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元・司書が考える「総貧困時代」を生き残るための「図書館の使い方」

生活に困ったらまずどう検索するべきか・・・元司書が語る、図書館の使い方・情報の探し方についてのコラムです。「総貧困時代」というテーマとあわせて、情報を検索するという考え方、図書館の有効な使い方について、考察しています。

2018年05月09日更新

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目次
総貧困時代とは?
情報検索は図書館のパソコンで
図書館には身分証明書と筆記用具とメモを持っていこう
Google検索の小ネタ
生活に困ったらまずどう検索するべきか
役所より民間の方が動きの早い場合もある
警察を怖がらない。皆さんを助けてくれる力になります
図書館のパンフレットコーナーは情報の宝庫
まとめ -どれだけの危機感を持って情報に向かい合えるか-
【生活に困ったら】元司書が教える「総貧困時代」を情報検索で乗り切る方法

総貧困時代とは?


「一億総貧困時代」とは、日本の全国民が貧困である時代という意味です。日本国民の人口が約1.3億人いるので、国民のほとんどを指して「一億」とし、その全てが貧困になる時代というショッキングな内容を示しています。

そんな時代が来るわけないと考える人もいると思いますが、貧困に苦しむ当事者について詳しい専門家の中には、今のままだとその時代は確実に到来するし、もう既に始まっていると警鐘を鳴らす人もいます。

具体的に「一億総貧困時代」の到来は、見た目にはわからない「普通」の女子大学生が、奨学金という借金を背負いたくないために売春をしたり、「普通」の高齢者がお金が無くて友人のお葬式に行けない、というケースの増加として表れているそうです。

今までは支援が必要な高齢者や障害者というとマイノリティだという印象がありますが、今後の日本ではその人口が確実に増えることで福祉が飽和状態になり、支援が行き届かないという状態が「普通」になるという見解もあります。

本来、国民にあるべき選択肢が「貧困は自己責任」という風潮によって閉ざされ、自己解決を迫られ破綻していく。そのような国にな
りつつあることを表現するのが「一億総貧困時代」です。

情報検索は図書館のパソコンで

皆さんは、普段どのような環境でインターネットを使っていますか?

若い方の多くはスマートフォンを使っていて、パソコンを持っている人の方が最近は少なくなってきていると思います。そんな中、私はあえて図書館のパソコンで情報検索をすることをお勧めしています。

理由の一つは、やはり速度制限の回避です。最近ではスマートフォン対応のサイトが増えてきましたが、パソコン用サイトと比べると情報量が少ないです。かといってパソコン表示にすると、情報量が多すぎて通信料を食ってしまいます。その点を考えると、お金のかからない図書館でパソコンを使った方が安全ということになります。

もう一つには、役所の情報の多くが未だにHTML対応ではなくPDFで発信されているということが挙げられます。正直、スマートフォンでPDFを一々開くのは大変です。どう考えても、パソコンから見た方が効率もいいだろうと考えます。

図書館には身分証明書と筆記用具とメモを持っていこう

多くの図書館では、インターネットを利用するにあたって利用者登録を求めています。そのため、利用者登録をしていなければ、まずは身分証明書を持って行って利用者登録をする必要があります。今後のこともありますし、利用者登録は無料でできますので、この際済ませておきましょう。

インターネットで公開されている情報には著作権があります。その関係で、図書館のパソコンで調べた情報の多くはプリントアウトできません。たまに、図書館で作っているコンテンツなどはプリントアウトできますが、コピー代金を取られます。本来無料で使えるものに対してお金を払うのは癪なので、必ず筆記用具とメモを持っていきましょう。

Google検索の小ネタ

皆さんの多くは、検索にあたってGoogleを使うと思います。基本的にGoogle検索さえできれば、大抵の情報は引っかけられるので特に問題はありません。ただ、Google検索にあたって特に覚えておいて欲しいことがあります。それは、特定のワードが載っているものを防ぐ、「検索避け」の機能がGoogleには搭載されているということです。

例えば、HIVに関する情報を調べようとすると、どうしても風俗関係の情報が一緒に引っかかってきてしまい、信頼できる情報にたどり着くのに時間がかかるなどといったケースがこれにあたります。こうした時、「検索避け」として是非「-(半角マイナス)」を使って欲しいのです。

上記の場合、Googleの検索窓に「HIV -風俗」と入力します。そうすうと、「HIVに関する情報が載っているもののうち、風俗というワードが載っているサイトを除いた検索結果」が結果一覧に表示されるのです。

情報検索にあたって、情報にたどり着くのを邪魔するのは、「ノイズ」と呼ばれる余計な情報たちです。これらは、ちょっとした工夫で排除することができます。ただし、図書館のパソコンの多くには「フィルタリングソフト」という、有害サイトを排除するためのソフトが入っています。

稀に有用な情報がこの「フィルタリングソフト」によって弾かれてしまうことがあるので、見たいサイトがうまく見れない時には、遠慮なく司書に相談してみてください。遠慮する必要はありません。それがどんなにプライベートかつデリケートな内容でも、司書には守秘義務がありますので、外に漏れることはありません。

生活に困ったらまずどう検索するべきか

例えば、あなたが明日を生き延びられるかどうかというレベルで困窮しているとして、図書館にたどり着いたとします。この時、Googleでどのように検索しますか?ここで覚えておいて欲しいのが、「生活困窮者 ○○(○○にはお住まいの自治体名が入ります)」というパワーワードです。

