【入門編】行政でも活用され始めている「RPA」とは?

「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」の動きが、行政にも広がっています。 本記事では、入門編として、この「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」とは何か、具体的な導入事例とともにご紹介します。

「RPA」とは?

「RPA」とは「Robotic Process Automation/ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、「ロボットの代行による作業の自動化」という概念そのものや、そのためにパソコンなどに導入するソフトウェア型のロボットを指すこともあります。

「RPA」は「仮装知的労働者(デジタルレイバー/デジタルワーカー)」とも呼ばれ、これまで人間にしかできないとされてきた、知的な事務作業を、AIやルールエンジンなど最新技術を備えることで可能にします。

「RPA」が代行する作業としては主に「ホワイトカラー」と呼ばれる人々が担当してきた「定型的な事務作業」であり、この事務作業を自動化することで、大幅な残業の縮小や人件費の削減につながると言われています。

一般的に、「RPA」はマウス操作やキーボード操作、データの取り込みといった定型業務やルーティン業務に向いていると言われており、これらの業務に関しては、人間よりも早く、正確に、それでいて無駄なく処理することができます。

行政で「RPA」が導入されるのはなぜか?

「RPA」が導入されるのは一般企業だけでなく、行政も例外ではありません。

なぜなら、一般企業の事務に比べても、「行政事務」には「RPA」が得意とする「定型的な事務」が多く存在するとも言われており、「RPA」を導入するには非常に適した環境だと言えるためです。

地方自治体は現在、深刻な人手不足に陥っているだけでなく、昨今の「働き方改革」の流れも受け、「人手不足の解消」と「職員の負担軽減」という課題を同時に抱えています。

人間の職員は増えないのに、職員の負担を軽減するには、業務を減らすしかありませんが、「行政事務」は行政の都合で勝手に減らせない業務ばかりです。

これらの課題を同時に解決できるのが、「デジタルワーカー」つまり「RPA」の導入です。「RPA」があれば、人間の職員を増やすことなく、一部の必要な仕事をRPAに任せることで、業務を無くすことなく、人間の職員の負担は減らすことができます。

「RPA」の最新導入事例

実際に「RPA」を導入し、実証実験を行った自治体をいくつかご紹介します。

【RPA活用事例1】熊本県宇城市の例

「RPA」を全国で最も早く本格導入した自治体は2018年8月から取り入れた「熊本県宇城市」でした。「RPA導入」の背景には、2016年に発生した熊本地震によって、「災害対応業務」が増加したこと加え、「地方創生業務」や県から市に権限が移譲された業務などの増加もあり、宇城市が慢性的な「人手不足」という課題を抱えていたことがあるようです。

具体的に導入が検討された分野は「職員給与」「住民異動」「後期高齢者医療」「ふるさと納税」「会計」「介護保険」で、それぞれの分野の業務の中で、定型的で、ロボットでも可能な業務について「RPA」の導入実験が行われました。

宇城市では「RPA」を導入することで、一部の行政事務の作業効率化や、そもそもその業務に必要な人員を減らすことで、人手不足を解消することが期待されました。

導入の結果、特に「ふるさと納税」を自動化したことで職員の負担が減り、「職員給与」のうち、時間外申請の集計作業を自動化したところ、年間558時間の作業時間が減少されるという結果がでたようです。

▼熊本県宇城市のホームページ
https://www.city.uki.kumamoto.jp
https://www.city.uki.kumamoto.jp/dl?q=29060_filelib_3649bb1cd9136106c245500afd819b21.pdf

【RPA活用事例2】茨城県つくば市の例

茨城県つくば市も「RPA」の実証実験を全国で始めて行い、その後本格導入をした自治体です。

つくば市の「RPA導入」については公務員総研でも過去に取り上げています。

茨城県つくば市が全国の自治体初の「RPA」導入で働き方改革へ

上記の記事でも取り上げたように、「RPA」を導入した主な効果としては、「異動届出受理通知業務」の年間作業時間が約85時間だったところを14時間まで削減できたことなど、作業時間の短縮はもちろんのこと、時間の短縮に付随したおまけ的な効果も注目されています。

例えば、「RPA化」により、人がやっていた時よりも入力ミスが削減されたことや、単純作業を「RPA化」することによって、職員は丁寧な対応での「住民サービス」に集中できることなどです。

つくば市によると、職員達は「業務時間の削減」という直接の効果よりも、「操作ミスの削減」「作業時間中に手を取られない」といった副産物的な効果をより実感しているようで、時間の有効活用の点で高く評価しています。

▼茨城県つくば市のホームページ
https://www.city.tsukuba.lg.jp

【RPA活用事例3】愛知県一宮市の例

愛知県一宮市は2019年2月から「RPA」を本格導入しています。

2019年9月の一宮市の報告によれば、「市税業務」について「RPA」導入したことにより、業務期間中のデータ入力時間が743時間から447時間に短縮されたようです。

年間での業務削減時間は296時間で、削減率にすると39.8%と約4割も削減できた計算です。

市税業務は、どの自治体にも共通して発生する業務ですが、毎年のように特定の時期に「定型的な単純作業」が膨大に発生する点も共通しています。

一宮市の事例をもとに、全国的に「RPA」を導入する動きが広がれば、大きな「働き方改革」につながりそうです。

▼愛知県一宮市のホームページ「市税業務におけるRPAの導入について(結果報告)」
https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/kurashi/zeikin/1000138/1031171.html

上記の活用例の他にも、総務省がまとめた事例集もありますので参考にしてみてください。

▼総務省ホームページ「地方自治体におけるAI・ロボティクスの活用事例」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000595981.pdf

まとめ

このページでは、地方自治体で導入が進む「RPA」とは何か、行政業務の中でどのような仕事に有効なのか、具体的な事例もご紹介しました。

「RPA」のような、最新技術を導入した「働き方改革」は、人口減少社会の日本の地方自治体ではますます広がっていくものと予想されます。

ただし「RPA」の導入には経費がかかります。「RPA」が、一定の業務の効率を高めることはあらゆる自治体の実験により実証されてきていますが、その効果に費用が見合ったものになっているのか、住民によるチェックの必要性が増してくるかもしれませんが、それによる行政サービスの効率化への期待が高まります。

また、今後、公務員を目指す方は、もう「定型的な事務」をやる側ではなく、ロボットにさせる側として「RPA」などをいかに効果的に運用できるか、という能力と、そして、そういった事務作業から解放され、本来の国民・市民のための業務へ時間を費やすことが増えることの希望を感じ取られているのではないでしょうか。

今後、ますます目が話せない「RPA」、どのような技術をどの業務に取り入れることがベストなのか、反対に、人間が時間をかけてでもやった方がいい業務は何なのかという視点で、民間と変わらず、むしろ行政こそ率先して取り組んでいける技術分野かもしれません。

本記事は、2019年10月25日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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