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【道路工事の謎】なんで年末に増える?同じ所ばかりじゃない?

歩行中や運転中に目にする「工事中」の看板。道路工事は年末に増える?税金を使いきるために同じところばかり工事している?と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。今日は道路工事にまつわる素朴な疑問にお答えします。

2018年02月03日更新

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目次
日本の道路工事はどこが担っている?
新しい道路ができるまでの手続きは?
道路工事を請け負う企業はどうやって決めているの?
どうして年末や年度末に工事が増えるの?
公共工事は予算を使い切るため?税金の無駄遣い?
同じ個所を繰り返し工事している気がする…?
どうして道路工事は交通量の多い昼間に行うの?
道路に関する要望や道路工事に関する苦情はどこに言えばよい?
道路工事を効率よく行うために何か対策はしている?
まとめ
年末に増える?同じところばかり工事している?道路工事の疑問について

日本の道路工事はどこが担っている?

新しい道路を作る時や既存の道路に陥没などが起きたので修理が必要な時など、日本の道路の建設や工事を担っているのは国土交通省の道路部門です。

国土交通省の道路部門では、災害時の交通規制や道路渋滞に関する情報の発信、高速道路システムやETC、利用案内など高速道路に関する事、道の駅や道路解放に関する事、特殊車両通行許可制度についてなど日本の道に関する様々な業務を担っています。

その中でも、道路の補助制度や社会実験、道路構造、道路標識、道路の技術研究開発が特に道路工事の必要性の高い業務となっています。

新しい道路ができるまでの手続きは?

新しい道路が作られる時は、道路交通調査・道路及び交通現況の把握・道路網整備計画・比較路線の設定・路線の比較検討・概略計画の決定の7つのプロセスを踏みます。その後、都市計画の決定と環境アセスメントの実施後に、道路新設事業としてスタートします。

新しい道路を作る際には、本当に必要なのか、どのくらいの期間なのか、騒音は?など、新設道路の該当地域に住む市民からの疑問もたくさん出ます。その疑問に答える為に実際に道路新設事業を始める前に国は、反対意見が出た場合のための代替案を含めた、道路新設の必要性や内容性を評価する「計画段階評価」や、道路新設の費用に関する「新規事業採択時評価」に基づいて、都道府県や政令市へ住民から集まった意見の聴取をしたり、第三者から構成される委員会による事前審査を受けたりして、道路新設に関する内容を明確にしています。

道路工事を請け負う企業はどうやって決めているの?

道路工事も含めて、国民すべてが利用する公の設備の工事をまとめて「公共工事」と呼んでいます。公共工事の必要が出ると、国や都道府県、市町村や特殊法人が公共工事の発注をします。通常、民間での工事発注の際には発注者がどの企業に工事をお願いするか、受注者を自由に決められますが、公共工事の場合発注者が決めるのではなく公平性を保つために受注者は入札方式で決められます。

企業側が公共工事の入札に参加する時には、公共工事を安心して任せられる企業であるか見る資格審査が行われます。資格審査の流れは、建設業を始める際に取得が必要な建設業許可は取得しているかの確認、経営状態などを見る経営事項確認を行い、入札参加資格審査を受けた結果で総合点数を出し、点数ごとに等級別登録と格付けによる有識者名簿が作成されます。

また、資格審査や入札時にも特定企業への便宜を図るなどの不正が行われないように、国は公正な入札の実施と透明性の向上、監督検査の徹底、不良不適格業者排除などの対策を行っています。会計法又は地方自治法、建設業法が、発注者、建設業者のそれぞれを規律し、入札契約の適正化のための入札契約適正化法などが制定されています。

入札が行われ、受注企業が決定後は公共工事の施工に入り、最後に検査と工事成績評価を受けて公共工事が終了します。

参考:
国土交通省 公共工事の入札契約制度の概要
http://www.mlit.go.jp/singikai/kensetsugyou/tekiseika/040804/05.pdf

どうして年末や年度末に工事が増えるの?

意図的に工事を年末や年度末に増やして行っているのではなく、工事の最後の方の段階が年末や年度末ごろに集中しやすくなるからです。

公共工事は1年を通じて完了するように計画されていますが、まず道路工事の予算が決められるのは1月ごろでその後公共工事の計画が作成され、入札によって受注企業が決定します。そして、実際に事業としての工事がスタートするのが4月ごろで、手順通りに工事を進めていくと、例えば道路工事なら最初に地中にある水道管などの工事を行った後、最後にアスファルトによる路面の舗装を行います。一般人の目に触れやすい工事の最後の方の段階が年末や年度末ごろに集中しやすくなるので、年末や年度末に工事が増える、と思われがちなのです。

参考:
国土交通省 道路工事が年度末に集中するのは改善できないのですか?
http://www.mlit.go.jp/road/soudan/soudan_08b_03.html

公共工事は予算を使い切るため?税金の無駄遣い?

道路の公共工事を大きく分けると、道路の新設や交差道路、歩道橋の補修などの大規模な工事と、ガードレールや交通標識の補修、交通量の少ない一般道の補修などの小規模な工事に分かれます。

大規模な道路工事は必要性に応じて発注されますが、小規模な工事は実は市民からの要望であるのが大半です。そして、市民の公共工事に対する要望は幅広く数も多い為、ひとつひとつに対応するには多くの手間と時間がかかります。ですので、まず必要度の高い大規模な道路工事を行った後に、余った予算を使ってできるだけ市民の要望に応えるために、小規模な工事を行っているのです。

無駄な工事を行っているのではなく、あくまで市民からの要望のあった工事を予算内で行っているのに過ぎません。一見すると「なぜこんな工事をしているの?」と思う事もあるかもしれませんが、それは他の誰かが自治体に要望した工事なのです。

ちなみに、なぜ予算が余るかというと前述の通り、工事の受注者決定は入札制度が採用されているからです。公共工事のために1億円の予算を組んだとして、実際には9千万円の見積もりで落札され受注企業が決まった場合、1千万円予算が余ります。公共工事の入札制度は、公平性の他できるだけ低予算で公共工事を実現させる目的もあるのです。

同じ個所を繰り返し工事している気がする…?

