コロンビアの結婚事情

今回は、コロンビアに住む日本人に、「コロンビアの結婚事情」のテーマでコラムを書いていただきました。

はじめに

国が違えば、結婚事情も文化も異なります。私の住むコロンビアでも、結婚という制度の中で「日本とは違うな」と感じる部分がいくつかありました。今回は、そんなコロンビアの結婚事情を、日本と比較しながら説明したいと思います。

コロンビアの「結婚」について

データで見る「コロンビアの結婚事情」

婚姻率が低下してきているのは世界的に見て共通の話題のようですが、日本を始めとするアジア各国は婚姻率が高めです。人口1000人あたりの婚姻率は、年度によって前後するものの、日本は5.0前後。一方でラテンアメリカは、全体的に婚姻率が低い傾向にあります。

単純に比較できるデータがなかなか見つからなかったのですが、コロンビアは2.4前後で、つまり日本の半分程度の人しか結婚をしない(していない)ということになります。

ちなみに、同じラテンアメリカのメキシコは日本と同じくらいの5.0前後、キューバやコスタリカは5.5など、国によって大きく開きがあります。当然、婚姻率が低いと同棲率は高くなる傾向にありますが、コロンビアは他のラテンアメリカに比べてこれが非常に高いのも特長。日本は2.0のところコロンビアは31.0もあり、多くのヨーロッパ諸国をも上回ります(フランス16、スウェーデン18)。

逆に離婚率は、日本が1.5~2.0の間くらいのところコロンビアはなんと1.0未満と、離婚率はコロンビアの方が圧倒的に低いことがわかります。

トータルで見て、日本に比べて結婚も離婚も少ない、と言えるでしょう。

コロンビアに住んでいて肌で感じる「結婚観」

私は、コロンビアに友人は少なく、また言葉も堪能でないため、ある程度の人々としか触れ合ったり、コミュニケーションを取ったりすることができません。そんな中でも、上記で示したデータの数字にはおおよそ近い肌感を持っています。

例えば身内に、一度結婚して2人の子どもをもうけ、その後離婚して別の相手との子どもを持ったものの、その相手とは一度も結婚しなかった、という人がいます。つまり、再婚はしなかったということです。

さらに、近所に住む小学生の女の子は、「私のパパは今、恋人と住んでいるの」と、ある日何でもないことのように教えてくれました。3人目の子どもが生まれてすぐ、家を出て別の女性と暮らし始めたのだそうです。

また、その女の子のいとこにあたる家庭は、父親と子2人で暮らしており、恐らく違う母親を持つ別の娘がいる、というような話も聞きました。日本で暮らしていて、このようなシチュエーションはほとんど耳にしたことがないので、とても驚きました。

数少ない私の身内や知人のこのような状況から、結婚していないことが珍しくないこと、日本に比べて、婚外子などに世間が寛容なのかなと感じます。ただ、ボゴタのような都会だからこそなのかもしれませんし、私がたまたまそういう人たちに多く巡り会っただけかもしれません。

私の周りは離婚経験者がそれなりに多いため、ここはあくまで私の予想になりますが、離婚率が低いのはそもそも結婚する人が少ないことに加え、カトリック信者が多いことにあるのではと思います。

コロンビアでは、結婚はどのように行われるのか?

戸籍制度の日本においては、婚姻届1枚提出すれば、それで婚姻は成立します。提出する際も夫婦が揃っていなくとも、代理人でも可能であるなど手続きは非常に簡単ですが、コロンビアでは婚姻手続きは非常に複雑です。

まず、教会式か役所式かを選択します。私の家族は敬虔なクリスチャンではなく、私も同様だったため、迷うことなく役所式を選びました。日本の役所に提出するようにいつ行ってもいいわけではなく、事前予約が必要です。

私たちの場合は、住んでいる市で予約がなかなか取れなかったため、特に縁もゆかりもない近隣の市の役所で執り行うことになりました。

前もって、身分証などの必要な書類を提出します。国民は、「cédula」と呼ばれる身分証(国民全員が統一して持っている、日本のマイナンバーカードのようなもの)程度で済みますが、外国人となると必要な書類は膨大で、しかも政府公認翻訳士による翻訳も必要でした。それを基に、手続きが行われます。

