を楽しむメンタルケアゲーム「ニンテンドーDS ココロン」監修。
葉山町後援「子育てなんでも相談室」主宰
原っぱ大学 顧問 心理相談員
小学生と馬の体験学校「馬学び」主宰
唯識ライブ 主宰(NHKこころの時代)
強さとやさしさを育む自然学校「TIDEPOOL葉山」じぶんクラス創設
eagala(馬介在心理療法)メンタルヘルススペシャリスト

本記事は、2019年6月25日時点調査または公開された情報です。
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