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【事務方から救助隊員まで】消防職員の給料体系について知ろう

私たち市民との距離も近い、身近な公務員として知られている消防職員。子供のころに消防職員に憧れ、そのまま将来の道として選び、実際に活躍している人も多くなっています。ここでは、実際に消防職員を目指す人も知っておきたい消防職員のお給料についてまとめました。

2017年12月06日更新

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目次
消防職員の給料を決めるポイント
まとめ
【事務方から救助隊員まで】消防職員の給料体系について知ろう

消防職員の給料を決めるポイント

公務員の分類(学歴)

一般的な消防職員は、各市町村に配置されている消防本部に属している地方公務員です。ですので、消防職員を目指すなら、まずは消防職員採用試験である地方公務員試験に合格しなければいけません。(消防組織に携わる公務員の正式名称は「消防吏員」ですが、本項では分かりやすく「消防職員」と表記しています)

地方公務員にはⅠ類(大卒程度)、Ⅱ類(短大卒程度)、Ⅲ類(高卒程度)の採用区分があり、この区分も消防職員の給料を決めるポイントです。消防職員の初任給を見てみると、高卒が全国平均で15万円前後、大卒が全国平均で20万前後です。

高卒は大卒よりも初任給では低くなりますが、その分早く現場に出て消防職員として活躍したり、経験を積んだりできるメリットがあります。大卒のメリットは高卒の逆と考えて良いでしょう。

また、Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類の採用区分はあくまで学歴相当の物であり、必ずしもその区分の学歴が必要という訳ではありません。例えば、高卒の人がⅠ類の採用試験を受ける事も可能です。

所属する消防組織のある都市の規模

消防署員の在籍している消防組織とは、総務省消防庁以下東京消防庁、全国の市町村単位の消防局や消防本部に分かれ、自治体ごとの消防本部の大きさは、都市の規模や人口と比例します。そして、在籍している消防本部の規模も大きければ大きいほど、給料が上がる傾向にあります。

例として消防職員として中堅である30代の年収を消防本部がある都市の規模で比較すると、東京都は400万から540万前後、各政令指定都市は390万から520万前後、政令指定都市以外の市は380万から500万前後、町村は360万前後から480万前後ですので、都市の規模によって給料の金額にも差が出る事が分かります。

所属する消防の地域

一般的な会社員でも都市部の勤務なら給料が高く、地方に行けば行くほど給料が低くなる傾向にあります。これは、都市部の方の業務内容が多い、物件や物価の価格自体も高いなどの理由があるからです。

消防職員についてもこれが当てはまり、在籍する消防本部がどこにあるのかが給料に影響しますので、全国一律ではありません。

例として東京都とその他政令指定都市などの大卒消防職員の初任給を比較すると、東京都は約25万円、さいたま市・千葉市・横浜市・川崎市・相模原市・新潟市・京都市・大阪市・堺市など関東・関西地方の政令指定都市は約21万から23万円、札幌市・仙台市・静岡市・浜松市・名古屋市・神戸市・岡山市・北九州市・福岡市・熊本市など関東・関西以外の政令指定都市は約19万円から21万円ですので、規模の大きい消防本部の中でも、その消防本部がある地域によって給料に差が出る事が分かります。

年齢

一般的に日本では年齢と共に給与所得も上がっていく年功序列システムが給料にも採用されていますが、消防職員も同じく、年齢とともに給料は上がっていきます。

▼消防職員の年齢別平均年収額(東京都の場合)
18~19歳 約285万円
20~23歳 約320万円
24~27歳 約360万円
28~31歳 約405万円
32~35歳 約480万円
36~39歳 約540万円
40~43歳 約600万円
44~47歳 約610万円
48~51歳 約660万円
52~55歳 約680万円
56~59歳 約700万円

一般的には40代~50代が年収のピークを迎え、50代以降の年収は下がっていく傾向にありますが、消防職員の場合定年まで年収が上がり続けるシステムとなっています。

階級

消防組織の指揮統制と規律の上では、消防職員たちを束ねるリーダーが必要です。一般職員の上に中リーダー、その中リーダーたちを纏める大リーダー、という様に組織的な統率の為に消防職員の身分を段階的に区分したのが階級です。階級はチームプレーが基本である消防組織にとっては欠かせないものとなっています。

階級は消防士から始まり、消防副士長、消防士長、消防司令補、消防指令、消防指令長、消防監、消防正監、消防司監、消防総監の10階級からなっています。

階級が高くなれば高くなるほど、給料も上がります。なお階級は自動的に上がっていくのではなく、各階級間で決められた年数ごとにチャレンジできる昇級試験を受けて合格しなければいけません。

