【イタリアの保育事情】 祖父母の活躍が家族を支える

国が違えば、保育事情・子育て事情も違います。本記事では、イタリアで双子の子ども出産し、日本語講師として働きながら子育てしている女性に、「イタリアの保育事情」について、コラムにして書いてもらいました。


はじめに

我が家の双子が今年で4歳になりました。昨年の9月から幼稚園にも通い、今年の6月で無事に1学年を終えることができました。

子どもたちは保育園に通わなかったので、幼稚園は私たちにとって、いわゆる「学校」の初めての体験になりました。日本で子育てはしたことないのですが、自分の日本での学校経験とはまた違うものがありました。

日本での保育園不足のニュースを目にしましたが、イタリアでは先生不足という問題があります。私の子どもたちが通っている幼稚園も、まさにその問題があり、子どもたちにも影響がありました。

私のイタリアでの保育経験を紹介します。

(本記事では、1ユーロ=128円で計算しています)

イタリアの「保育園」事情

私の住む町には、公立の保育園が一つ、私立の保育園が二つあります。イタリアの保育園は、3ヶ月から3歳の子どもが通います。

私たちも子どもが1歳になり、私が職場復帰するという時に公立保育園への入園希望を申し込んだのですが、受け入れてもらえませんでした。

私の夫が手続きをしてくれたのですが、夫が言うには私が公式的に仕事をしていることになっていないからではないかということです。

私の仕事は日本人協会が主催する日本語教室での教師なのですが、契約をして仕事をしているわけではありません。

イタリアでは契約をしない仕事というのは、国に税金を払ってないためか「仕事」として認められません。私の同僚のように税金を払う手続きを取れば、「仕事」と認められるようです。

まず、保育園に子どもを入れるには母親が正規の仕事をしているということが条件になるようです。正規に仕事をしていない私は、子どもを保育園に預ける必要がないとみなされたのでしょう。


例えば、友人夫婦で奥さんが失業をしていたのですが、保育園が始まる一週間前に仕事を見つけたので、彼らは子どもを保育園に入れることができました。

公立の保育園に子どもを入れるには、こうした条件があるようです。

私立の保育園は、費用がとても高いと聞きます。私たちの別の友人夫婦は子どもを預けていましたが、一月で500ユーロ(約64,008円)になると聞きました。そこの保育園は給食が別料金になります。

500ユーロというと、イタリアではパートタイムの半日仕事で、一ヶ月の給料に当たります。奥さんがパートタイムの仕事をしているカップルは、その給料がすべて保育園の費用となるのです。

公立の場合は、入園する際に80ユーロ(約10,241円)を支払い、あとは給食代を払うのみです。

イタリアの「幼稚園」事情

イタリアの幼稚園は3歳から5歳まで通います。我が家の子どもたちは昨年の9月に入園しました。公立の幼稚園です。

公立幼稚園の費用は学年始めに支払う45ユーロ(5,760円)と給食代です。その他、遠足などにかかる費用は別に払います。

年少クラスは二クラスあります。双子なのですが、幼稚園の方針で最初から別々のクラスになりました。同じ学年にもう一組双子がいるのですが、その子たちも別々のクラスです。

