航空保安大学校(学生)の教育内容(研修内容)について

航空保安大学校(学生)の仕事内容として、航空保安大学校の教育内容、研修の内容をご紹介します。航空保安大学校では、一般教養科目のほか、将来の業務に直結する科目をバランスよく学び、将来の日本の航空保安を守るスペシャリストとなる学生を教育、養成しています。


「航空保安大学校」は「航空保安職員」を養成する日本で唯一の研修施設

「航空保安大学校」は、「航空管制官」「航空管制運航情報官」「航空管制技術官」など航空の安全を支える「航空保安職員」を養成する、日本で唯一の大学校です。なお、国土交通省の管轄の大学校です。

ちなみに大学校は、他の大学とは違い大学卒業の学位の取得はできませんので、大学というよりは国家で働く専門職のための職業訓練校のようなイメージを持つとわかりやすいかと思います。

学位は取得できませんが、学生として採用された時点で国家公務員として採用されたことになり、給与を受け取りながら「航空保安職員」になるための教育が受けられます。

「航空保安大学校」は「航空職員訓練所」として開設されたのが始まり

「航空保安大学校」は、昭和34年に東京国際空港(羽田空港)内に、旧運輸省(現在の国土交通省の一部)の「航空職員訓練所」として開設されたのが始まりです。

昭和46年に、現在の名称である「航空保安大学校」となりました。

本校舎は平成20年4月に羽田から現在の大阪府泉佐野市に移転しているほか、宮城県岩沼市に設置されている「岩沼研修センター」では、現場配属後の航空保安職員が、能力向上のための高度な専門知識や技能を取得するため、現場に即した実践的な訓練を受講することができます。

学生、訓練生の教育と、現役の職員の教育を並行して行っている教育施設です。

「航空保安大学校(学生)」の学科と、それぞれの受験要件について

「航空保安大学校」は、大きく分けると、大卒で受験できる学科と、高卒で受験する学科に分かれています。

大卒、または大卒見込みの方が受験できるのが「航空管制科」です。「航空管制科」は、航空管制官になるための研修を8ヶ月間受講する学科です。

高卒で受験できるのが「管制情報科」と「航空電子科」です。「管制情報科」と「航空電子科」はともに2年間の研修期間があり、「管制情報科」からは運航支援業務、「航空電子科」からはエンジニア業務を担える人材を輩出するための教育が行われています。

「航空保安大学校」の「管制情報科」の教育内容

管制情報科では、2年間の研修を受け、「航空管制運航情報官」になるために必要な「航空法」などの基礎知識や、航空英語能力等を身につけます。


「管制情報科」の学科科目

管制情報科では、心理学、法学、数学、物理学、英語、などの一般科目に加えて、航空法規、航空気象学など、航空管制業務に必要な科目も学びます。

また、将来は主に無線を使用した業務になるため、電波法規、無線工学などといった、無線の使用に特化した科目が必修となっているのも管制情報科の教育内容の大きな特徴です。

「管制情報科」の実技科目

さらに、実技科目では、実際の業務さながらの演習が行われます。飛行場対空援助演習、運航援助演習、管制通信演習、飛行場情報演習などの科目で、それぞれシュミレーター等を使い、実際に空港で勤務することを想定した訓練が行われるほか、1年と2年の合同実習で異学年交流が行われ、将来同僚になるかもしれない同士との交流を図る機会もあります。

航空情報科の紹介 - 航空保安大学校公式YouTubeチャンネル

「航空保安大学校」の「航空電子科」の教育内容

航空電子科の学生は、2年間の研修を受け、「航空管制技術官」を目指します。そのため、一般教養はもちろん、電子工学、管制システムなどの専門分野の科目について幅広い研修が実施されています。

「航空電子科」の学科科目

航空電子科では、管制情報科と同じように、一般教養として心理学、法学、数学、応用数学、物理学、英語などの一般科目を学びます。

加えて、コンピュータシステム基礎、情報ネットワーク理論・演習、航空通信システム理論などといった、航空管制技術官に必要なエンジニアとしての知識を身につけます。

「航空電子科」の実技科目

航空電子科の実技科目では、情報リテラシーやプログラミング実習など、エンジニアとしての基礎的な技術・知識を学ぶ科目があるほか、実際に業務で使用されているシステムを動かしながら研修をする航空通信システム実技、航法システム実技、着陸システム実技、監視システム実技といった科目も用意されています。

航空電子科の紹介 - 航空保安大学校公式YouTubeチャンネル

学ぶことが仕事!航空保安大学校学生には給与が支払われます

航空管制官採用試験に合格し、「航空管制科」で学ぶ期間についても、航空保安大学校学生採用試験に合格し、「管制情報科」や「航空電子科」に入学し学ぶ期間についても、いずれも研修期間中には給与が支給されます。

給与月額は、令和元年(2020年)12月時点では、航空管制官(航空管制官基礎研修課程)の場合は約19万3000円程度、航空保安大学校学生(本科学生)の場合は約15万9000円程度でした。

このほか、期末手当・勤勉手当といったいわゆるボーナスや、その他各種諸手当(扶養手当、住居手当等)が支給されます。

また、学生寮は無料で使用でき、教材費や制服代も無料で支給されます。「学生」とは呼ばれますが、職業訓練生としての自覚を持ち、一人前の国家公務員として航空保安に関わる専門知識を学び身につけていくことが求められています。

まとめ

このページでは「航空保安大学校(学生)」の仕事内容として、航空保安大学校に設置されている3つの学科「航空管制科」「管制情報科」「航空電子科」の教育内容・研修内容をご紹介しました。

航空保安大学校は、「大学校」という名称がついていますが、大学の学位は取れない航空保安専門職の研修施設です。


しかし、着実に国家公務員として一人立ちできるようなカリキュラムが用意されており、研修期間中は給与が支給されることから、学びに集中できる環境が整っています。

航空保安大学校の教育内容について、さらに詳しく知りたい場合は、航空保安大学校のYouTubeチャンネルや、公式サイトをご確認ください。

参考資料サイト

国土交通省|航空保安大学校ホームページ

Youtube|航空保安大学校YouTubeチャンネル

本記事は、2023年3月24日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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