昇級試験のシステムは消防職員の在籍している消防本部によって、最初に受けた採用試験の区分によって異なります。消防士から消防士長への昇級を例とすると一般的な消防本部の場合は、高卒程度なら4年、大卒程度なら2年を経て昇級試験を受けられますが、東京消防庁の場合は、公務員区分専門系及びⅠ類で2年、Ⅱ類で3年、Ⅲ類で4年となっています。

各階級の役職及び平均月収
▼消防士:19万円から35万円前後
東京消防庁の係員
政令指定都市の係員・隊員・機関員
中核市の係員
中群市の主事
その他市町村の消防士

▼消防副士長:21万円から40万円前後
東京消防庁の係員
政令指定都市の係員・隊員・機関員
中核市の係員
中群市の主事
その他市町村の消防副士長

▼消防士長:22万円から33万円前後
東京消防庁の係員
政令指定都市の副隊長・係員・隊員・操縦士・整備員・機関員
中核市の係員
中群市の主査・主任・主事
その他市町村の主任

▼消防司令補:25万円から40万円前後
東京消防庁の主任
政令指定都市の係長・主査・主任・隊長・副隊長・隊員・操縦士・整備員
中核市の係長・主任・主査
中群市の係長・主査
その他市町村の主任

▼消防司令:26万円から48万円前後
東京消防庁の係長・課長補佐・出張所長・課長
政令指定都市の副所長・係長・所長・主査・隊長・副隊長・操縦士・整備員
中核市の課長補佐・消防訓練センター所長・副分署長・係長
中群市の課長補佐・所長補佐・副主幹・出張所長・出張所長補佐
その他市町村の総務課長・署長・主幹・総務課長代理・署長代理

▼消防司令長:28万円から51万円前後
東京消防庁の方面副本部長・課長・室長・装飾工場長・航空隊長・副参事・署長・分署長
政令指定都市の署長・課長・隊長・分署長・主幹
中核市の課長・主幹・課長補佐・消防訓練センター所長・分署長・主幹副分署長
中群市の課長・署長・主幹・支署長
その他市町村の消防長・次長

▼消防監:31万円から55万円前後
東京消防庁の参事・消防学校副校長・署長
政令指定都市の部長・署長・参事・課長
中核市の次長・参事課長・主幹
中群市の消防長・副消防長

▼消防正監:35万円から57万円前後
東京消防庁の部長・方面本部長・消防学校校長・消防科学研究所長
政令指定都市の理事・次長・部長・署長・参事
中核市の消防庁

▼消防司監:49万円から65万円前後
東京消防庁の次長・部長
政令指定都市の局長(消防長)
中核市の消防長

▼消防総監:75万円から125万円前後
東京消防庁の消防総監(東京消防庁長であり、階級がそのまま役職名になる)

各種手当

消防職員は、設定された基本給に調整手当、扶養手当、住居手当、通勤手当、ボーナスに当たる期末手当、そして消防職員ならではの特殊勤務手当がつき、お給料として支払われます。これは、在籍している消防署や自治体に関係なく、全ての消防職員に共通している給料計算方法です。

特殊勤務手当は、定められた業務に従事した場合や、緊急消防援助隊など特殊な出動をした場合に1回単位で支払われる手当です。行った業務内容や、救急救命士や機関員などの資格の有無によって金額が決められますが、この金額は自治体によって差があります。

救助隊や救急隊と言った過酷な職種はあらかじめお給料が高い、という訳ではなく実際に業務の為の出動や、夜間業務の回数によって手当が加算される仕組みとなっています。

▼ある自治体の特殊勤務手当の例
救急業務に従事した職員について、救急救命士は1回500円、機関員で1回400円、救急救命士・機関員以外の消防職員で1回300円が手当として支給されます。

救助業務に従事した職員については、機関員が1回400円、機関員以外の職員は1回300円が手当として支給されます。

火災出動業務に従事した職員については、機関員が1回400円、機関員以外の職員は1回300円が手当として支給されます。

広域活動や特殊災害への出動手当は少し高くなり、潜水業務に従事した職員は1回1,000円、緊急消防援助隊として従事した職員は
1日1,680円が手当として支給されます。

当直勤務である夜間勤務に重視した場合は、1回410円が手当として支給されます。

事務方よりも現場の給料が高い

最後に消防職員の給料を決めるポイントが、一般事務職員よりも現場に出動して活動する消防職員の方の給料が高く設定されている事です。ここで、消防職員の職種について簡単にまとめました。

<現場で活躍する消防職員>

▼消防隊員
ポンプ隊や消火隊など、呼び方は自治体によって様々ですが、主に消火活動をメインで行う部隊です。消防学校での初任教育を終えた新人が、最初に配置される職種です。

