台湾の医療費と健康保険などの医療事情について

日本の健康保健制度である「国民皆保険制度」は、国民全員が必要な医療サービスを低額で受けることができます。これは、海外と比べるととても恵まれています。

今回の記事では、日本と比較した台湾の医療費、健康保険などの医療事情について解説します。

はじめに - 台湾の医療事情の概要

台湾の医療水準は高く、医療機関や病院、クリニックなども充実しています。医療機関で使われている医療機器などの多くが先進的な設備であり、医療大国だといえます。診療時間も夜遅くまでやっている病院が多く、平日でも通院しやすいという利点があります。

また、台湾にはホームドクター制はなく、日本同様に、自分で好きな医療機関を選び受診することができます。

台湾の「全民健康保険」について

台湾では1995年より「全民健康保険」が導入されました。

全市民に対して平等な医療を提供することが約束される全民健康保険は、日本の健康保険制度とよく似ており、毎月の保険料を支払うことで、医療機関に低額で受診できるというものです。

加入者は日本の保険証と同じような「健康保険カード」を病院などで提示する必要があります。しかし、このカードは個々で申請する必要があり、日本のように期限が切れたら自動的に送られてくるわけではありません。

全民健康保険は法律で加入が義務付けられており、年齢や仕事の有無を問わず、台湾に戸籍がある人は生まれてから亡くなるまで脱退することはできません。また台湾に戸籍がない場合でも、全民健康保険への加入条件を満たしている場合には、加入は必須となります。

「全民健康保険」の加入条件

台湾に戸籍がある人以外でも全民健康保険に加入しなければならないのは台湾に6か月以上、長期滞在をする場合などです。就労や留学、宗教活動、投資などの滞在理由で長期滞在が必要な場合、居留査証というビザを取得する必要があります。雇用先や留学先で加入の手続きをする場合もありますが、他にも居留査証が交付され、台湾での滞在期間が6か月になった日から加入が可能となります。
前述の通り、この保険は法律で加入が義務付けられています。手続きや納付が遅れると延滞金が発生するので、台湾に長期滞在する人は注意が必要です。

「全民健康保険」で受けられる補償

全民健康保険に加入をしていれば、様々な医療機関を低額で受診することができます。風邪や怪我、虫歯、皮膚のトラブルなど一般的な症状の他、

・歯のクリーニング
・自然分娩
・訪問看護(月に2回)
・漢方医のサービスと薬の処方

なども全民健康保険の範囲内で受けることができます。日本では自費診療となる分娩や、介護の分野に入る訪問看護などもあり、全民健康保険がカバーする範囲が非常に広いことがわかります。

台湾のおおよその医療費

全民健康保険の保険料は収入や職業で決まりますが、一般的な保険料は毎月800台湾元ほど。1台湾元=3.6円で計算すると、月々の保険料は日本円でおよそ2,880円です。この他徴兵軍人や軍港の学生、低所得家庭などは医療費が免除となり、公務員や教職員、志願役軍人などは自己負担が3割。物価が日本より安い台湾は、医療費も日本と比べて安価だと言えます。

台湾の病院で外来にかかる

内容や医療機関にもよりますが、外来にかかった場合の自己負担額は50~450台湾元(約180~1620円)。風邪で内科に行く、虫歯で歯医者に行くといったような一般的な症状の場合は日本円で500円前後です。

また、医薬品も非常に安価で、100台湾元以下の場合は本人負担額はなし。101~200台湾元の場合は20台湾元(約72円)、901~1000台湾元のでも自己負担額はわずか180台湾元(約648円)となっています。日本で風邪で病院を受診し、風邪薬を処方してもらう場合にかかる費用はおよそ1,800円。レントゲンや尿検査、血液検査まで行えば費用はさらに上がるので、台湾の医療費がいかに安いかがわかると思います。

しかし、外来診療、薬などが安いことで、誰もが受診しやすいというメリットはありますが、反面小さな怪我や病気でも受診をし、必要以上に薬をもらう人がいる、という問題点もあります。医療費が安いことが一概に良いとは言えないこのような現状は、台湾の医療に関する課題の1つにもなっています。

