「子育て世帯」への支援の充実で、若い世代を呼び込めるか
人口減少社会が本格的に到来する中、全国の自治体では、「新婚世帯」や「子育て世帯」など、新居への住み替えを考えやすい世帯に向けて、住宅支援制度などを充実させ、子どもや若者を呼び込むきっかけの一つにしようとしています。
結婚や子育てをきっかけに、UターンやIターンを、親との同居や近居を考える方も多く、制度を利用した転居をすると、とてもお得に住み替えができる場合もあるようです。
各自治体行政が実施している住宅支援にはどのようなメニューがあるのかご紹介します。
「神戸市」の新婚・子育て世帯への支援・補助例
兵庫県神戸市では、子育て世帯向けに、「リノベーション住宅取得補助制度」、「民間賃貸住宅家賃補助制度」、「セーフティネット住宅家賃補助制度」、「親・子世帯の近居・同居住み替え助成事業」があります。
「セーフティネット住宅家賃補助制度」の「セーフティネット住宅」とは、子育て世帯がより子育てしやすいという視点から「子育て支援家賃補助付住宅」に認定された住宅のことで、その住宅に住み替えることや、収入要件などを満たすと制度の利用が可能なようです。
また、新婚世帯向けには「神戸市結婚新生活支援事業」、新婚・子育て・多子世帯には「シティハイツ家賃減免制度」というように、新しい住宅に関する制度が充実しています。
「シティハイツ家賃減免制度」の「シティハイツ」とは、神戸市が国の「特定優良賃貸住宅供給促進制度」に基づいて供給・管理している中堅所得者層向け住宅のことで、他の自治体では「特優賃」などと呼ばれている住宅のことです。
補助の利用には所得制限がある場合や、先着順のものもありますが、神戸市での新生活を考えている方は一度目を通してみてはいかがでしょうか。
▼参考URL:神戸市ホームページ|結婚・子育て世帯へ神戸市からの支援・補助
http://www.city.kobe.lg.jp/life/town/house/information/shinkonportal.html
「大阪市」の新婚・子育て世帯への支援・補助例
大阪府大阪市では、新婚世帯向けには「新婚家賃補助制度」や、市営住宅の「新婚世帯・婚約者向けの別枠募集制度」があります。
子育て世帯向けには、「市営すまいりんぐ」という市営住宅の家賃補助制度や、「子育て世帯等支援型民間すまいりんぐ」という「特定優良賃貸住宅」に認定された民間の賃貸住宅の家賃補助制度、さらに市営住宅の「子育て世帯別枠募集制度」などがあります。
詳しい情報は、「大阪市立すまい情報センター」や「大阪市住まい公社」という愛称を持つ、大阪市住宅供給公社のホームページ等でご確認ください。
▼参考URL:
大阪市立住まい情報センターおおさか・あんじゅ・ネット|子育て世帯の方
https://www.osaka-angenet.jp/sumai/etc/target/kosodate
大阪市住まい公社ホームページ
http://www.osaka-jk.or.jp/
「越前市」の子育て世帯への住まい支援例
福井県越前市では、子育て世帯と移住者向けの住まい支援事業として、支援の対象となる方が空き家を購入・リフォームする場合に、その費用の一部を補助する制度があります。
空き家は越前市の「住まい情報バンク」に登録されているものに限られており、制度についての情報と空き家の情報を併せて確認しておくのが良いかと思います。
参考:越前市ホームページ「子育て世帯と移住者への住まい支援事業補助金」
http://www.city.echizen.lg.jp/office/070/040/teijyu/uita-n.html
参考:越前市住まい情報バンク「越前市おうちナビ」
http://www.echizen-ouchinavi.jp/
「平川市」の子育て世帯への住宅取得補助例
青森県平川市では、「平川市すこやか住宅支援補助金」と題し、定住の促進と人口増加を図るために、移住者と子育て世帯が住宅を新築したり購入する場合の費用の一部を補助する制度があります。
子育て世帯については、「平川市に住民登録している中学生以下の子どもがいる方または妊婦がいる世帯の方」が対象です。「中学生以下」というのが特徴的な条件で、より若年層の定住化を図りたいという狙いがあるようです。
比較的低年齢のお子さんがいて、平川市周辺で新居を検討している方には、おすすめの制度だと言えます。
参考:平川市ホームページ「移住者・子育て世帯の住宅取得費用の一部を補助します」
https://www.city.hirakawa.lg.jp/kurashi/ijuu_teijuu/ijuu/ijuukosodatehiyouhojyo.html
「神石高原町」の子育て応援住宅等取得支援事業例
広島県神石高原町では、子育て世帯や新婚世帯、新規転入者が、町内に新たに住宅を新築または購入し居住する場合に最高150万円を、町の予算の範囲内で助成するようです。
「子育て応援住宅等取得支援事業」は、神石高原町のまちづくり推進課が担当しています。
参考:神石高原町ホームページ「子育て応援住宅等取得支援事業」
http://www.jinsekigun.jp/town/introduction/formation/kikaku/kikaku/jyutakushien/kenchiku/
「北山村」の移住・子育て支援制度
和歌山県北山村では、「住宅取得補助制度」や「空き家改修補助制度」がありますが、小学生以下の子どもがいる場合には、子ども1人あたり100万円の補助金が加算されます。
他にも保育所保育料の無償化など、子育て世帯の移住希望者には嬉しい支援があるようです。
参考:北山村ホームページ「移住・子育て支援制度」
http://www.kitayamamura.net/kurashi/system/index.html
都道府県の支援はあるの?「東京都」の住宅支援の例
これまで市町村単位での子育て世帯への住宅支援をご紹介してきましたが、都道府県レベルではどのような支援があるのかをご紹介します。
「特定優良賃貸住宅」の供給が中心
都道府県が行う代表的な子育て世帯への住宅支援は、「特定優良賃貸住宅」の供給です。
「特定優良賃貸住宅」とは、国が定めた「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律」に基づいて建設された中堅所得者向けの賃貸住宅で、全国にあります。「特定優良賃貸住宅」を縮めて「特優賃(とくゆうちん)」と呼ぶのが一般的です。
都道府県による供給のほか、自治体によっては、市が「特優賃」の供給を行なっている場合もあります。
「東京都」の住宅支援例
東京都では「特優賃」とは別に、東京都住宅供給公社(JKK東京)が「東京都子育て支援住宅認定制度」を設け、子育てに適した住宅を独自に認定し、供給しています。
認定基準は、「一部の柱や壁の角を安全に配慮し面取り加工を実施していること」、「遮音性能の高い床地をしようしていること」、「キッチンからリビングが見渡しやすいこと」、「入居者間の交流の機会が創出されやすい工夫があること」などです。
公団の中でも「子育て」に特化した物件が認定されているようですので、対象となる方はぜひチェックしてみてください。
東京都子育て支援住宅認定制度
https://www.to-kousya.or.jp/mz_help/index18.html
まとめ
このページでは、行政による「子育て世帯への住宅支援」がある自治体についてまとめました。紹介したのはほんの一例であり、全国には「子育て世帯」の移住者を呼び込むために、住宅支援を充実させている自治体が増加しています。
「子育て世帯」や「新婚世帯」だけでなく、「若者」であれば助成してくれるような自治体もあります。このような住宅支援事業は、現在、地域にいる若者の流出を防ぐだけでなく、新しい移住者がやってくる後押しにもなっているようです。
自治体によって住宅支援等を受けられる要件は異なり、「子育て」の対象となる子どもの年齢もまちまちです。詳しくは興味のある各自治体のホームページなどで確認してみてください。
コメント