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【企業と共に発展した都市】日本の「企業城下町」5選まとめ

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目次

はじめに - 企業城下町とは

企業と地方自治体には密接な関係があります。戦国時代や江戸時代に大名が城を構えたことにより、城と共に発展した町を、城下町と呼ぶ事がありますが、その企業版である「企業城下町」について、本記事で紹介します。

地方が衰退する事の原因として、若年層が域外に流出する事と、地域に雇用が無い事が挙げられます。この2つの問題は、卵が先か鶏が先かという関係性にあり、一度、どちらかが発生すると、片方も発生して、更に問題は悪化するという、負のスパイラルが発生してしまいます。

この問題に関して、取り組みやすいのは後者に関する対策です。地域に魅力的な雇用さえあれば、労働人口を維持できる可能性があるからです。その時に、重要なのが地域で起業を促す、あるいは誘致するという事で、このような地域創生は、観光振興よりも長期的な効果が期待できます。

本記事ではそのような、企業がある事によって自治体が潤っている、企業城下町を5つ紹介します。

企業城下町とは?

まずは、企業城下町について説明します。

企業城下町(きぎょうじょうかまち)とは、特定大企業を中心に地域経済が発展した自治体のことです。

ある自治内の産業の大部分を、特定の企業や工場が占め、多数の請負企業群との受発注関係がうまれ、多くの住民がその企業に関連した仕事に就き、その企業の盛衰が自治体の盛衰に直結するような都市を指します。

自治体は、その企業から税収が確保されるだけでなく、病院やホールなど都市機能の一部を企業が担うケースもあります。

企業城下町その1:豊田市 - 誰もが知る有名企業城下町

企業城下町と言われて、多くの人が一番初めに思いつくであろう自治体が、愛知県の豊田市です。

豊田市は、世界でもトップクラスの自動車メーカーである、トヨタ自動車がある愛知県の市です。愛知県では、名古屋市についで二番目に人口が多い都市で、元々は挙母市という名前でしたが、1959年に豊田市と名前を変えて現在に至ります。

「豊田」というのは、トヨタグループの創業者である、豊田佐吉をはじめ、創業者一族の豊田の姓に由来して、この名前となりました。豊田市に本社があるトヨタグループの企業としては、トヨタ自動車がありますが、他にも、豊田自動織機は刈谷市、アイシンAWは安城市というように、近隣の市町村にもグループ企業が分散しています。豊田市も安城市も刈谷市も、日本でトップクラスの財政力指数を誇る市町村だと言えます。


企業城下町その2:飛鳥村 - 日本一の裕福な自治体

豊田市と同じく愛知県にはもう1つ、日本で一番裕福な自治体と呼ばれている、飛鳥村があります。

飛鳥村は、愛知県西部にある、人口約4,500人、面積は約22平方キロメートルしかない小さな村で、もともとは、他の市町村との合併も拒否される位、貧しい村でしたが、今では日本で一番裕福な自治体だと言われています。市町村の財政的な豊かさを示すランキングとして、財政力指数という指標がありますが、長年飛鳥村は断トツの1位となっています。

なぜ、このように財政的に豊かなのか、その理由は狭い村ですが、村の南部に臨海工業地帯を整備している事にあります。特定の企業とともに、村が成長してきたというわけではありませんが、臨界工業地帯には中部電力の火力発電所や三菱重工の工場などがあり、これらの工場から村に支払われる税金によって、飛鳥村は財政的に豊かになっているのです。

企業城下町その3:山中湖村 隠れた企業城下町

同じく、市町村の財政力指数で毎年トップクラスに入っている市町村として、挙げられるのが、山梨県の山中湖村です。

山中湖村には、ファナックという企業が本社を構えています。ファナックという企業を知っている人は、少ないかもしれませんが、実は工場で使われているロボットなどの製造・販売で、世界的にシェアを獲得しているメーカーで、約6,000億円の売上で、約2,000億円の利益を上げている、隠れた優良企業です。このようなファナックからの税収と、自衛隊の富士演習所への助成金によって、町の財政は潤っています。

