コロンビアのテレビ事情

今回は、コロンビアに住む日本人に、「コロンビアのテレビ事情」のテーマでコラムを書いていただきました。


はじめに

日本人と同様、コロンビア人もよくテレビを観ます。ローカルなレストランやカフェでもよくテレビがついていて、それを観ながら食事をしたりコーヒーを飲んだりすることも多いです。

コロンビア人はどんな番組が好きなのか、放送の特長などをまとめました。

コロンビアの人は、どんなテレビで観ている?

テレビ本体や、配信の仕組みは日本とほぼ同じです。

薄型のテレビが主流ですが、一部ではブラウン管もまだまだ健在。薄型は他の白物家電などと同様LGやSAMSUNGなどの韓国勢がかなり強く、日本のSHARPやPanasonicは価格が高いためか、店頭でも数点ほどしか見かけませんでした。

デジタル放送ですが、アナログ放送の廃止はされていないようです。ただ、先日引っ越しをした際、デジタルアンテナがまだ繋がっていなかったのでアナログ放送を観たら、ものすごく画像が粗く、あまり観られる状態ではありませんでした。ちなみにデジタル放送でも、なぜか音声が途切れたり、映像が乱れたりすることは日常茶飯事です。日本だと、よっぽどの雷雨などでないと起こらないことが、ここでは頻繁にあります。

アメリカのDirecTVなどケーブルテレビの企業がたくさんあり、家庭用インターネットとセットになったサービスを展開しているため、一緒に契約することが多いようです。ただ、月額150,000ペソ程度(約5,000円)と、平均収入の割には値段が高いと感じます。

ケーブルテレビのチャンネルで放送される番組は、多くの中南米諸国共通のものが多いようで、例えばテレビショッピング番組では、アルゼンチンはこの番号、チリはこの番号にお掛けください、と国別の番号が表示されたり、商品のCMでも時々、「この商品はペルーでのみ取り扱っております」といった表示がされたりします。

コロンビアのチャンネル・番組の特徴

特徴その1:圧倒的な力を持つチャンネルがある

よっぽどスポーツばかり観る人や特定のチャンネルが好きな人以外、ほとんどのコロンビア国民が観ているチャンネルがあります。それは「Caracol」です。

「Caracol」とはカタツムリのことで、「Caracol」のロゴも、なんとなくカタツムリっぽい形をしています。(下記公式サイトからご確認ください)

▼参考URL:「Caracol」公式サイト
https://www.caracoltv.com/

あまりにもどこでもみんなが観ているので、「Caracol」は公共放送だと思っていたのですが、どうも民営のようです。ニュース、お笑い、ドラマとそのバラエティの豊富さも特長です。


私の身内は、午後3:30に始まる「昼ドラ」のようなものが大好きですが、これはトルコのドラマを吹き替えにしたもののようでした。

また、朝と夕方の1日2回、規定の時間になると国歌が流れるほか、さらには新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、コロンビア大統領は毎日午後6時に生中継で、現状や政策を国民向けに話すのですが、もちろん「Caracol」で放送されます。今なら、「きちんと手を洗いましょう」などといった、政府が出すコマーシャルが多いのも特長です。

特徴その2:アメリカの影響が大きく、日本のアニメが人気

ドラマや子ども向けアニメなどは、コロンビアオリジナルのものもありますが、アメリカのものが多いように感じます。距離的に近いこともあり、日本ではあまりメジャーでない子ども向けキャラクターや、日本でなかなか放送されないようなアメリカンコメディがよくやっています。

アメリカのクッキングショーやバラエティ番組なども放送されています。ただ、もちろんスペイン語での吹き替え。北欧などでは、英語の番組はそのまま英語で流れていることが多いと聞いたことがありますが、ここコロンビアではそのようなことはほとんどありません。

日本のアニメももちろん人気です。私くらいの年代だと、「ドラゴンボール」、「聖闘士星矢」をよく観ていたそうですが、残念ながら今はオンタイムでやっていないようです。先日放送されているのを観たのは「遊戯王」と、「グリム童話」でした。「日本昔話」ならまだわかりますが、なぜ、わざわざ日本の「グリム童話」を流しているのかはよくわかりません。

