サウジアラビアの政治体制
サウジアラビアは、代々サウード家の人が国王となって国を統治する、1932年に成立した絶対君主制の王国です。
サウジアラビアには日本の立法機関にあたる「諮問評議会」や、内閣に相当する「閣僚評議会」も設置されていますが、実質的な国家権力は国王に集中していて、立法権は国王に属し、首相格の閣僚評議会議長も国王が兼任しています。
諮問評議会の議員は国王が任命するため、サウジアラビアの国民に国政 レベルについての選挙権はありません。しかし日本の地方自治体にあたる「自治評議会」の議員の選出については国民に選挙権があります。
女性の人権問題
サウジアラビアの政治は、コーランに基づくイスラム法がもちいられ、国内法はイスラム教スンニ派の原理主義(ワッハービズム)に基づいています。サウジアラビアの女性や外国人労働者は、サウジ男性には適用されない法律によって、さまざまな抑制を受けています。
例えば、女性の服装は厳格に定められていて、体を覆うアバヤ(コート)と、頭を覆うヒジャーブ(スカーフ)や、顔を覆うニカーブ(ベール)を外出時には必ず身につけなければなりません。外国人女性もこの法律の対象で、違反者は逮捕される可能性もあります。服装以外にも、女性は男性保護者(父親、男兄弟、または夫など)の許可なしに、結婚、就職、旅行、医療サービスを受けることができません。
サウジアラビア国内人口の約3割に当たる外国人労働者に対しても、雇用主が労働者のパスポートを取り上げるなど、差別的な行為が行われています。もしアラビア語がわからない外国人労働者が、何らかの理由で訴えられた場合にも、裁判はアラビア語のみで進められ、通訳者の介助は認められません。またイスラム教徒の男性がアラビア語で証言しなければ、証言が無効になるなど、外国人には極めて不利な裁判になります。
改革
西洋とは異なる、サウジアラビアの政治や人権についての概念は、欧州諸国からたびたび非難のまとになっています。しかし世界的な流れを受けて、サウジアラビアも変化しつつあります。
2017年にサルマン現国王が、女性に自動車の運転を許可する勅令を出したことで、長いあいだ禁じられていた女性の運転が解禁され、2018年には多くの女性が免許の交付を受けました。
また2015年12月には、女性の選挙権と被選挙権が認められ、サウジアラビア初の女性議員が誕生しました。従来男性のみに限られていた「諮問評議会」にも、今では30人の女性議員が国王より任命されています。
まとめ
サウード家出身者が治めるサウジアラビア。まだまだ男女の権利が平等とは言えませんが、世界的流れを受けて、これから変わろうとしている国の一つです。
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