台湾の「物価」とその課題

「台湾は物価が安い」というイメージを持っている人が多いようです。

本記事では台湾の物価について、台湾は日本に比べて本当に物価が安いのか、「サービス」「光熱費」「日用品」などのカテゴリーに分けて解説します。


はじめに - 台湾の通貨について

まずは台湾の通貨について簡単に説明します。

中華民国として独自の国家を持つ台湾は、通貨もオリジナルのものを使用しています。台湾の通貨は「台湾元」「ニュー台湾ドル」を始め様々な呼び方や表記がありますが、どれも同じものを指します。本記事では「台湾元」で統一することにします。

台湾の通貨には、

・2000元
・1000元
・500元
・200元
・100元

という5種類の紙幣と、

・50元
・20元
・10元
・5元
・1元

の5種類の硬貨があります。

2020年4月19日時点の1台湾元は日本円にして「3.60円」。2017年時点での1台湾元は3.7円、2019年12月が3.6円だったので、あまり変動はないような印象です。

台湾は物価が安いのか

台湾と言えば日本から近く、物価も安いことから多くの人が観光に訪れる、という印象が強いと思います。

しかし、台湾の物価は本当に安いのでしょうか?

RECRUITが運営する海外旅行比較サイト「AB-ROAD」の調査によると、台湾の移動費や外食、ビールやたばこなど10項目の物価はアジア各国の中では決して安くはありません。アジアで比較すると、マレーシアやベトナム、タイ、更には中国よりも、台湾の物価はやや高めなのです。


しかし、アジアの中でも物価の高い香港、日本、韓国などと比較すると、台湾の物価はかなり安いと言えます。日本人観光客が台湾に集まるのは、やはり日本と比べて物価が安く、刊行やショッピングを楽しめるという理由があるからなんですね。

▼参考URL:AB-ROAD
(https://www.ab-road.net/article/prices/)

サービスから見る台湾の「物価」

ここからは台湾の物価について詳しく見ていきましょう。まずは交通や飲食、ブランド品といったサービス面の物価についてです。日本の物価(1台湾元=3.6円計算)とどれくらい違うのかもチェックしてみてください。

台湾の交通

台湾の交通にかかる費用は日本よりも安価です。バス、地下鉄などの公共交通機関は特に安いので、移動手段として有効です。台湾の地下鉄(台湾MRT)の乗車料金は20~50台湾元で、日本円にすると約72~180円ほど。日本では72円で大人が電車や地下鉄、バスに乗れることはないので非常に安いと言えます。

また、タクシーの初乗りも初乗り70台湾元(約252円)となっており、複数人で乗れば公共交通機関を利用するよりも安く済む場合があります。交通手段の1つとして多く利用されるタクシーですが、深夜の利用は割増料金プラス20台湾元で、女性1人乗車はやや危険というデメリットもあります。

台湾の飲食

台湾で飲食にかかる費用も、日本と比較すると安いものが多いです。観光客が訪れる屋台などでは、人気の小籠包やタピオカなどの名物を安価で楽しむことができます。屋台のメニューはほとんどが100台湾元(約360円)前後。安くても美味しいものが多いです。

しかし、鼎泰豊などの中級レストランと呼ばれる場所になると食事だけで2人で820台湾元(約2952円)で、飲み物も頼むと1人あたり2,000円前後。日本の中級レストランではランチでも2,000円前後というところは少ないので、かなり安いといえるのではないでしょうか。

更に高級レストランになると1人あたりの予算は日本円で7000~8000円。もちろん更に高いレストランも存在します。日本の高級レストランよりは安いですが、1食7,000円以上するのは決して安い食事とは言えません。

ちなみに、スーパーやコンビニなどで食品や飲料を購入する場合の物価は、日本より安いものが多いものの、物価に大幅な差はないと言えます。例えば飲料水などは500mlのものがコンビニやスーパーで15~20台湾元(約54~72円)。日本の飲料水はコンビニでは100円前後のものが多いですが、スーパーやドラッグストアへ行くと55円くらいから販売されていることもあります。

市場に行くと台湾産のマンゴー(89台湾元=約320円)やバナナ(1本12台湾元=約47円)、スイカ(189台湾元=約680円)などは安く手に入ります。リンゴはアメリカ産のもの(1個あたり33台湾元(約119円))が主流。日本産のりんごもありますが、高いです。

それでは物価の安い台湾で、高い食品や飲料を挙げていきましょう。

台湾で高い食料品はずばり輸入品、そして乳製品です。飲料水は安いと前述しましたが、輸入品であるエビアンなどはコンビニで購入すると40台湾元(約144円)。通常の飲料水の2.6倍もします。また、日本では「安いアイスの王道」でもあるガリガリ君ですが、台湾では1本35台湾元(126円)と日本の倍近くの価格設定となっています。

