国連職員(国際公務員)
「国連職員」とは、国連の本局や、その関連専門機関の職員、いわゆる「国際公務員」のことをいいます。国家公務員や地方公務員と異なり、日本の機関ではないため、一般的な日本の公務員とは全く別の職業であるという認識は必要です。
そうはいっても日本人として世界の平和に貢献する公務員職、日本の行政機関でも積極的に応援する制度があります。
国連の専門機関には具体的に、国際労働機関(ILO)や、世界保健機関(WHO)、国連教育科学文化機関(UNESCO)など、さまざまな機関がありますが共通して、世界の公の平和のために貢献する仕事だと言えるでしょう。
この国際公務員になるためには、大学や大学院を卒業後、国連事務局の「YPP試験」という試験を受ける方法、2年以上の職歴を持つ人は外務省の国際機関人事センターが実施する「JPO派遣制度」に応募する方法、そのほか一般職の現地採用試験に応募する、専門職や幹部職員の欠員に応募する方法があります。
国際公務員は開発途上国への技術援助や、難民救済、教育の普及などを行う職業です。さまざまな分野の職務を、どの国の政府からも拘束されない中立の立場で行う必要があり、グローバルな視点を持ちながらその義務果たせる人材が必要とされています。
入国審査官(国家公務員)
「入国審査官」は、日本を訪れる外国人の出入国審査や、日本に在留している外国人の在留資格審査、外国人の不法入国などの違反審査などを行い日本の安全と国民生活を守ることで、国際交流を円滑に進める職種です。空港などでパスポートの審査をする係の人が一般的には身近な入国審査官です。
入国審査官になるには、外務省専門職員採用試験のような専門職員の採用ではないため「入国警備官採用試験」のような独自の試験は設けられていません。入国審査官は、国家公務員一般職の採用枠の中の職で、国家公務員採用一般職試験を受験し、入国管理局に就職(入庁)する必要があります。ここに就職するには、試験合格後、各地方入国管理局の面接を経て、採用されることで実現します。
航空管制官(国家公務員)
「航空管制官」は、空港の管制塔などに勤務し、空の安全を守る職業です。身分としては、国土交通省の航空局に所属する国家公務員専門職です。パイロットとのやり取りは主に英語で行われるため、英語が必要な職種のひとつです。
航空管制官になるには、国家公務員試験の一種である「航空管制官採用試験」に合格し、「航空保安大学校」で1年間の研修を受ける必要があります。航空管制官採用試験では、業務に必要な語学力を問う試験が行われます。
外務省専門職員(国家公務員)
「外務省専門職員」とは国家公務員の一員で、外務省に所属し、日本の国益のために世界中の国とやりとりをするエキスパートで、外交官とも呼ばれています。外務省の総合職が将来の幹部候補として様々な国を異動し、経験を積むのに対し、専門職員は自身が専門とする特定の国や地域に関する語学力はもちろん、その国に関する文化的知識なども高度に習得し、業務に活かすことが求められます。
外務省専門職員になるには国家公務員採用試験のひとつである、外務省が独自で行う外務省専門職員採用試験に合格しなければなりません。受験者は、受験語学にかかわらず、「TOEFL(iBT) 100点以上」または「IELTS 7.0以上」のスコアを取得していることが推奨されます。しかし、これは受験資格というわけではないため、採用後に研修を受けて、語学力を上げるという計画でも受験は可能です。
防衛省専門職員(国家公務員)
「防衛省専門職員」とは、高い語学力とグローバルな視点から日本の安全保障を支えるエキスパートで、防衛省の内部部局や防衛省内の機関で働く国家公務員です。業務内容は、英語など特定の語学の高度な能力が必要な行政事務や、自衛官等に語学を教える業務、海外資料や、地域情勢、軍事情勢の情報の収集や整理、通訳などがあり、本人の希望と適性を鑑みて配属されます。
防衛省専門職員になるには、国家公務員試験のひとつである防衛省専門職員採用試験に合格する必要があります。平成30年度は「英語」「ロシア語」「中国語」「朝鮮語」の4つの試験区分での試験実施が予定されています。
