自衛官がうつ病になったらどうなる?
災害派遣や海外派遣などの任務に従事し、厳しい訓練など日ごろからストレスと向き合う自衛官ですが、万が一心の病になった場合はどうなるでしょうか?
本ページでは、自衛官がうつ病になったとき、自衛隊ではどのような制度・支援があるのかご紹介します。
診断を受けてから復職(退職)までの流れ
まずはじめに、個々のケースによって対応が異なることが多いので、あくまで利用できる制度とその流れについてのご紹介とします。
復職の場合、そして残念ながら退職となってしまった場合の流れは以下の通りです。
復職の場合
診断→年次休暇→病気休暇(90日)→休職(3年)→出勤訓練(休職期間中)→復職
退職の場合
診断→年次休暇→病気休暇(90日)→休職(3年)→出勤訓練(休職期間中)→※依願退職 or 分限免職
自衛官はうつ病の治療に専念しやすい環境である
どの過程においても、退職する可能性はありますが、うつ病になっても、約3年は治療に専念できる、というのが率直な感想でしょうか。
次は、それぞれの休暇制度についてご説明します。
約3年の保障は手厚い?自衛官の休暇制度
前項で、様々な休暇制度を記述しましたが、それぞれについて簡単にご説明します。
年次休暇(有給)
月に2日ずつ付与される有給休暇で、本人の希望で利用できる一般的な休暇です。通院だったり、子供の行事、理由を問わず利用できます。
病気休暇(有給)
最長90日間(土日含む)の病気治療に使用できる休暇で給料は100%保障されています。医師の診断書が必要など、使用には制限があります。
休職(有給)
病気休暇の90日間を使用しても症状が良くならず、引き続きの療養が必要な場合に使用します。こちらは3ヶ月に1回、医師の診断書の提出が必要です。
また有給ではありますが、保障額は80%となっております。
職場復帰できない場合はどうなるの?
約3年間の治療期間でも残念ながら職場復帰できなかった場合は分限免職という免職となります。しかしながら、その前に依願退職にして本人の経歴に傷がつかないような配慮がされることが多いです。
まとめ
ここまで、自衛官がうつ病になった場合にどのような制度があるかご紹介しました。うつ病になったとき、最長で3年と3~4ヶ月の間、給料を支給されながら治療に専念できるのは安心できる点だと思います。
ですがもちろん、まずはうつ病にならないことが大事です。そのためにも各駐屯地や基地ではカウンセラーや専門の教育を受けた隊員が配属されております。また、電話での相談も対応しており「なる前」のケアも整備されています。
任務の多様さが増し、海外への派遣も増えて隊員のメンタルケアが必要である現在において心の病の問題は最重要な課題として取り組まれているようです。
コメント
コメント一覧 (9件)
うつ病は社会問題。そして、自衛官は危険な地へ仕事上行かざるを得ないので、うつ病になるリスクもあると感じていた為。3年間もの間、仕事を退職せずに治療に専念できる環境はいいと思いました。
現実はそこまで優しくありません。
制度として建前はあるのですが、末端の現場では病気休暇など取得できないまま早急に依願退職へ追い込まれているのが現状です。
コメントありがとうございます。
もし、興味ございましたら、公務員総研へ寄稿いただければ幸いです。
“分限免職という免職制度があることは初めて知りました。
災害派遣などで精神的に傷を負われた方がいると聞いたので、その後の制度を知ることができたのは良かったです。とても専門的なことが載せてあるサイトだと思いました。”
自衛官の仕事は精神的に大変な部分が大きいだろうと感じていたので、保障の制度が手厚いとしれて勉強になりました。実際の取得率、復職率なども知れればより良いと感じました。
もともとメンタルヘルスの問題に関心があるので、興味深く読みました。具体的に、うつ病で休職した方の体験談などもあるともっと良かったと思います。
自衛隊はうつ病の治療に専念しやすいということを知りました。
他の公務員や、一般企業ではどのくらいの休暇を取ることができるのか、比較できればよかったと思いました。
知ってよかったところですが、うつ病になっても3年間病休が使えることに驚きました。公務員は、うつ病になっても優遇されているので安心できますね。
自衛官でなくともうつ病になってしまうこともあるので、どのように対応されているか、またどのように支援されているかを知りたいと思いました。かなり長期にわたって休暇が取れることを知り、支援が手厚く受けられてためになりました。