子どもの交通事故の発生状況について
警察庁の「子どもの交通事故の状況」として、交通事故死者・重傷者数をまとめた統計情報によると、児童(小学生)で巻き込まれた人数は2020年度(令和2年度)は637人、2019年度(令和元年度)は821人でした。
幼児(未就園児・就園児)の交通事故死者・重傷者数については、2020年度が224人、2019年度は238人でした。
毎年、減少傾向にはありますが、児童・幼児ともに歩行中に事故に巻き込まれるケースが最も多いようです。
▼参考URL:警察庁|交通事故分析資料
警察庁の対策
警察庁では、小学生の交通事故防止策として、学校関係者や保護者、交通ボランティアと連携し、次のような対策をとっているようです。
・ 4月以降、小学低学年(特に、新1年生)に対する歩行者として必要な知識等を習得させる交通安全教育(飛出し、車両の直前・直後の横断及び横断歩道外横断の危険性や横断の仕方等の教育)
・ 登校時間帯の街頭における保護誘導活動等、子供の通行の安全を確保するための街頭活動
・ 下校時間帯や夕方の時間帯に重点を置いた子供の通行の安全を確保するための街頭活動
・ 管内の子供の交通事故実態の分析、学校関係者、保護者、交通ボランティア等に対する情報(管内で子供が遊戯に使用する場所の周辺道路等に関する情報)の提供
- 出典
- 子供等の交通事故について
交通事故「殺人道路」の存在
今回、小学生が巻き込まれた千葉県八街市の事故現場には、ガードレール・外側線・路側帯が無く、地域住民にも危険だと指摘されていた道路でした。
通学路に指定された道にもかかわらず、歩道と車道を分けるものがなく、さらに道幅が広いこともあり、トラックなど車が日常的にスピードを出すという危険性もあったようです。
▼参考URL:千葉テレプラス|【特集】八街市児童5人死傷事故から1か月 再発防止に必要なことは-
(https://nordot.app/793758902028091392?c=428427385053398113)
日本の道路の問題点「信号のない横断歩道は殺人横断歩道(キラーゼブラ)」
また、日本では信号のない横断歩道で車が止まらないのが慣習になってしまっています。
歩行者優先の外国では、横断歩道で止まらないと重い罰金刑があるなど、横断歩道では車が止まることが義務付けられているケースが多いようです。
日本の生活に慣れていない観光客などの外国人は、日本でも当然に歩行者が優先され、車が止まってくれるだろうと横断歩道を渡り始めることも多く、とても危険なため、日本の信号のない横断歩道は「キラーゼブラ(殺人横断歩道)」と指摘する人もいるようです。
このような状況に対し、日本の警察は、「歩行者が渡ろうとしていたらドライバーが止まることが大前提ですが、歩行者も運転手の目を見て渡りますよ、という意思表示をするなどコミュニケーションをとることも大切だ」という立場をとっており、歩行者が自分で身を守らなければならない環境であることを物語っています。
▼参考URL:中京テレビニュース|日本の横断歩道、外国人から見ると「殺人横断歩道」
(https://www2.ctv.co.jp/news/2018/04/25/5347/)
G7で日本は自動車乗車中は最も「安全」、しかし歩行中の危険度は「ワースト2」
国土交通省によると、2019年の交通事故死者数は、3年連続で戦後最少を更新したそうです。
そして特に自動車乗車中の死者数は、日本・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダ・アメリカのG7の中で、最も少ない状況です。
しかし、歩行中・自転車乗車中の死者数を比較すると、日本はG7でアメリカに次いで多くなっており、いかに「車優先社会」なのかがわかります。
日本では、歩行中・自転車乗車中の死者数は、全交通事故死者数の約半数を占めており、そのうち約半数は、自宅から500m以内の身近な道路で発生しているというデータもあるようです。
国土交通省の「生活道路対策」
国土交通省では、生活道路での交通事故を防ぐため、対策エリアで、ビッグデータを活用し、速度超過や、急ブレーキがよく発生している道路、抜け道になっている道路などの、潜在的な危険箇所を特定しています。
そして、危険な道路には横断歩道の部分を車道より高くし、わざと段差をつける凸部(ハンプ)や、赤いポール状の狭さくなど、効果的、効率的な設置を進めているようです。
まとめ
このページでは、千葉県八街市で起きた交通事故を受けて、日本で起きている子どもが被害を受けた事故について統計情報をご紹介しました。
子どもが歩行中に事故に巻き込まれるケースが多いことがわかりましたが、その背景には、「車優先」ともいうような、「歩道」のない道路の問題や、例え歩行者がいても止まらない横断歩道の問題など、日本の悪しき慣習があるようです。
警察庁や国土交通省などでは、交通事故防止のためさまざまな対策がとられており、年々事故が減っているのは確かですが、もう少し早く対策を取っていれば防げたのではないか?と指摘されるような悲しい事故が起き続けているのも確かです。
誰かが犠牲になる前に、子どもたちや歩行者の安全を優先して守れるような社会の仕組みづくりが求められています。
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