たまたま当選を防ぐ決選投票制
フランスでは1選挙区で1人の議員を選ぶ時に、どの候補者も一定の得票数を得られなかった場合に、一番得票した人が議員になるのではなく、1回目の選挙で12.5%以上の票を獲得した候補者全員で、1週間後に2回目の投票(決選投票)を行います。
もちろん最初の投票で、当選に十分な得票数を得た候補者がいた場合は、2回目の投票は行われません。しかし選挙の票が割れて、当選に満たない候補者ばかりになった場合、決選投票を行えば、あまり支持されていない候補者が、たまたま当選してしまう危険性が減り、より多くの人が納得できる人物を選出できるので、手間はかかっても2回投票を実施する意味があると考えられています。
フランス以外でも大統領制の国や、日本で内閣総理大臣を選挙する際には、決選投票が行われています。しかしフランスでは、5年ごとに実施される大統領選挙と、国会議員選挙、両方の選挙に決選投票 (2回投票制)が取り入れられていて、これは先進国ではとても珍しいことです。
2回投票制の長所と短所
2回投票制の長所は、一部の人々の支持だけで当選者を決定するのではなく、なるべく多くの人々の意見で当選者を決めることができる点です。そのため20世紀初めまでは、ヨーロッパの多くの国々で選挙の際は決選投票が行われていました。
一方短所としては、投票を2度行う手間や費用がかかる点が挙げられます。そのためヨーロッパでは、2回投票制から比例代表制に切り替える国がだんだんと増えていき、現在、議会の選挙まで2回投票を実施している先進諸国は、フランスだけになってしまいました。
まとめ
2回投票制を使えば、より確かな民意を政治に反映できるはずです。しかし時間と費用の点を考えると、一度比例代表制が定着した国には波及しづらい制度なのかもしれません。
コメント