船橋市が試験導入した「AI蔵書点検システム」とは
2020年3月12日から2021年の3月31日まで、千葉県船橋市が市立西図書館に試験的に導入したのは、京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)の、「AI蔵書点検システム」です。
このKCCSの「AI蔵書点検システム」は、KCCSが提供する公共図書館システムの「ELCIELO」と、画像解析AIが組み合わされたシステムです。
「AI蔵書点検システム」ではまず、図書館の書架一面を撮影し、撮影した棚の背表紙データと、「ELCIELO」に登録されたその棚の範囲の蔵書データを、画像解析AIに取り込んでマッチング分析を行い、蔵書点検ができる仕組みです。
このシステムを利用することで、蔵書を手作業で1点ずつ点検することなく、棚単位でまとめての蔵書点検を行うことが可能になりました。
船橋市では、今回のドローンを使用したシステムの試験導入に先駆けて、まずKCCSとともに「AI蔵書点検システム」の環境を構築しました。
▼参考:京セラコミュニケーションシステム株式会社「船橋市西図書館、画像解析AIによる蔵書点検システム試験導入へ」
https://www.kccs.co.jp/news/release/2020/0312/
ドローンでさらに無人化が試される「AI蔵書点検システム」
今回、船橋市西図書館で試験的に行われるのは、「AI蔵書点検システム」で必要な書架一面の撮影についても、人の手ではなく、ドローンの手で行い、徹底した無人化を実現するという取り組みです。
そのため、「AI蔵書点検システム」と、株式会社Liberaware(リベラウェア)の産業用自動巡回型小型ドローンの「IBIS(アイビス)」を連携させました。
このシステムでは、ドローンが撮影した画像を、AIが解析し、すでに「ELCIELO」に登録済みの書籍と照合することで蔵書点検が完結するので、うまくいけば人間が一度も関わることなく、蔵書点検が完了することとなります。
▼参考:株式会社Liberaware「【世界最小クラスの産業用ドローン「IBIS(アイビス)」】船橋市・西図書館の「AI蔵書点検システム」試験導入においてIBISによる書架自動撮影の検証を実施」
http://liberaware.co.jp/20200312.html
自動巡回の様子
自動巡回型小型ドローンの「IBIS(アイビス)」とは
Liberawareの自動巡回型小型ドローン「IBIS」は、あらかじめプログラミングしたルートどおりに自動飛行を行うことができる世界最小クラスの産業用小型ドローンのようです。
「IBIS」は屋内警備や設備点検などの活用方法が見出されているほか、倉庫内の在庫管理業務についても企業などで導入検討が進められており、現場の作業員の省人化・省力化を実現し、人手不足対策が見込めることに加えて、セキュリティ面・安全性の向上や業務の効率化が見込まれているようです。
「IBIS」のサイズは、プロペラガードを含めて「190×180×50mm」であり、重量はバッテリーも含めて190gと超軽量です。小型ですが飛行時間は最大9分間を誇ります。
株式会社Liberaware「世界最小クラスの産業用ドローン『IBIS(アイビス)』」
動画でみる「AI蔵書点検システム」
「AI蔵書点検システム」の運転の様子は、動画でも紹介されています。動画ではドローンの「IBIS」が本棚を撮影する様子も見ることができます。
まとめ
このページでは、千葉県船橋市が図書館に試験導入した、ドローンとAI技術による無人の「AI蔵書点検システム」についてご紹介しました。
従来、その大半の作業を図書館職員の手作業によって行われていた「蔵書点検」には、膨大な時間と人力が費やされていました。
しかし、この「AI蔵書点検システム」の試験導入が成功すれば、「蔵書点検作業」は完全に無人化されるものと期待されているようです。
民間の企業と同様、公務員の職場でもAIなどの技術か活用した「働き方改革」は進められています。全国の自治体でも民間企業との共同で業務の効率化、職員の業務負担軽減を図っている例が見受けられます。
今後は公務員の仕事もどこにAIを利用すれば簡略化されるかなど、技術を使う側のセンスが問われていく時代になりそうです。
▼参考:船橋市ホームページ「西図書館」
https://www.city.funabashi.lg.jp/shisetsu/toshokankominkan/0001/0002/0001/p011017.html
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