大学の図書館における総務課事務員の仕事内容について

大学図書館を含め、大学で働く事務員は、主に学生が学校内で快適に生活し、施設の環境を整える学校内の「縁の下の力持ち」的な存在です。

ここでは、私立大学図書館の総務課事務の仕事についてご紹介します。1日の仕事内容や業界展望についてまとめています。大学の運営や組織に興味のある方はご参考ください。


はじめに

大学にある中央図書館の総務課事務員として働く女性の一日や仕事内容などのレポートです。

大学図書館の総務課とは、どんな仕事?

大学図書館組織の中の総務課は、大学図書館長のもとで、一般企業の総務課と同じ様に各課や他の部門の連携し、大学図書館内部の環境作りや、大学を訪れるお客様の対応や会議などのセッティング・運営を行います。

大学図書館総務課での仕事内容は、主に、大学図書館来訪者への対応、大学図書館で行われる会議でのセッティングやお茶出し、郵便物の仕分けや翻訳、月ごとの請求書チェック、会議場の手配・運営、大学図書館内部の会議での資料作成、図書・蔵書の発送、消耗品のチェックや補充、資料の整理などです。

会議に関する業務

会議に関する業務とは、大学組織や大学図書館内部で行われる会議や、他大学の大学図書館員などを招いた会議など、様々な会議の会場を予約する業務です。

具体的な業務内容を3つに分けて説明します。

一つ目は、会議出席者のリストを作成します。人数を確認し出席者によって席次を決定します。

二つ目は、出席者のために必要なものを手配します。当日に配布する資料を作成し、人数分用意します。また、長時間の会議の場合には、お茶やお弁当を手配します。

三つ目は、当日に会議場をセッティングします。場内の椅子や机などの配置や会場まで案内する立て看板の手配などを行います。

図書の発送業務

図書の発送業務とは、図書館内の国内・国外図書を、大学図書館の他のセクションや他大学の図書館・教職員の方々に蔵書として発送する業務です。

国内又は外国図書を扱う課から渡された送り先のリストを基に、大学図書館総務課では他のセクションから運ばれた図書を郵送用にセッティングします。

なお、セッティングとは、発送する図書は送り先によって異なり、複数の図書から送り先に合わせて必要な図書を選択して発送することが多いため、それぞれの送り先の送付状と同封する図書をそろえる作業のことです。大量の場合には、発送までに数週間かかることもあります。


郵便物・回覧業務

郵便物・回覧業務とは、大学図書館の窓口として大量に送られて来た郵便物を各課ごとに仕分けを行う業務です。

海外から送られてきた郵便については、必要に応じて翻訳します。また、情報の共有が必要な郵便物については、課内の事務員全員が閲覧できるよう回覧します。

来館者対応業務

来館者対応業務とは、主に大学図書館来訪者でクレームをつけたり、出入禁止のエリアに入ろうとする人に対し対応する業務です。

大学図書館を利用する際に他の人の迷惑になるような何らかの行動を起こした場合には、大学図書館の図書カウンターから総務課に連絡が入り、総務課の事務員が現場にかけつけて随時対応します。

ほかに、悪天候の場合には入り口で滑らないようにマットを敷いたり、傘袋を用意するなどの業務も来館者対応業務に含まれます。

また、大学図書館では、利用者が大学図書館の専用端末から大学図書館に関する意見や質問などを「投書」することができます。大学図書館総務課では、利用者から投書された大量のデータを保管し、必要に応じて大学図書館内の会議等で閲覧出来るよう投書の内容をまとめます。

投書された内容は関係する課に振り分けられ、大学図書館内で行われる「課長会」という会議で大学図書館全体で確認します。

請求書業務

請求書業務とは、大学図書館内で発生した請求書の内訳を専用の書式にリスト化し、請求書の原本と照合する業務です。月に一回、その月に発生した請求書とリストを照合して読み合わせを行います。

受付業務

受付業務とは、大学図書館総務課のカウンター窓口を訪れた大学の他の課の事務員や一般来館者の問い合わせに応対する業務です。問い合わせの内容の中で、総務課で対応すべきでないものについては、来訪者を適切なセクションにご案内します。

大学図書館総務課事務員の1日について

大学図書館総務課事務員の1日について紹介します。

9:00 来館
9:10 お茶出し
9:15 打合せ(月曜日のみ)
9:30 消耗品
11:00 郵便チェック
12:00 昼食休憩(60分)
13:00 蔵書の発送業務など
15:00 午後休憩(20分)
16:20 回覧・郵便物の準備(宛名書き・郵便料金の計測など)
17:00 退館(当日の郵便物を帰りに投函します)

大学と大学図書館の組織について

大学は、大学図書館を含め、大学内の学部や各施設での必要な事務作業を行うために組織化しています。大学で事務作業を行うスタッフは「大学専任職員」と呼ばれ、大学組織の一つである本部事務機構の人事部によって採用され、研修を経た後に各部署に配属されます。

このようにして大学図書館に配属された大学専任職員が、大学図書館の事務員として働いています。

大学図書館は、いくつかの課に分かれており、そのいずれかに配属された大学専任職員は、それぞれの課で担当する図書館内の事務的な作業を行っています。以前は、学生職員、派遣社員も必要に応じて大学図書館の各セクションで働いていましたが、現在は、大学専任職員の他に嘱託職員制度があり、嘱託職員として採用しています。

大学図書館総務課事務の課題や展望・ポイント

大学図書館の総務課事務での仕事は、特に、特殊なスキルや能力に長けている必要はありませんが、「図書館の顔」であるので、図書館を来館される様々な人たちに対し、適切な対応が要求されます。


また、どのセクションに問い合わせれば、専門的な情報を来館者に伝えることが出来るのかを迅速に判断する必要があります。

請求書の取りまとめや、郵便物の処理などもあるので、計算が得意だったり、英語などの語学に優れているなどのスキルが、時に役に立つことはあります。宛名書きや、会議場の立て看板の記入などもあるので、字も綺麗であることが望ましいです。

まとめ

大学図書館の総務課も含めて、大学専任職員の配属される部署は、本部の人事部・財務部・教務部などでなければ、雰囲気は割とのんびりしています。以前は、専任職員のもとで学生職員と派遣社員が業務をサポートしていたこともあり、年齢層も若く全体として活気がありました。

大学組織の中での大学図書館総務課は、ある意味では「大学の顔」でありながら、その仕事には各セクションを的確にサポートする「家庭の主婦」のような業務も多くあります。したがって、図書館全体を俯瞰しながら、常に、何が足りないのか、何を優先すべきなのかという状況を判断する力が求められます。

また、来館者も図書館の専任職員も多数で、毎日、多くの人たちと接するため、人間が好き、コミュニケーションを取ることが得意な人は、そのことが大きな武器になると思います。

接客や人と関わることが好きで、大学図書館や書籍に興味を持っている人には、お勧めできる仕事です。

本記事は、2018年6月6日時点調査または公開された情報です。
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