日本でも年々価格が高騰し、今や「ものすごく安い!」とも言えなくなりつつあるマクドナルド。台湾ではビックマックセットが119台湾元(約428円)なので日本よりは安価とはいえ、台湾全体の物価と比較するとあまり安いものとは言えません。他にもスターバックスのコーヒー類やケンタッキーフライドチキン、ハーゲンダッツなど海外からの輸入品は決して安いとは言えません。

乳製品も全体的に高いです。特に牛乳は950mlのものがスーパーで1本71台湾元(約255円)。日本の牛乳は価格の差があるものの1本150円くらいから購入できるので、かなり高いと言えます。

台湾のブランド品

輸入品であるブランド品も、台湾ではかなり高いです。台湾内でももちろん高い買い物の1つにはなりますが、台湾・日本以外のブランドはなんと日本で購入するよりも高くついてしまうことも多いです。


高級ブランドではありませんが、日本ではプチプラとして有名なユニクロの製品も、台湾では決して安くはありません。やや高めの衣類ではありますが、モノが良いので人気は高いです。

また、ブランド品からはほど遠い日本の100円ショップ「ダイソー」。様々な商品が安く手に入ることで日本では人気を集めていますが、台湾のダイソーは1品あたり39台湾元(約140円)と100円以上してしまいます。そもそも物価の安い台湾ですので、ダイソーの商品も台湾内、そして日本と比較しても安いとは言えません。

日本よりは安い「光熱費」

生活に欠かせない光熱費。台湾の光熱費は全体的に日本よりも安いと言えます。生活していくうえで具体的にどれくらいの費用がかかるのか、1つずつ見ていきましょう。

台湾の電気代

台湾の電気代は日本の電気代の約半分だと言われています。家の広さなどにもよりますが、1か月あたりの電気代は安くて500元(約1800円)、高いと1000元(約3700円)くらいが平均です。アパートだと更に安くなります。

台湾の電力供給は1つの電力会社が行っています。電気の使用量が増えるほど、単価が高くなるシステムとなっており、請求は2か月に1度です。アパートは部屋が狭いのでもちろん1戸建てなどよりも電気代は安いですが、大家が一括払いをしているアパートも多く、共有費用として使用分よりも多く電気代を徴収されることもあります。

台湾のガス代

台湾のガスは日本と同じく、プロパンガスと都市ガスの2種類があります。そして日本同様に、料金がわかりにくいことが多いです。

台湾でガス料金が高いのは台北市。その他の主要都市を比較すると大差はありません。ガス代の平均は1㎡あたり13.2元(約47.5円)だと言われています。東京ガスは1㎡あたり130円くらいなので、日本の3分の1くらいで安いといえるでしょう。

ちなみに、近年のオール電化に伴い、特にマンションなどではガスを使用しないことも多いです。

台湾の水道代

台湾の水道代は非常に安いと言えます。1か月あたりの水道料金は2人で生活したとして180元(約648円)くらいです。日本では上下水道料金として2か月で少なくとも3000円くらいはかかりますから、比較しても相当安いことがわかります。

しかし、台湾の水道水は飲むことができません。調理や飲料に使用しないこともあり、水道代はより安くなっているといえます。その分飲料水を購入したりウォーターサーバーを設置したりする費用がかかりますが、それを加味してもやはり安い部類に入るのではないでしょうか。

意外に高いのは「日用品」

全体的に物価の安い台湾ですが、日用品に関しては台湾内でも非常に高く、日本よりも高いものもたくさんあります。

台湾では日本製の日用品も多く見られます。例えばビオレのハンドソープは139元(約500円)、洗濯洗剤のアタックネオは159元(約572円)、メリーズの紙おむつは400元(約1440円)などです。日本製のものは日本で購入するよりも高い場合が多いです。

おむつに関しては台湾製のものは半値くらいで購入できますが、日用品は台湾製、その他アジア製のものは若干安くはあるものの、日本で日用品を購入する場合とあまり価格は変わりません。

まとめ - 台湾の物価は輸入品が高め

以上、台湾の「物価」とその課題でした。

台湾は「物価が安い」という印象が強いですが、実は輸入品や日用品など日本と価格が変わらない、日本で購入した方が安い、というものも多く存在します。とはいえ外食費や光熱費、家賃などは比較的安価であり、観光にも生活にも日本ほど費用はかからないのは台湾の魅力です。小さな島である台湾は、日本同様輸入品を避けることはできません。

今後、どれだけ輸入品を安く提供できるようになるかが、台湾の課題なのではないでしょうか。

本記事は、2020年11月17日時点調査または公開された情報です。
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