スペインの「新型コロナウイルス」の状況とスペイン政府の対応

世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス。感染者が急増しているのは日本だけではありません。

本記事では、スペイン在住の日本人ライターの方に、新型コロナウイルスが流行した後のスペインの状況をレポートしていただきました。

はじめに – スペインの「新型コロナウイルス」の感染の始まり

2020年2月中旬をすぎた頃にイタリアでのコロナウイルスの感染拡大が徐々に始まりました。あっという間に感染者数が増加し、これは一大事だと騒がれ始めた頃には、まだスペインでは感染者の報告は1件のみでした。

しかしながら、スペインとイタリアは多くの観光客の行き来や、ビジネスでの行き来が多く、スペインにいるイタリア人の数も多いのです。イタリアでの日々の感染増加の悲惨な報道を聞きながら、近いうちにスペインもイタリアの様になるのではないかと言われていました。まだ自覚症状すらない多くの感染者が既にスペインに大勢いるのではないかと予想されていました。

イタリアが非常事態宣言を出し、人々への移動制限が始まる直前にはイタリアから多くの人々が慌ててスペインへ流れ込んで来ました。スペインでは、ぽつりぽつりと感染者が確認され、3月上旬には感染者数1000人を超えました。それからはみるみるうちに感染者数が増加し、僅か10日間のうちに感染者数は1万人を超えてしまいました。

日本でマスク、トイレットぺ-パ-、消毒アルコ-ル類がどこにも無い状態になっている頃、日本の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校への休校要請がなされた頃にもスペインはまだ落ち着いていました。

当初感染が確認された人々は、スペインに滞在をしているものの、イギリス人やイタリア人と言った他国籍の人々だったため、スペイン人の感覚も少し鈍いものになっていた様です。

スペインの首都マドリッドでのウイルス感染拡大、非常事態宣言へ

スペインの首都マドリッドでの感染拡大が酷くなり、3月13日にPEDRO SANCHEZ(ペドロ サンチェス)首相が非常事態宣言を出しました。翌日14日の午前0時からスペインでの感染拡大を防ぐため、スペイン全土で人々の移動が制限されました。

学校の休校は勿論、レストラン、カフェ、バルの飲食関係のお店は閉められ、他業種のあらゆる店舗も閉められました。開いているのは病院、薬局、ス-パ-、デリバリ-のみ対応の飲食業になりました。銀行はATMの利用の仕方がわからない高齢者のために窓口が開いています。

仕事は、在宅で出来る仕事への移行はされたものの、そうではない仕事場へは普通に出勤されていました。その状況が2週間程経過した頃、役所、消防署、刑務所、ゴミ収集会社等の行政機関、高齢者施設、清掃業、弁護士事務所、保険会社、電話インタ-ネット関連サ-ビスの会社、電気・ガス・水道の会社、飛行場、運送業、医療に必要な製品を製造している機関や工場、獣医、ペットの食糧品が売られている店を除き、仕事もある程度規制がされました。郵便局はかなりの時間短縮がされていますが開いています。

出勤、病院への受診、薬局やス-パ-への必需品の買い出し、ペットの散歩以外は認められません。イギリスやイタリアでは運動のための外出も認められていますが、スペインでは認められていません。基本的に行動範囲は自宅から2㎞以内とされています。また、どこへ行くにも単独行動のみ認められ、車での移動も1台に1人のみの乗車が認めれています。

出勤するための移動にも勤務先から出される勤務依頼書の様な証明書を持参しなければなりません。義務付けはされていませんが、持参した方が警察官とのやり取りの際に問題無くスム-ズに対応がされます。

街中を警察官がパトロ-ルし取り締まりをするため、呼び止められた際には、自分の目的を答えたり証明したりしなければなりません。警察官が判断し、必要のない外出や行動と判断された場合には罰金や刑罰が科されます。罰金は100ユ-ロから600000ユ-ロ(約12000円から71000000円)、刑罰は刑務所3ヶ月から1年と定められています。これまで一日に平均して1550件、計16000件の罰金、刑罰が科されました。