特徴その3:世界一の長寿コント番組がある

ギネスブックにも登録されている、世界一長く放送されているコント番組は、実はコロンビアの番組です。「Sábados ferices(サバドス フェリセス・Happy Saturdaysという意味)」という、「Caracol」で土曜日の夜8時から放送されている、1972年から続く番組です。様々なコメディアンが次々と登場し、それぞれの「ネタ」を披露する、というとてもシンプルな番組ですが、土曜日の、お茶の間の定番と言えるでしょう。

基本的に、コントなのでスペイン語がわからないと理解できないのですが、私が好きなのは、「Tatoくん」というサルの人形を使った腹話術コント。見た目にとても可愛いので気に入っています。日本人という設定のキャラクターが登場したこともあります。

いつもはスタジオで、たくさんの観客に囲まれているショーですが、最近は新型コロナウイルスの影響で、各コメディアンが自宅や公園?などで撮影したものを順番に流しています。司会者も自宅から放送していて、いろいろな人の家が覗き見できるのも、私の密かな楽しみです。

特徴その:カトリックの国ならではの番組がある

コロンビアはカトリック国で、至るところに教会がありますが、テレビでも日曜日の朝は、「日曜のミサ」のような番組がやっています。実際に教会に行けない人たちのためでしょうか?

コロンビアのテレビ事情、日本と違って驚いた点

次は、日本と違っていて驚いた点をいくつか挙げます。

その1:連続ドラマは、毎日放送

日本だと、「火曜夜10時」など、連続もののドラマは1週間に1回ですが、ここでは平日5日間毎日放送します。収録する側は、非常に忙しいことが想像できますね。

その2:手話通訳がついている

多くのニュース番組には、画面の右下に手話通訳者の映像が付いています。テレビの設定で字幕をつけることはもちろんできますが、聴覚障害者への配慮が素晴らしいなと思います。

その3:ニュースキャスターの服装が、派手

コロンビアでは、ニュースキャスターの服装が派手です。

赤いジャケットに鮮やかな青のインナー、大胆な花柄のブラウス、大ぶりなアクセサリー、短めのスカートやワンピース、谷間が見えるほどざっくりした胸元など、特に女性キャスターは、日本ではひんしゅくを買いそうなファッションが多めです。エンタメ担当者はさらに派手で、パーティスタイルかと思うようなドレスを着ていることも多いです。

一方で、先日見たキャスターは、「ジム帰り?」と思うようなカジュアルなTシャツでした。


その4:日本にはないようなタイプのCM

コロンビアのCMも、日本とは毛色が違います。

陽気な音楽をバックに、可愛い子供の写真、名前と年齢、親の名前などを添えて10人程度が紹介されるCM。何を訴えているものだと思いますか?実は、児童保護施設のようなところのCMです。保護の期間を過ぎても親が迎えに来ない子どもたちの名前と写真、両親の名前などを放送しているのです。

日本なら、個人情報やモラルの問題などがからんで、絶対にできないようなものですよね。そういう状況があること、そしてそれをTVCMで流すということは衝撃でした。

他には、生理用品のCMでは実際に赤い液体を使用していたり、避妊具のコマーシャルが流れていたりすることにも驚きました。私が避妊具のCMを観たのは夜11時台で、さすがに昼間には流していないようですが。

その5:ペーパーレスが進んでいる?

日本のニュースやワイドショーなどでよく見る、文字を書いたり、表やグラフを示したりするための「フリップ」は一度も見たことがありません。ニュースなどの説明は全てデジタルの画面で行い、キャスターが直接画面に、数字や矢印などを書き込むこともあります。

また、キャスターや現地レポーターたちが、資料などを紙で手にしていることは日本ほど多くありません。基本的にキャスターの手元にはノートパソコンが、リポーターたちはスマホを手にしており、そこに全ての情報を入れているようです。

まとめ

以上、「コロンビアのテレビ事情」でした。

テレビの放送内容ひとつ取っても、お国柄やその国の嗜好がわかるのはおもしろいですね。もう少しスペイン語がわかるようになったら、報道の仕方、マスコミの立ち位置など、より深いところまで探っていけたらと思います。

本記事は、2020年10月2日時点調査または公開された情報です。
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