企業城下町その4:小松市 - 北陸の企業城下町

上に挙げた3つの例は、いずれも太平洋ベルト上に位置する自治体でしたが、日本海側にも企業城下町は存在します。その代表として挙げられるのが、小松製作所が本社を構える、石川県の小松市です。

ちなみに、小松市の場合は豊田市の場合と異なり、小松市という名前から、小松製作所という会社の名前がつけられました。ちなみに、小松製作所の本社は東京都港区に移転していて、創業地の小松工場は、すでに閉鎖されてしまっているのですが、今でも小松市に生産拠点を持っており、小松市内で雇用を発生させています。

企業城下町その5:夕張市 - 北海道の財政難都市

最後に紹介するのは北海道の夕張市です。

正確に言えば、元企業城下町となりますが、夕張市の発展と破綻には、企業と自治体の関係性が大きく影響しています。もともと夕張市は、炭鉱の町として栄えた市でした。

このように、炭鉱とそれを開発する企業によって、支えられていた町でしたが、エネルギーの主役が、石炭から石油に代わる中、夕張市の炭鉱開発から企業がどんどん撤退をしていき、1990年の三菱南大夕張炭鉱が閉山された事を最後に、夕張市の主力であった炭鉱事業はなくなりました。

炭鉱を閉山して、企業が撤退するのに合わせて、今まで企業が行っていた住宅の維持管理や上下水道の整備などを、夕張市が負担する事により、財政的にも赤字を抱えて今に至ります。炭鉱の閉山後、市に新たな産業を作るために、観光事業に注力したのですが、結局自治体の新たな財源となりうる産業は育成出来ずに、2007年に財政再建団体になり、事実上、破たんしてしまいます。

地方創生と企業の関係性について

このように、日本の企業城下町について、5つの例を挙げながら解説していきました。

自治体を存続させるのに税収は不可欠ですが、個人からの税収だけでは自治体を運営するのに、十分な税収を確保する事は困難です。企業からの税収をどのように獲得するのかという事が重要となってきます。

ただし、気をつけるべきなのが企業からの税収を確保して金満な自治体になれば、人口も自然と増加数というわけではない事です。例えば、上で紹介した日本一裕福な自治体である飛鳥村は、人口が著しく減少する事はないものの、毎年4,500人位で停滞しています。

しかも、名古屋市へのアクセスも良く、豊富な資金を活かして住民サービスを手厚くしているのにも関わらずです。


なぜこのように、人口が増えないかと言うと、飛鳥村の北部は干拓によって造成された農地、南部は埋め立てで作られた工業地帯という事で、人が住める区域は、約9平方キロメートルしかなく、新しい移住者が住宅を確保する事が困難だからです。

このような例からもわかるとおり、地域創生において企業を誘致したり、育成したりする事も重要ですが、どのように地域への移住を促進するのかという事も、地方創生にあたっては、検討しなければならない課題だと言えます。

まとめ

以上、企業城下町について紹介してきました。

世界で一番経済力のある地方自治体は、アメリカのカリフォルニア州だと言われています。カリフォルニア州のGDPは、アメリカの州でトップなのはもちろんの事、世界的に見てもフランスやイギリスが1国で創出するGDPと、同等のGDPをカリフォルニア州で創出しています。

このように、カリフォルニアが巨大な経済力を保有しているのは、シリコンバレーの企業群がある事に、大きな影響を受けています。このような例からもわかるとおり、税収の源になるGDPを増加させるためには、企業の成長が不可欠だと言えます。

今回紹介した5つの自治体は、企業と共に成長・衰退した自治体です。確かに夕張市のように、企業の撤退によって大きな痛手をこうむる例もありますが、逆に夕張市が炭鉱を開発する企業に、大きく依存していた事の証でもあります。

地方創生というテーマにおいて観光産業は、ヒットすれば即効性がありますし、メディアにも取り上げられやすいので、色々な自治体が挑戦していますが、長期的に自治体を反映させるためには、観光産業を振興するだけではなく、企業を誘致、育成して安定した税収基盤を獲得する事が、重要だと考えられます。

ただし、地方の人口を増加させるためには、企業を誘致して、安定した税収を確保するだけではなく、人が移住しやすいように、住宅や助成制度を整える必要があると言えます。

本記事は、2018年3月18日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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