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【海外の保育事情】ブラジルの公立保育園について問題点や教育内容

【海外の保育事情シリーズ、今回は、ブラジルの保育事情です。】
日本で抱える保育園不足問題について、世界ではどのようになっているのでしょうか?今回は、新興国であり2016年にはオリンピックの開催国に抜擢された、ブラジルの保育事情・幼児教育について解説します。

2018年02月19日更新

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目次
入園には長期待機の覚悟を。通園に関するルールにも注意。
カレンダー通りではない不意の休園に注意。突然のストライキも。
きちんとした一日のスケジュール。食事やおやつも充実。
まとめ
【海外の保育事情】ブラジルの公立保育園について問題点や教育内容

筆者の3歳の息子は現在、ブラジルはパラナ州クリチバ市の公立保育園(Creche)へ通っています。ブラジルに在住する日本人の子供で、公立の保育園へ通うケースは珍しいと察しますが、たまたま自宅アパートから徒歩5分以内に当保育園があった為、試しに入園させてみようとなったことがきっかけでした。

約1年間、実際に息子を現地公立保育園へ通わせてみて感じたことは、『問題点はあるが、無料にしてはちゃんとしている。』ということでした。入園させる前は、日本より治安も経済状況も悪いブラジルの保育園は大丈夫なのかとても不安でしたが、比較的安定したパラナ州の公立保育園、または幼稚園(Pre Escola)は多くの場合安心できると言えそうです。

こちらの記事では、ブラジルの公立保育園(Creche)の様子や特徴、利用する上での注意点など、体験談をもとにお伝えします。

入園には長期待機の覚悟を。通園に関するルールにも注意。

ブラジルの中~上流階級の家庭では、より良い教育や施設、安全性を求めて、私立の保育園や幼稚園を利用することが一般的です。その為、筆者の住むクリチバ市でも大小様々な私立保育園を見ることができ、実際にたくさんの子供達が通っています。このように私立保育園の需要が高いにも関わらず、特に都市部では公立保育施設が不足し、入園には長期の待機が当たり前の状況になっているのが現状です。

筆者の場合、幸運にも3ヶ月の待機で息子を最寄の公立保育園へ入園させることができましたが、少し離れた町に住む友人の場合は約1年入園を待ったとのこと。園や地域によって差があるのだと感じました。日本の都市部でも同様だと思いますが、年単位での待機を見据え早めに手続きしなければ、職場復帰などに間に合わない可能性もあるので大変重要な問題です。場合によっては、出産前から情報収集する必要もありそうです。

無事入園できた後も、通園するにあたっての重要なルールがあります。それは、年間20日以上欠席した場合は、通園資格を失うということです。ただし、体調不良や予防接種、診察などで病院を訪れた際は、病院からの証明書を提示することで欠席日数にはカウントされません。

とはいえ、症状によっては病院へ行かなくても良い場合がありますし、現地の公立診療所はいつも混み合っており使い勝手が悪いので、このルールには頭を悩まされることも。遅刻の場合も同様、医師からの証明書を提示することで可能になりますが、提示できなければ園へ入れてもらえず、欠席扱いとなってしまうのです。

以前、息子の予防接種の為遅刻させた際、医師からの証明書をもらい忘れしまったことがありました。前日から担任の先生に予防接種で遅刻する旨説明しておいたので、きっと柔軟に対応してもらえるだろうと期待していたのですが、あくまで証明書が必要とのことで泣く泣く欠席させざるを得ませんでした。

病院以外にも、冠婚葬祭など特別なことに関しては個々に対応してもらえると思います。しかし、待機児童を多く抱えるからこそのルールには、こちらも忠実に従わなければならないと感じました。

カレンダー通りではない不意の休園に注意。突然のストライキも。

日本の場合、公立の教育機関は特別な場合以外、カレンダー通りのスケジュールで動くのではないでしょうか。ブラジルもほぼカレンダー通りなのですが、そうではない場合もあるので注意が必要です。例えば、国のカレンダーでは木曜が祝日で金曜が通常通りの場合、保育園に限らず多くの教育機関で金曜も休みになり、連休を作ってしまうことがあるのです。しかも、年に一度や二度のことではありません。

しかしながら、一般企業はカレンダー通り動く為、特に共働きの家庭ではその日だけの為に子供を預ける場所を探さなければなりません。気軽に子供の世話を頼れる人が近くに住んでいれば良いのですが、そうではない場合、ベビーシッターを探したりとお金もかかります。息子の通う保育園の場合、事前に渡される年間カレンダーから休園日を確認することができるので、筆者も通常のカレンダーとは別にマメに確認するようになりました。

このようなイレギュラーな休園日よりも厄介なのが、ストライキです。日本では信じられないことかもしれませんが、ブラジルでは教師、警察、公共交通機関など、様々な場所で多々ストライキが起こるのです。息子の通う保育園でも、この一年の間に何度もストライキがあり、一日だけではなく数日連続でということもありました。