スペインの非常事態宣言後の状況

外出が自由に出来ないため、どの街のどの場所でも閑散とした映像が流れました。

非常事態宣言が出てから暫くは、ス-パ-へ食糧品を買い出しに行く人々の余裕のない様子が映し出されました。開店前のス-パ-には長い行列が出来、ス-パ-の中では食糧品の取り合いで喧嘩になることもありました。レジにも長い列が出来、想像以上の時間レジ待ちをしなければなりませんでした。中にはス-パ-から出るのに4時間かかった人もいた程です。食糧品、日用品の流通は止まることなくされています。状況は落ち着き始め、今では普通に買い出しは出来ます。

そんな中でもまだ不足しているものは、日本同様にマスクやアルコ-ル消毒液です。スペインでは、一般市民が普段マスクを付けることは全くないため、元々マスク販売場所は限られていますし、数も多くありません。

薬局での購入になりますが、先見の明を持ち、誰よりも早くに動いた人々が買い占めてしまいました。また、スペインに暮らす中国人が中国に暮らす家族へ送るために買い占めもしたそうです。スペイン人がマスク着用に興味も示さず、必要性も感じていなかった頃に、その状況がテレビで報道されていました。そのため、必要だと感じた頃には、どこにもマスクはなく、長い間入荷時期は未定のままという、日本と同じ状態が続いています。
ホ-ムセンタ-に売られている防塵マスク等の専門分野で着用されるマスクまで売り切れ状態が続いています。今は手に入らないマスクを待つよりも手作りで制作して着用している人が多いです。

スペインの医療崩壊の背景 – 圧倒的な医療人材の不足

EU内でも経済的に余裕のあるドイツとは異なり、スペインやイタリアは国家の医療費削減を行った影響があり、この様な非常事態に対応するのにはあまりにも厳しい現実に突き当たっています。医療に関わる人材は待遇の良い国外、主にイギリスやアメリカ、ドイツに流れてしまいました。圧倒的な人材不足です。

医療設備も足りず、医療に関わる人たちへのマスクや防御服すら不足しています。現在、各都市にある大きなイベントを開催出来る屋内催事場や、大きな病院近くの施設等にベッドを設置し病床を増やす対策をしています。

病院の敷地内に、ぐるりと病院を囲む様にテントが設置された病院もあります。IFEMAというマドリッドの大きな催事場では現時点で1100床設置されました。近日中にもっと増加させる予定になっています。

スペインの政府の対応

政府の経済的な対策としては、色々と詳細が打ち出されてきました。中・小企業の事業主、個人事業主に対し、税金、社会保険等の支払いは取り敢えず6ヶ月間免除されることになりました。例えば、この先3ヶ月内にコロナウイルスが終息した場合にも、残りの3ヶ月間で少しずつでも事業回復させ資金繰りが出来る様にという見通しです。

失業保険も貰えない様なパ-トやアルバイトの人には、非常事態宣言が解除されるまで月額440ユ-ロ(約52000円)の給付があります。金融機関からの貸し付けは、条件にもよりますが無利子で6年以内の貸し付けをして貰えます。

観光大国のスペインでは不動産業をしている人が多いです。不動産業を行っている人に対して、月額900ユ-ロ(約105000円)と光熱費200ユ-ロ(約24000円)の給付があります。

住宅ロ-ンの返済がある人に対しては、非常事態宣言中は支払い義務の停止がされます。同様に、電気、ガス、水道の光熱費の支払いも非常事態宣言中は支払いをしなくても問題がない様に対応されます。

国民の最低限の生活を守るため、光熱費が未払いのためサ-ビスを停止されてしまうことが無いように、政府が各会社に命じ、サ-ビス停止を行わないとの承認がされました。
また、住宅ロ-ンや賃貸料の未払いによる差し押さえ等も行われることが無い様に、政府が銀行と話し合い、非常事態宣言中の差し押さえの禁止を命じました。

現在のところ、非常事態宣言は解除されず、4月11日まで延長されました。

※2020年4月1日時点の状況です。

まとめ

新型コロナウイルスが流行し、非常事態宣言が出て、日本では国民の生活が一変したと思いますが、それはスペインでも同様です。

一日も早いウイルスの終息が、スペイン、そして世界中に訪れるよう、切に祈っています。

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本記事は、2020年4月9日時点調査または公開された情報です。
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