医師かつ幹部自衛官という重責を担える人材を教育する【防衛医科大学校】の教育内容(2022年11月調査)

「医師」であり、かつ「幹部自衛官」という重責を担う人材を育成・教育するのが「防衛医科大学校」です。在学中は「手当て」を受け取りながら一般課程・専門課程を学ぶほか、自衛官としての訓練を受けることができます。その「防衛医科大学校」の教育内容についてご紹介します。


防衛医科大学校の教育内容は、医学科、看護学科、医学研究科の3学科

「防衛医科大学校」は「医官」つまり「医師である幹部自衛官」を養成するため、1973年に防衛省(当時は防衛庁)に創設された大学校です。設立当初は「医学科」のみが設置されていました。

現在は、学部課程に相当する「医学科」と「看護学科」、卒業後の進路として大学院課程に相当する「医学研究科」が設置されています。

「看護学科」については2014年に新たに設立されました。看護学科は、保健師及び看護師である幹部自衛官を養成する「自衛官コース」と、防衛医科大学校病院の看護師を育成する「技官コース」の2つに分かれています。

自衛隊の医官や看護技官は、「国際貢献活動」や「災害派遣」さらに近年では新たな脅威となっている「感染症拡大」に対する対応など、自衛隊全体の任務が多様化していることに伴い、自衛隊衛生の専門家としての活躍が求められています。

「防衛医科大学校医学科」の学生の身分と待遇について

防衛医科大学校医学科の学生は「特別職国家公務員」という身分に該当します。学生でありながら、国家公務員でもあるということで、一般の学生とは異なり、責任を持って学びに取り組む必要があります。

防衛医科大学校の学生は、国家公務員の一員として、毎月の手当と、年に2回の賞与も支給されます。

医学科の教育課程は6年、医学研究科は4年あります。

ただし、卒業後、勤務が9年間よりも短い期間で退職する場合には、卒業までの経費、つまり手当などの一部を返還しなければなりません。(2022年11月調査情報)

卒業後に自衛官の一員としてある程度の年月勤務することを前提に、手当などは支給されているようです。

「防衛医科大学校・医学科」の教育内容

防衛医科大学校医学科の教育課程をご紹介します。

医学科では医学教育はもちろん、自衛官としての訓練課程も学びます。


防衛医科大学校医学科の進学課程

防衛医科大学校医学科では、1年次に一般教育科目を習得します。人文、社会系の科目や数学などの総合科目のほか、外国語、保健体育、そして医学の基礎教育として、数学、物理学、化学、生物なども必修で学びます。

防衛医科大学校医学科の専門課程

防衛医科大学校医学科の専門課程は、1年次の後半から、6年次まで学びます。

医学科の専門課程は21の臓器別などの授業科目で構成されています。「基礎医学」では、解剖学、生理学、病理学、薬理学を学び、「臨床医学」では、内科学、外科学、小児科学、精神科学等を有機的に統合させた形の講義、実習などが用意されています。

このような専門教育を受けることで、学生は医師として必要な専門知識や診断法などを習得できるよう配慮されています。

防衛医科大学校医学科の訓練課程

防衛医科大学校医学科の「訓練課程」は、「基礎教練」と「部隊実習」で構成されています。

基礎教練の「徒歩訓練」の科目では一人一人の動作と、小隊長以下の指揮法について修得します。「体育一般」の科目では、自衛隊体操や、体力検定種目である3000m走、懸垂、ボール投げ、走り幅飛びなどを実施します。

部隊実習では、射撃や野営、水泳訓練やスキー訓練など、過酷な環境でも自衛官として、医師として活動できるような技術を身につけます。

防衛医科大学校生の卒業後の進路

「防衛医科大学校医学科」の卒業後の進路については、一般的な医学科卒業後と同じように、防衛医科大学校病院などで「総合臨床医」としての能力、そして「臨床専門医」としての能力を修得するための、「臨床研修」を受けます。

また医学科卒業後に大学院に相当する医学研究科に進学すると、大学改革支援・学位授与機構から「医学博士」の学位が授与されます。

一方、「看護学科」の卒業後の進路は「保健師」及び「看護師」である「幹部自衛官」を養成する「自衛官コース」と、防衛医科大学校病院の看護師を育成する「技官コース」という、2コースそれぞれの教育内容に基づいて、それぞれの進路を進みます。

防衛医科大学校医学科の卒業後、医師免許を取得するまで

防衛医科大学校医学科の学生は、卒業後、すぐに「医科幹部候補生(曹長)」となって約6週間、各自衛隊の幹部候補生学校で「幹部自衛官」として必要な教育訓練を受けます。

医学科の課程を修了すると医師国家試験を受験できますが、この「医師国家試験」に合格すると、医師免許が与えられ、「幹部自衛官(2尉)」の役職も与えられます。

まとめ - 医官・技官にふさわしい人材を育成する教育内容

このページでは、自衛官でありながら医師や看護師として活躍する医官や看護技官を育成する「防衛医科大学校」の教育内容についてご紹介しました。

防衛医科大学校では、医師になるための医学教育はもちろん、自衛官になるための部隊実習など、幅広いカリキュラムが用意されています。

手当を受けながら医師や看護師になるための教育を受けられるのは防衛医科大学校ならではの特色ですが、卒業後の進路にある程度制限があります。自衛隊には少なくとも9年間在籍し、医官や技官として勤務しなければなりませんので、卒業後の進路についても了承した上で入学することが求められます。


参考資料サイト

防衛医科大学校|防衛医科大学校について

本記事は、2023年6月23日時点調査または公開された情報です。
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