公立学校の英語教師(地方公務員)
公立学校の英語教師も、英語を使う公務員の一員です。中学、高等学校の英語教師を目指す場合は、まず大学の教職課程などで、英語の「教員免許状」を取得することが求められます。
公立学校の教師として勤務したい場合は、教員免許状を取得した上で、都道府県や政令指定都市ごとに実施される「教員採用試験」を受験します。合格すれば教師として採用され、不合格の場合でも講師採用試験を受けて講師として勤務し、教員採用試験合格を目指す人もいます。公立学校の教師は地方公務員です。
県庁や市役所の観光課(地方公務員)
県庁や市役所の観光課は、自身が勤務する自治体により多くの観光客や、最近では移住者を呼び込むためにPR業務を担当することがあります。特に海外に自治体のことをPRしたい場合、海外向けのホームページや、実際に海外に出張しPR活動を行うこともあるため、英語圏へのPRに英語は欠かせません。英語だけでなく、中国語や韓国語など近隣アジアの言語も使いこなせると、より強みになるでしょう。
観光課の職員になるにはまず、就職を希望する自治体の地方公務員採用試験を受験することが必要です。学歴にごとに上級、中級、初級の区分がありますが、観光課に配属されるにはいずれの試験を受ける場合でも「行政事務」や「一般事務」という区分で受験し、採用されるのが一般的なようです。採用されたからといって必ずしも希望の観光課に配属されるとは限りませんが、面談などの際には、観光課で働きたい旨や理由を伝えられるよう、明確なビジョンを持っておくことが必要です。
市役所の市民課(地方公務員)
市役所の市民課で勤務する場合も、英語を使う場合があります。日本で暮らす外国人は多く、自治体によっては英語圏の国からの移住者が多い場合もあります。日本で暮らし始める外国人が手続きなどのために訪れることが多い場所のひとつが、市民課の窓口です。通訳となる付添人を連れてくる場合もありますが、そうでない場合、窓口の担当者が英語で対応しなくてはなりません。
このように市役所の市民課などで、自治体に暮らす外国人のサポート業務を担当したい場合、まずは地方公務員の市役所職員になる必要があります。市役所職員や町村職員になるには、自治体ごとに行われる職員採用試験に合格し、採用を目指します。
市民課に配属を希望したからといって必ずしも市民課に配属されるとは限りませんが、英語を使ってどのような仕事をしたいと考えているのか、面接や面談の際には希望を伝えられるように準備しておくことが大切です。
まとめ
このページでは、英語を使う公務員についてご紹介しました。海外に派遣されるような職種はもちろん、地域に密着した市町村職員などの立場でも、英語が活かせる分野があるのは、今の時代ならではと言えるかもしれません。
公務員採用試験の受験者側にも英語を使える人が増えてきたので、ただ英語を使えるというだけでは、なかなかライバルに差をつけられないとも言えます。せっかく身につけた語学力を、今後どのように活かしていきたいのか、どのような場面で活かしていきたいのか、それぞれビジョンを持って、希望する採用先み見つけられるとよいかと思います。
英語を使う職種を探している方は、公務員という選択肢も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。
コメント
コメント一覧 (2件)
英語を使った業務について興味がありました。外交官になるには「TOEFL(iBT) 100点以上」または「IELTS 7.0以上」のスコア取得推奨とあったので、TOEICしか受験経験がない私はハッとしました。航空管制官も国家公務員なのだと初めて知りました。
英語を使う公務員はとてもハイレベルな人材というイメージで、実際記事の最初も「国連職員」「入国審査官」など格好いい職名が並んでいたが、後半になると、観光課や市民課など意外と身近なところに英語が必要とする公務員がいて、それで市民が助かっているんだなと実感しました。