ストライキとなると、もちろん園の年間カレンダーには記載されておらず、良い時で数日前、悪い時は前日に告知されます。ただ、絶対に登園するなということではなく、ストライキ当日園には必ず責任者がいるが、その他の先生が出勤するかどうかは分からない為、できる限り登園しないで欲しいという説明がされるのです。

先生が出勤するかしないか、そんな状況で子供を登園させるのは不安なので、筆者はストライキ当日は必ず休ませます。多くの親がそのようにしていると思うのですが、本当に急なことなので、子供の預け先を探したり仕事を休んだりとたまったものではありません。

しかし、このようなストライキの背景からは、保育園側からの不満も汲み取れます。事実、息子の通う公立保育園はどのクラスも熱気を感じるほど園児でいっぱい。園児の人数に対し先生の数は必要最低限のようで、息子を迎えに行く頃には先生達はグッタリしているのです。それなのに、今以上に園児の定員を上げる旨の要請が近頃あったようで、ストライキとは別にこの要請に反する署名活動が数ヶ月前に行われていました。

他にも、どの公立保育園でも資金不足が顕著です。建物は古く、おもちゃやなどは寄付されたものを再利用。また、息子の通う保育園では資金を補う為バザーを行ったり、年に数回『ケーキの日』を設け、保護者が手作りのケーキを保育園へ寄付し、そのケーキをほかの保護者や近隣の住民に売ることで資金の足しにする、ということも行われています。

自治体によってはこれ以上に厳しい状況に置かれている地域もあり、このようなことを目の当たりにしていると、ストライキが起こっても怒る気にはなれません。

きちんとした一日のスケジュール。食事やおやつも充実。

色々と問題点のあるブラジルの公立保育園ですが、日々のスケジュール、カリキュラム内容等はしっかりとした印象です。息子の通う園の場合、朝7~8時登園、朝8時半頃~朝のスナック、昼12時頃~昼食、午後14時頃~おやつ、午後16時頃~夕方のスナック、午後17時~18時帰宅、といった感じで、合間に外遊び、お絵かき、お昼寝、お遊戯などが入ります。

内部は清潔でしっかり整理整頓され、幸いなことに息子の保育園は外の遊び場が広く、遊具も充実しています。また、預けられる最長時間が7時~18時と長く、仕事が忙しい保護者にとってはありがたいですね。

各アクティビティーにも工夫が見られ、子供達の好奇心をくすぐる内容に感心しました。皆で一緒に踊りながら歌ったり、人体模型をテーマにしたアート作品を作ったり、廃材を使ったクリスマスオーナメント作ったりなど、なかなかユニークなのです。

他にも、雨の日にはポップコーンを食べながら映画を見たり、こどもの日にはアイスクリームブッフェを行ったりと、子供達の喜ぶイベントがあることも嬉しいです。

食事も栄養士によって考えられた、バランスの良いメニューが用意されています。

具体的にどんなものが出てくるのかと言うと、まず朝のスナックは、食パンにジャムを塗ったものにミルクなど。昼食は毎日必ず、ブラジルの国民食である豆の煮込みとライスが出され、それに加え日替わりでお肉やサラダ、フルーツなどが添えられます。午後のおやつはビスケットやパンにミルクなど、夕方のスナックにはホットドッグやブラジル版コロッケのコシーニャなどの、子供達に人気の軽食が出ます。

筆者の息子は卵や牛乳など色々とアレルギーを持っているのですが、医師からの診断書を提出することで、特別なメニューを用意してもらっています。息子専用のメニュー表を見せてもらうと、通常のメニューからアレルギー食材を抜いたものがきちんと考えられ、卵、牛乳抜きのパンやビスケット、ハーブティーなども用意されていました。

正直ここまでしてもらえるとは思っていなかったので感激です。毎日園へ持っていくものは基本的に着替えと連絡帳、水を飲む為のコップのみ、あとは何もいらないので本当に楽なのです。

まとめ

広い国土のブラジルの教育制度は分権的で、各自治体によって予算や教育内容など様々です。比較的安定した南部に比べると、貧しい北部地方の公立教育機関は資金面などで苦しみ、格差が生じています。このようなことから、今回ご紹介した現地公立保育園の内容は、ブラジルの中でも恵まれている方だと言えます。

ただし私立に限っては、地域にとらわれず高いお金を払う分、それなりの教育を受けることができます。形態もインターナショナルスクールや日本人学校、アメリカ系の学校など様々で、設備や内容も充実しているようです。ブラジルでは地域、公立私立、貧富の差によって受けられる幼児教育が大きく違い、ここにも格差社会の影響が大きく現れていると感じました。

しかし、ブラジルの公立保育園で大きなポイントとなるのは、なんといっても全日制で無料ということなのではないでしょうか。どんなに貧しくても、保育園や幼稚園に通わせてあげることができる。園へ行けば、子供は必ず何かを食べることができる。これらのことは、貧困に苦しむ家庭にとって、大きな助けとなっているはずです。

とはいえ、全ての子供達に平等で、より良い幼児教育を与えられる日が来ることを願ってやみません。

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