道路を掘り下げての工事など、同じ個所を繰り返し工事しているように見えたり、ずっと同じところを長期工事していたり、と感じる人は少なくありません。実はこれにも理由があります。

道路の下には、水道管やガス管、インターネットのケーブルなど色々なインフラの為の管や線が通っていて、それぞれで所有者が異なります。水道管なら水道局、ガス管ならガス会社、インターネットのケーブルなら電話会社や光プロバイダなどです。これらのインフラ設備の新設時や故障した時などに工事を行うのは水道会社やガス会社などのインフラ設備を所有している会社や団体が行いますので、公共工事ではなく「占有工事」と呼ばれています。

占有工事をする時には、ひとつひとつのインフラ設備の所有者に許可を取って工事の日程を組むため、工事が長期化することになるのです。

なお、できるだけ効率よく工事を進められるように水道管の工事が終わったらすぐにガス管の工事…と、ひとつの占有工事が終わったら次の占有工事に移れるように調整をしています。

同時に水道管やガス管、ケーブルなどまとめて工事すればいいのに、と思う方も多いかもしれませんが、管などのインフラ設備ごとに掘る深さも工事に使用する機器も異なるのでいっぺんに行おうとすると逆に効率が悪くなります。

そして、万が一の事故やトラブルが起きてしまった時にも、責任の所在を分かりやすくするためです。例えば、いっぺんに水道管とガス管の占有工事を行っている時に、どちらかの管が破裂、事故が起きたとしたらどちらの管に不具合があったのか分からなくなります。最初から水道管だけ、ガス管だけの工事にしておけば、破裂が起きても水道管、ガス管と事故の原因が分かるからです。

インフラ設備の工事中に事故が起きると、市民のライフラインが止まってしまったり、インターネットが使えなくなることから事業に損益が出たりするので、億単位の高額の賠償請求をされる可能性が高いです。その為にも、責任の所在は把握しておかなければいけません。

どうして道路工事は交通量の多い昼間に行うの?

道路工事は道路渋滞の原因にもなります。それなら、交通量の多い昼間は避けて、夜間に工事をすればよいのでは?と思う方も多いのではないでしょうか。道路工事を昼間に行うのは主に3つの理由があります。

ひとつめは費用の問題です。まず夜間に工事を行うと従業員に深夜手当を払わなければいけないので人件費がかかる、夜間用の照明など設備費がかかるなどです。ふたつめは、安全性の確保です。照明を使用して工事を行うにしても、あたりが暗くなりますので作業の他にも道路工事を行っているのに通行している自動車が気付きにくいなど、夜間の方が昼間よりも安全性は低くなります。また、夜間に作業を行う人員の確保が難しい面もあります。最後に、騒音を立てないためです。夜間は就寝している人がほとんどですので、そんな中で大きな音を立てて行う道路工事は、騒音となり苦情の原因にもなるからです。

道路に関する要望や道路工事に関する苦情はどこに言えばよい?

家の前のガードレールが曲がっているので直してほしい、など標識や設備を含めた道路に関する要望や、道路工事の音がうるさくて子供が寝ない!などの苦情は道路の管轄元によって窓口が異なります。

国や地方など、道路の管轄元を問わずに道路に関する相談や苦情、問い合わせができるのが国土交通省の設けている「道の相談室」です。電話の他、FAXやホームページ上でも受付を行っています。国土交通省が地方自治体、高速道路管理会社などと連携を取っているので、一回の相談受付のみで済みます。

参考:
国土交通省 道の相談室とは
http://www.mlit.go.jp/road/soudan/guide.html

家の前の道路など、生活の中で身近な道路に関する相談や苦情は、役所の窓口に相談も可能です。道路建設課、道路管理課、など自治体によって名称は異なりますので注意しましょう。

道路が陥没していて事故が起きてしまいそう、など緊急性を有する場合は、国土交通省の道路緊急ダイヤル(#9910)へ通報しましょう。24時間受付、全国共通番号で通話料は無料です。なお、道路の穴ぼこ、路肩の崩壊などの道路損傷、落下物や路面の汚れなど道路の異常に対する通報ですので、交通事故は警察(110番)へ通報しましょう。

参考:
国土交通省 道路緊急ダイヤル(#9910)
http://www.mlit.go.jp/road/dia/

道路工事を効率よく行うために何か対策はしている?

年末や年度末は仕事や帰省での交通量も増えますので、工事による道路規制で渋滞も発生しやすくなり煩わしく感じる事も。年末や年度末、特定のイベントの時には公共工事を避けるなど国としては色々な対策を行っています。

また、渋滞の原因となる工事自体をなるべく少なくするために、国や都道府県、市町村の行う公共工事と企業が行う占有工事の状況を自治体で把握し、無駄な掘り起しや予算の無駄遣いを防止するようにも努めています。

まとめ

私たちの生活に必要な道路だからこそ、道路工事による交通渋滞はイライラしてしまう事も。その為、「余った税金で必要ない工事を繰り返しているから年末は工事が増える!」といった間違った情報も広がってしまう事が分かりました。特に交通渋滞の緩和のために、国や自治体も色々な対策を行っている事も分かったので、これからも道路工事を見守っていきたいと思います。

(文:千谷 麻理子)

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