年少クラスは一クラスが25人で、そこに二人の先生がつきます。3歳の子どもたち25人に対して、二人の先生というのは大変だなと私は思いました。

幼稚園は午前9時から午後4時15分までです。その後、子どもを預けたい人は午後5時半まで預けることができます。ただ、時間外は費用がかかります。

幼稚園が始まる最初の1週間は半日通い、子どもの様子を見ます。我が家の双子は男の子と女の子ですが、男の子は最初の1ヶ月ほどは朝幼稚園に行きたくないと泣き顔でした。

女の子は幼稚園に行く前から、「いつ幼稚園に行くの」と行きたがってたので問題はまったくありませんでした。

幼稚園が始まった頃、朝毎日お母さんにしがみついて泣いている子を見ましたので、うちの子どもたちは手がかからなくて助かりました。

イタリアでは幼稚園と小学校は必ず両親か祖父母の送り迎えが義務付けられています。それ以外はスクールバスでの送迎になります。

我が家はほぼ私が送り迎えをしていますが、その間で他のお母さんたちともおしゃべりしたりできて、私としては知り合いが増えて楽しいです。


春になり暖かくなってくると、幼稚園帰りに公園で遊ばせたりして、子どもたちもクラスメイトがいるととても喜んで一緒に遊んでいます。

日本の幼稚園では起こらないだろうと思われることは、先生あるいは用務員さんのストライキがあることです。

今学年はストライキが月に1回ぐらいあって、本当にびっくりしました。他のお母さんに聞いてみると、今学年はいつもより多かったと言ってました。

ストライキがあると、午前12時半で幼稚園は終わります。給食前に終わることになるので、ちょっと大変です。

我が家はたいてい私が家にいますし、夫の両親が近くに住んでいるため子どもたちを預けることができるので、問題はさほどありません。ただ、共働きの夫婦や子どもを預けることができない人たちは本当に頭を抱えてしまう問題です。

また、女の子のクラスで先生が家庭の事情から3週間近く休みを取りました。その際、すぐに代わりの先生が決まらず、毎日違う先生が交代でやってくる時がありました。

うちの子は「担任の先生がいなくて寂しい」と言うぐらいで済んだのですが、クラスメイトの女の子が幼稚園に行きたくないと言い出して、お母さんが困っているのを見ました。

このように長期の欠席はあまりないと思うのですが、先生が欠席すると、クラスの子どもたちを年中、年長クラスへと振り分けるというのが通常です。

男の子のクラスは、担任の先生が幼稚園が始まって3ヶ月で交代するということもありました。

先生の配置については、国の対策で決められているのでしょうが、途中で先生が代わるというのは、子どもにとても影響があることです。

イタリアの「家庭での子育て」事情

イタリアで子どもを産んで気がついたことですが、子育てにおじいちゃん、おばあちゃんがたくさん参加していることです。

我が家もそうなのですが、夫の両親が近くにいるということもあり、何かあるとしょっちゅう子どもを預けています。

私としては本当に助かります。特に双子ということで気を遣ってくれて、私が仕事がある時はもちろんですが、「私がちょっと疲れた」というと、子どもを預かってくれます。

まだ、子どもが幼稚園に行く前に午前中はよく公園に連れて行ってました。日本では「公園デビュー」という言葉がありますが、そこで「ママ友」ができるなんて言いますよね。

私の場合、午前中に公園に行くと、おじいちゃん、おばあちゃんが孫を連れて来ていることが多く、「ママ友」ならぬ「おじいちゃん友」ができました。

その方は我が家の子どもたちと同じ歳の孫を連れて来ていました。いつも同じ公園なので、ちょっと挨拶したり、おしゃべりしたりするようになりました。

私が驚いたのは、おじいちゃんが孫のベビーカーを引いたり、一緒に公園に来ていたりという光景をしょっちゅう見ることです。日本ではあまり見ない光景なのではないかと思います。

おばあちゃんが孫を連れて歩くのは見るかもしれませんが、おじいちゃんが孫の子育てに参加しているのは、とても面白いなと思います。

まとめ

私が住む町の人口は1万人弱で、公立私立合わせて3つの保育園と2つの幼稚園があります。


ここ数年で人口が増えてきて、我が家の子どもたちが通う幼稚園も以前給食室だったところが教室になり、今は幼稚園の建物の入ってすぐのところが広間になっているので、そこで給食している状態です。

また、日本でみるような民間の託児所や児童館などはあまり見られず、幼稚園や学校以外で子どもを預けるとなると、祖父母かベビーシッターになります。

祖父母の役割は時々、ニュースにもなりますが、イタリアではまだまだ大きいようです。

本記事は、2019年11月29日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

イタリアの保育事情
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