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【税制度】H29年度の税制改正で注目される配偶者控除と配偶者特別控除

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日本の税制度に関する解説特集、今回は夫婦の「働き方」に関わる「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の税制改正についてです。

目次

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の確定申告の際の違いとは

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の違いとは控除額の違いです。今までどちらも同じだと思っている方や、どっちがどっちなのかわからない、そういった方も是非ここで確認してみてください。

ます「配偶者控除」とはわかりやすく表現すると、「専業主婦」です。収入がない配偶者の方がそれに当たります。そう表現すると、「女性が受けるもの」と思われがちですが、この配偶者控除は、奥さんの扶養に入っている「主夫」の方も対象です。実際、現代社会ではそういった方も増加しています。

次に「配偶者特別控除」についてです。こちらは収入のある主婦の方が対象になります。もちろん「主夫」も同じです。収入を得てもいいのですが、その収入には上限があります。バリバリ働いている方の場合や、正社員で雇用されている方の場合は、この配偶者特別控除でも実際には控除枠の中にははまらないことがほとんどです。

このような理由から、配偶者特別控除の範囲内で働いたとしても、控除があまり受けられないのであれば、「外で働くのはあきらめよう」「扶養に入っておこう」というように考えてしまっていたのです。

しかし今回の改正では、「どんどん多くの人に、外で活躍してもらおう」という社会進出を目的にしているので、配偶者特別控除の枠が広がりました。これで多くの方が、自分の収入を気にすることなく働くことができるようになったのです。

実際に現行と改正後で控除額で比較してみましょう

控除額

現行の配偶者控除を改正後で比較してみた場合、次のようになります。

現行:103万円以下の収入で38万円の控除
改正後:150万円以下の収入でで38万円の控除

改正後と比較すると、47万円の収入の差が発生していることになります。東京の最低賃金932円で換算すると、あと504時間、勤務することができます。今まで、この103蔓延にとらわれていた方には朗報です。

次に配偶者特別控除を比較してみましょう。こちらは段階的に控除の金額が設定されていますので、それぞれで比較してみます。
現行:38万円を超え40万円未満 38万円
40万円以上45万円未満 36万円
45万円以上50万円未満 31万円
50万円以上55万円未満 26万円
55万円以上60万円未満 21万円
60万円以上65万円未満 16万円
65万円以上70万円未満 11万円
70万円以上75万円未満 6万円
75万円以上76万円未満 3万円
76万円以上 0円

改正後:こちらは居住者の合計所得で判断されるという方法へ変更となります。


◎合計所得金額900万円以下の居住者の場合
38万円超85万円以下 38万円
85万円超90万円以下 36万円
90万円超95万円以下 31万円
95万円超100万円以下 26万円
100万円超105万円以下 21万円
105万円超110万円以下 16万円
110万円超115万円以下 11万円
115万円超120万円以下 6万円
120万円超123万円以下 3万円

◎合計所得金額900万円超950万円以下の居住者の場合
38万円超85万円以下 26万円
85万円超90万円以下 24万円
90万円超95万円以下 21万円
95万円超100万円以下 18万円
100万円超105万円以下 14万円
105万円超110万円以下 11万円
110万円超115万円以下 8万円
115万円超120万円以下 4万円
120万円超123万円以下 2万円

◎合計所得金額950万円超1,000万円以下の居住者の場合
38万円超85万円以下 13万円
85万円超90万円以下 12万円
90万円超95万円以下 11万円
95万円超100万円以下 9万円
100万円超105万円以下 7万円
105万円超110万円以下 6万円
110万円超115万円以下 4万円
115万円超120万円以下 2万円
120万円超123万円以下 1万円
(引用:財務省HP:https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/20161222taikou.pdf)

ここで出てきている「合計所得」とは、夫婦そろっての合計額での判断ということになります。昨今、若い方の給与はかなり低くなってきているため、いわゆる「共稼ぎ」の環境であったとしても、3番目に紹介している「合計所得金額950万円超1,000万円以下の居住者の場合」に当てはまる方は少ないのではないかと言われています。

しかしながら、この合計所得で判断するといった方法は、世帯で考えた場合の所得格差を考慮した改正といえます。ですから、今までで時間を気にして働けなかったという方でも、どんどん働いて良い、ということになります。