当日は、家族や親戚一同で公証役場に向かいます。男性はスーツが基本、女性もジャケットスタイルのフォーマルな服装がセオリーで、女性は、黒い洋服とパーティードレスなどがNG。ただ、多少華やかな印象のものはOKなようでした。外国人の場合はこのときも、政府公認の通訳士が同行する必要があります。

時間になると担当の公証役人の前にテーブルを挟んで夫婦となる2人が座り、家族や親戚が周りで見守ります。役人がつらつらと、事務的なことや、夫婦とはどういうものか、「病めるときも、富めるときも~」などといったことを述べていき、ひたすらそれを聞きます。指輪の交換がある場合はこの場で行い、最後に、2人がそれぞれ書類に署名をして役人が承認し、結婚が成立します。所要時間は、30分程度。翌日から、婚姻証明書が発行できるようになります。

音楽と踊りが大好きな国民なので、その後は、盛大にパーティーを行うことが多いようです。

コロンビア人の、名前の仕組み

コロンビアでは夫婦別姓が一般的

日本では、結婚すると夫か妻どちらかの名字に統一し、現在のところ(国際結婚などを除いて)別姓は認められていません。一方コロンビアでは、結婚後も、夫婦共に名字を変更することはあまりありません。では、子どもが生まれた場合はどうなるのでしょうか。それを知るためには、コロンビア人の名前の仕組みを知る必要があります。

コロンビアでは、名字と名前を2つずつ持つ

コロンビア人は一般的に、名字2つ、名前2つを持っています。日本の名前で例えると、「山田鈴木 太郎健太」のような感じです。最初の名字は父親、二番目の名字は母親の名字です。下の名前は自由につけますが、両親と同じ名前をつけることも多いようです。

「山田鈴木 太郎健太」さんと「前田高橋 花子ゆりえ」さんが結婚しても、それぞれの名字は変わりませんが、子どもが生まれると、その子の名字はそれぞれの第一姓を取って「山田前田」になります。つまり、家族でも名字はバラバラ、同じ両親から生まれた子ども同士だけ、全く同じ名字を名乗ると言うことになります。

非常に名前が長いので、日常では名字と名前1つずつを使うことが多く、フルネームを名乗るのは公的な手続きなどの場合など、非常に稀です。

上記男性の例の場合、日常では「山田 太郎」という名前を通称として使うようなイメージです。ただ、名字は第一姓を名乗ることがほとんどのようですが、下の名前のどちらを使うかは、人によってまちまち。「太郎」と呼ぶ人が大半の場合、「太郎」と「健太」両方で呼ばれている場合(同じ人でもそのときによって使い分けている人もいます)、なぜか「太郎健太」とフルで呼ばれる場合など、様々です。

なぜ、名字と名前2つずつあるのか、歴史的・文化的な背景はわかりません。ただ、コロンビア人の名前は日本人のそれほどバリエーションが多くなく、同じ名前の人がとてもたくさんいます。スーパーの店員、銀行の窓口やコールセンターなど、日常生活で同じ名前の人に出会うことは全く珍しくありません。そのため、「どちらの太郎さんか」を区別しやすいように、名前も名字も2つずつにしたのでは、というのが私の予想です。

まとめ

以上、「コロンビアの結婚事情」でした。

私が出会った人たちには、なかなか破天荒な人が多いようにも感じます。地域的なものや、個人の考え方などは様々で、みんながみんなこう、というわけでは当然ないでしょう。ただ、離婚することや、婚外子をもうけることなど、「結婚して子どもを持つ」といったステレオタイプから外れることに対しては、日本に比べるとさほどマイナスなイメージがないのかなと感じます。

ただ、やはり「結婚はするべき」「離婚なんてとんでもない」などといった意見を持つ人たちも一定数いるはずなので、ぜひそういった人たちの意見を聞いてみたいところです。

本記事は、2020年10月29日時点調査または公開された情報です。
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