消火活動だけでなく人命検索を始めとした救助活動、救急隊員資格を持つ消防隊員がAEDなどの各種救急資機材を消防車に搭載し、救急車と共に同時出動して効率的な救急活動を行うPA連携(PumperとAmbulanceの連携)、消火栓などの保守点検をしていざという時に備える水利調査、管轄内の建物に対して、火災が発生した時の為に事前調査を行う警防査察なども行います。

▼はしご隊員
はしご車の運用をする部隊です。ほとんどの自治体では救助隊がはしご隊員を兼任していますが、東京都のようにはしごの専任隊や、横浜市のように消防隊が兼任している事もあります。

▼救助隊員
オレンジの活動服がトレードマークの救助のスペシャリストです。自治体の規模に応じて、更に高度な技術を持つ高度救助隊や特別高度救助隊が配備されています。

救助隊員は救助活動に用いる資機材を取り扱う為に特殊な資格が必要になります。例えば、救助活動において鉄板を溶かして切断するガス溶断機を使うには、ガス溶接作業主任者免許や、ガス溶接技能講習修了証が必要になります。これらの特殊免許は、救助隊員になってから必要に応じて取得可能です。

▼救急隊員
救急車の要請に応じて出場する救急隊員は通常3名で構成され、このうち1名以上に救急救命士が含まれる事が多いです。

救急隊員になるには、消防学校にて行われる「救急過程」を修了し、内部資格を取得しなければいけません。つまり、救急救命士資格を取得した状態で消防職員になっても、いきなり救急隊員にはなれないのです。

▼機関員
消防車両の運転は、機関員と言う専任隊員が行います。機関員になるのは、国の定める「緊急自動車の運転資格」を満たし、各消防本部が定める機関員の内部資格を取得しなければいけません。

機関員の資格は、救急車などの普通車クラスの車両で、ポンプ操作の必要のない車両の運転を行う普通機関員、ポンプ車の運転と操作を行うポンプ機関員、大型化学車など大型の消防車両の運転を行う大型機関員、はしご車の運転や操作を行うはしご機関員の4つですが、特にはしご機関員は高い運転技術や操作技術が必要な為、はしご機関員養成研修を受けて専門知識を学び、実技試験に合格しなければ資格を得る事ができません。

▼指揮隊員
火災現場などで情報収集や指揮統制を行う部隊です。各消防本部ごとに指揮隊の構成は異なりますが、現在では各消防署に1台の指揮支援車と3名の指揮隊を運用するように整備が進められています。

▼航空隊員・航空救助員
東京消防庁や政令指定都市、各都道府県で所有している消防ヘリコプターを使用し、高層建物火災や林野火災での空中消火や情報収集を行うのが航空隊員です。消防ヘリのクルーは、操縦士・整備士・航空救助員(ヘリレスキュー)で構成されており、東京消防庁にのみ航空隊の中でも高度な技術を持つエア・ハイパーレスキューが配備されています。

特に消防ヘリの操縦士や整備士はひとりのクルーを育てるのに膨大な時間や費用がかかる為、自治体や都道府県では操縦士や整備士を外部の航空会社や業者に委託していたり、ヘリコプターの操縦ができる人を中途採用していたります。ただし、ヘリコプターの操縦免許等を持っていて中途採用されてもすぐに航空隊員になれるわけではなく、初任教育を受けて消防署の消火隊員を経験してから航空隊員への道が開かれます。

裏方として消防組織を支える消防職員
▼指令係員
市民からの119番通報を受けて、災害発生場所の特定とその場所から一番近い消防署の選択、出場指令、現場への誘導や統制を無線で行うのが消防の通信指令室です。この通信指令室での指令を担当しているのが指令係員です。

指令係員は、通報への対応だけでなく救急隊が通報者の元へ到着する前に、電話口で心肺蘇生法を指導・実行させる口頭指導も場合によって行いますので、救急隊を始めとした他の消防職員と同じように、電話を通じて救命活動を行っている事になります。

▼予防課員
消防組織の意義のひとつが火災の予防です。火災の予防及び、万一火災が発生しても最小限の被害に食い止めるために、日々管轄内の消火設備の設置指導や査察、一般市民への防災意識や知識の向上の為の啓もう活動を行っているのが予防課員です。

まとめ

事務よりも現場の方の給料が高いとはいえ、現場では業務の重さではなく回数によって消防職員の給料は決まります。業務が過酷でも軽微でも、消防職員の給料には1回分の手当にすぎません。それでも、日々多くの災害や事故、救急現場に立ち会い、影では防災のために消防職員は活躍しているのです。

(文:千谷 麻理子)

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