しかし、1点注意が必要なのです

財布

この控除の改正はあくまでも「所得時」に関する部分です。今まで103万の壁と言われる「配偶者控除」の適用範囲の次に、「130万の壁」と言われる、社会保険に加入しなければいけない収入金額の壁がありました。これに関しては今のところ、厚生労働省より改正が発表されていないので、現行法で行くということになります。

そうすると、せっかく配偶者特別控除のい適用範囲内に該当するようになったにも関わらず、社会保険の加入対象になてしまった、ということになってしまいます。ということは、必然的に給与の手取り額が減ってしまうのです。もちろん、社会保険料控除後の金額が、給与を受け取る本人の源泉所得税額の対象となりますから、徴収される所得税の額自体は減少するはずです。

こう考えると、いささか疑問点は残りますが、社会でバリバリ活躍するには、今のところ仕方がないのではないでしょうか。
自分で自分の身を守る、社会生活を送るための最低限の保障を得る、そういった意味では社会保険は重要なので、自分の給与から控除されるというのも大切なことなのかもしれません。

ちなみに、控除されるものとして、平成30年より特別徴収されるといわれている「住民税」があります。この住民税は「地方税」に当たり所得税のように「国税」ではありません。その為、税額の計算方法が異なります。今のところ、この地方税に関する改正は発表されていません。ですから今後は、この住民税の改正がないかどうかについて、注目していきたいところです。

この控除を受けるために必要な手続き

チェックリスト

そもそも、確定申告には今年からマイナンバーが必要とされています。年末調整においても同じです。
28年度分の申告に際し、8割り以上の方がこのマイナンバーを、しっかり一緒に申告していたという当局からの発表がありました。
マイナンバーは運用開始をして間もないため、まだ法整備が追いついていない部分はありますが、しっかりと運用されれば間違いなく自分にとって損をすることはまずないものだといえます。

所得税を納めているかの確認もこれで行うことができます。よくあるのが、経営がなかなかうまくいっていない企業に勤めている場合、源泉徴収義務者である会社側が所得税を納めていない、といったことがあるようです。そのような場合でも、マインバーがあれば、ゆくゆくは、自分で履歴を調べることができるようになっていくのではないでしょうか。

マイナンバーがあれば、住民税の管理もトータルで行えるので、必ず年末調整や確定申告を行う場合には、マイナンバーを記載するようにしましょう。

家庭に入っている女性のための制度として利用

この新しい改正の「配偶者控除」と「配偶者特別控除」を賢く利用するためにはどうすればよいのでしょうか。

あらかじめ、現在の世帯収入を把握しておく必要があるのかもしれません。これを把握すれば、今の働き方のままでいいのか、それとも今以上に働くことができるのかを知ることができます。もし、今以上に働くことができるのであれば、今の生活よりも、もっと有意義な暮らしを送ることができる、ということができます。

この改正の本来の目的は、「家庭に入っている女性が外で働きやすいようにするため」だと発表されています。もちろん女性が働けば、その分化粧品が売れる可能性も生まれてきますし、生活に余裕が出れば自分のためのものではなく、家族のための消費を行う可能性が高まります。つまり、ひいては市場の活性化、景気の好転を視野に入れているのかもしれません。


まとめ 改正される「配偶者控除」と「配偶者特別控除」とは

多くの方に、社会で働いてもらうことによって、市場の活性化や給与から強制的に徴収される社会保険料や源泉所得税など、日本の今後のために役立つ改正です。「扶養から外れる」ということを気にすることなく働くことができます。もしかすると、この改正があってもまだ「扶養から外れない範囲で」と考える方がいるかもしれません。

しかし、一人で働き収入を得ることには限界があります。「外から新たにお金を世帯へ入れる」ということは、今の生活水準よりもワンランクアップするためには必要なことです。今は配偶者控除を利用しているという方も、改正後は気にせず働くことができます。また、配偶者特別控除の範囲内で働いていた方も、もっと自由に働くことができるようになります。「世帯でありながら自立した生活を送る」という、レベルの高い生活がを送ることができるようになるかもしれません。

本記事は、2017年6月25日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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