台湾で救急車を呼ぶ

台湾で救急車を呼んだときにかかる費用は無料です。しかしこれは公営の救急車を、本当に緊急の際に読んだ場合。重症、重病で公営の救急車を呼んだときは、全民健康保険への加入の有無に関わらず無料です。つまり、観光客なども特に料金はかかりません。

しかし、台湾には私営の救急車もあり、こちらを呼ぶと料金がかかります。また、症状によって急を要さないと判断された場合には、費用を請求されることも。この場合の費用や制度は都市などによって異なります。

日本でも、国籍などに関係なく救急車を呼んだ場合にかかる費用は無料です。しかし近年、軽傷、軽症でも安易に救急車を要請する人が増加しており、全国で5秒に1台は救急車が出動している計算となっています。救急車を1回出動させるには人件費やガソリン代、メンテナンス費用、医療器具代などを合わせて約45,000円が必要だといわれており、これは各自治体の税金でまかなわれています。

本当に必要でない場合の救急車出動頻度を抑えるため、有料化することも検討されています。

更に他国に目を向けてみると、台湾や日本と同様に無料で救急車を呼ぶことができるのは、

・スウェーデン
・イギリス
・イタリア

など。

反対に、救急車を呼ぶ際に料金が発生する国は、

・アメリカ
・カナダ
・中国
・オーストラリア
・フランス
・ドイツ

などが挙げられます。

台湾で入院・手術をする

台湾での入院費用の自己負担額は5~30%です。出産や重大な病気に関する入院などの際は、全額を全民健康保険で負担してもらえます。手術は内容によってかかる費用も変わりますが、例えば虫垂炎(盲腸)の内視鏡手術を行った場合、入院・手術で15,000~20,000台湾元(約54,000~72,000円)ほど。

日本で虫垂炎のために入院・手術を行った場合にかかる費用は入院1週間で約85,000~100,000円と言われているので、日本よりも安いものの、入院や手術にかかる費用の自己負担額に大きな差はないと言えるでしょう。

台湾の医療費は全額負担でも安い

台湾に戸籍を置く人、6か月以上の長期滞在する人は全民健康保険の加入が義務付けられていますが、台湾を訪れた観光客などが現地で怪我や病気になった際、かかる医療費はどれくらいなのでしょうか。

台湾で全額負担となった場合の医療費は日本円で、

・初診料:約5,000~10,000円
・入院1日:約5,000~30,000円
・ICU使用料:約24,000~32,000円
・虫垂炎の手術:約18~30万円
・アキレス腱断裂の手術:約20~26万円

となっています。全額自己負担しても日本より安く診察・治療を行えますし、旅行の場合は海外旅行保険に加入することも多いので、万一の場合も驚くような高額な支払いをする必要はなさそうです。

台湾では病院のレベルによって医療費も変わる

台湾の医療費は病院のランクなどによっても変動します。個人のクリニックは台湾内に17,000以上、総合病院や大学病院といった大規模病院は約720と医療機関の数も比較的多い台湾では、個々が自由に医療機関を選択することができます。

大規模病院も公立病院と私立病院に分かれ、私立病院の中にはホテルのように綺麗で設備が整っているところも少なくありません。こういった医療機関を受診したり、入院・手術を受けた場合、医療費は通常よりも高くなります。

まとめ - 台湾の医療水準は低くない

台湾の医療水準は決して低くはありません。むしろ設備や技術は良く、医療にかかる費用は安価で、世界と比較しても高水準だと言えるでしょう。しかし、大規模病院の医療が進む一方で、個人病院の設備はなかなか最新鋭のものを取り入れることができず、人口の少ない地域では深刻な病院不足も起こりつつあります。

高度な水準の医療を提供できる台湾。今後の課題は全土に高水準の医療を浸透させること、そして日本同様に進む少子化や晩婚化、高齢化に対応できるような医療体制や医療従事者の増加ではないでしょうか。

本記事は、2020年11月15日時点調査または公開された情報です。
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