平成27年4月、「生活困窮者自立支援制度」が開始されました。生活保護まで行かないけれど、生活に困っている人に対して、各自治体が窓口を設けて、相談と支援に応じるという制度です。これに伴い、各自治体では役所のホームページに窓口の情報について掲載するようになりました。そのため、Google検索で上記の検索ワードを入れると、相談窓口が上位に表示されるようになったのです。

窓口によっては、対面相談は予約制を取っていることがあります。窓口の電話番号がわかったら、さっそく電話してみましょう。国の制度ですので、ためらう必要はありません。こういった時のために、皆税金を払っているのですから。

役所より民間の方が動きの早い場合もある

困りごとの内容によっては、民間やNPOの窓口に相談した方がいい場合もあります。役所は常に人員不足でパンク状態ですが、民間やNPOの方が機動的に動けるからです。

例えば、DVに関する相談であれば「DV ○○(○○にはお住まいの自治体名が入ります)」、パワハラに関する相談であれば「パワハラ ○○(○○にはお住まいの自治体名が入ります)」という検索ワードを入れます。こうすると、役所の窓口だけでなく、民間やNPOの窓口情報が表示されます。

もし、うまく情報が引っかからないようなら、「○○」に入れる自治体名を、区市町村から都道府県に変えてみましょう。こうすることで検索範囲が広がり、より必要な情報が得やすくなります。

私の経験上、もしまだ生活にある程度の猶予があるなら、先に民間やNPOの窓口に相談することをお勧めしています。民間やNPOには、企業からの補助金や助成金なども流れています。役所よりも潤沢な資金がある上、いざとなれば役所にもつなぐノウハウを持っているので、第一選択としては民間やNPOの窓口が優先順位として高くなると言えるでしょう。

警察を怖がらない。皆さんを助けてくれる力になります

支援情報についてまとまった情報を持っている機関は、役所のほかにもう一つあります。それはなんと警察です。

警察には、皆さんが想像しているよりもたくさんの情報が集中しています。警察はあくまでも捜査機関ですが、犯罪の裏には社会的要因や経済的要因、場合によっては病気や認知症など医療的な要因が隠れています。そのため、警察は関連機関と連携し、網羅的な情報を集めているのです。

警察は役所よりも敷居が高いように見えますが、最近の警察はその敷居を下げるよう努力をしています。警察署によっては、女性からの幅広い相談に乗れるよう、警察OGを配置した専用相談窓口を創設しているところもあります。万一、ストーカーなどといった犯罪の匂いが少しでもするような案件であれば、迷わず警察の窓口に駆け込みましょう。意外と親切に対応してくれるはずです。

図書館のパンフレットコーナーは情報の宝庫

私が困り事の時に図書館に行くことを勧めるのは、図書館には隠れた情報の宝庫があるからです。それは、パンフレットコーナーです。

パンフレットコーナーには、各種イベント情報のほか、各種問題に対応する専門機関のパンフレットが設置されています。パンフレットが出せるということは広報予算があるということですから、活動実態もそれなりにあると思われます。ですので、インターネット検索でも、司書に聞いても今ひとつ有効な情報が得られない場合は、図書館のパンフレットコーナーに行ってみましょう。

因みに私はパンフレットコーナーの隠れマニアです。初めて行った図書館では、必ずと言っていいほどパンフレットコーナーをチェックします。そうすることで、その図書館の持っている地力のようなものを測ることができます。パンフレットコーナーが充実しているところは、高確率で図書館サービスも充実している…これは、私が司書として長年図書館を見てきた中で導いてきた経験則の一つです。

まとめ -どれだけの危機感を持って情報に向かい合えるか-

ビジネスの世界では、よく三大要素として「人、モノ、カネ」が挙げられます。ですが、私はこれが片手落ちだと考えていて、本来は「情報」を加えた四大要素にするべきだと思っています。人間が生きるにあたって、「情報」は空気と同じくらい重要な位置を占めています。

司書には、「情報」の生成から発信まで、あらゆる場面を知っていることが要求されます。ですが、知っているだけでは「情報」は活用できません。生活ステージに応じた各種問題に対して、実践的に「情報」を使えなければ、全く意味がないのです。その点で、司書には情報力だけではなく、問題解決力も要求されていると言えます。解決に導ける情報を提供できてこそ、司書は一流と言えるのです。

皆さんには、どんな状況に置かれても、情報力で生き抜く自信はありますか?

例え誰の力を借りられなかったとしても、自分で手に入れた「情報」の力で突破する自信はありますか?

司書の現場は、必ずしも本だけで構成されたファンタジーの世界ではありません。図書館では、色々な人生が展開されているのです。

司書を目指す皆さんには、受験勉強だけではなく、社会勉強もして欲しいと私は思っています。色々な人に会い、色々な問題にぶつかり、それを乗り越えていくことで、人間は成長していきます。そこでつけた力は、司書になった後、確実に応用できます。もしかしたらその力は、利用者だけでなく、自分や自分の大切な人のために使うことになるかもしれません。

一旦現場に出てしまうと、社会勉強をする時間はほとんどありません。それほど、司書の現場は多忙で過酷なのです。受験勉強に専念できる今だからこそ、社会勉強もできるのです。人間としての幅を広げましょう。司書の持つ情報力は、人間として生きる力と合わせて、初めて効力を発揮します。

これから司書になろうと考えてる方は、試験突破だけではなく、人間としての自分を育てる時間も大切にしてほしいです。

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