MENU

【アメリカ州制度】大都市ニューヨーク市がある「ニューヨーク州」解説

当ページのリンクには広告が含まれています。
ニューヨーク州


世界的な大都市ニューヨーク市があるのがニューヨーク州です。アメリカ東海岸のみならず、アメリカ経済の中枢とも評されるニューヨーク市は、もともとはアメリカの首都でした。古くからアメリカの中心地として栄えてきたニューヨーク州は現在でもアメリカの心臓部と呼ぶに相応しい州です。

今回は、日本人も多く生活しているニューヨーク州について特徴や歴史を交えてご紹介します。

目次

ニューヨーク州の特徴

2018年現在、ニューヨーク州の総人口は約1,985万人です。州の面積はアメリカで27番目と決して広くありませんが、カリフォルニア州やテキサス州と並ぶほどの人口です。また、その人口を構成する人種も幅広く、白人がおおよそ60パーセントに対し、ヒスパニックと黒人がそれぞれ20パーセント近く占めています。アジア系や中東系も多く、国際色豊かな場所です。

ニューヨーク州はアメリカ南部のジョージア州の次にアフリカ系アメリカ人が多く生活しているとされています。ニューヨーク市の中心であるブルックリンのベッドフォード・スタイベサント地区は、アメリカのなかで最も黒人が集中しているエリアです。さらに、アジア系アメリカ人も多く、こちらはニューヨーク市のクィーンズ区に集中しています。

このように、古くから特定のエリアに同じ人種が集まってコミュニティを作り上げたことから、ニューヨーク市は「道路1本挟むと別世界」と言われるほどです。日本も例外ではなくニューヨーク市には「リトル東京」と呼ばれるエリアが存在します。

ニューヨーク市があることから州全体が都市部の印象を受けがちですが、実は自然も多く残されており、州北部にあるバッファローという町からは隣接するカナダのナイアガラの滝まで車で数十分程度の距離です。また、アメリカ側から歩いて渡れる橋もかかっておりカナダが非常に身近に感じられる州でもあります。

州の南部には人口800万人を超すニューヨーク市があり、マンハッタン区、スタテンアイランド区、ブルックリン区、クィーンズ区、ブロンクス区という5つの行政区で構成されています。ちなみに、ニューヨーク州の州都はニューヨーク市ではなく、オールバニ市です。オールバニ市は1664年にこの土地がオランダ領からイギリス領に移行した際に誕生しました。

世界的に有名なニューヨーク市やマンハッタン島ですが、実は史上最悪の不動産詐欺と呼ばれる行為によって先住民族から買い取られた背景があります。現在のマンハッタン島は、もともとは1600年代に入植してきたオランダ人が領有権を主張していました。1626年、この地の総督だったピーター・ミヌイットはインディアンの無知に付け込み24ドル相当の布、ビーズ、短剣と引き換えにマンハッタン島を手に入れました。

土地の領有権や契約という概念を持たなかったインディアンは半ば騙される形で現在のマンハッタン島を白人に受け渡すことになったのです。1664年にはオランダからイギリスの領土になり、独立戦争を経てアメリカのものになりました。現在では世界有数の金融エリアとして栄えているニューヨーク市は史上最悪の不動産詐欺によって白人のものになったのです。

ニューヨーク州は、現在ではおおよそ5万人の日本人が生活をしているとされ、経済、教育、文化交流などあらゆる分野で日本とも深い結びつきがあります。歴史的にも、現代においてもアメリカの中心と言える場所です。

ニューヨーク州の歴史

ニューヨーク州は、1788年にアメリカ合衆国11番目の州になりました。1600年代の大航海時代にイギリス人探検家のヘンリー・ハドソンが航路を見つける航海の途中でいまのニューヨークに到着したことが初めての白人の到来だったとされています。これを機にしてインディアンと生皮の交易を始めようとしたオランダ人が集まりました。


レナペ族やイロコイ族などと交易を活発化させたオランダ人は東海岸一帯に交易の拠点として植民地(ニューネーデルラント植民地)を次々に築いていきました。この際に一番最初に作られた植民地が現在のニューヨーク州の州都であるオールバニ市周辺でした。ニューヨーク州の州都がニューヨーク市ではないのはこのような背景が関係しています。

1664年には第二次英蘭戦争が勃発し、オランダが治めていた植民地はイギリスが支配するようになります。イギリスはニューネーデルラント植民地を「ニューヨーク植民地」と名称を変えました。これは当時のイギリス王だったチャールズ2世の弟のヨーク公ジェームズの名前に由来しています。

1674年、第三次英蘭戦争の終結を決めたウェストミンスター条約によってニューヨークの地は正式かつ恒久的にイギリスのものと決められました。その後はイギリス王室の植民地、ニューイングランド自治領と形を変えながら、1691年に再びニューヨーク植民地になりました。

1763年以降、ニューヨーク植民地を始めイギリスに対抗心を持った植民地にはイギリス本国から新たな税金徴収策として印紙法や茶法などが強制されるようになります。これらの高圧的で不当な法律は「耐え難き諸法(Intolerable ActsまたはCoercive Acts)」と呼ばれ、13植民地の反感と怒りを増幅させ、13植民地の独立を加速させることになります。

1775年、独立戦争が始まります。1783年まで続くことになる独立戦争ですが、ニューヨーク州のロングアイランドでは独立戦争で最も大きな戦闘があったとされています。ニューヨークは1783年11月までイギリス軍に支配されますが、他の街で独立に向けた活動が進められていました。1777年にニューヨーク憲法が制定され、1787年のアメリカ合衆国憲法立案後、1788年には批准してニューヨーク植民地はアメリカ合衆国11番目の州になりました。

独立戦争の際、この地で生活をしていた先住民族のイロコイ族はイギリス軍に加勢しますが、イギリスが敗れ、アメリカ軍によって集落を壊滅状態にされたイロコイ族はカナダに逃亡するしかありませんでした。インディアンの多くは寒さと飢えで命を落とし、生活拠点を失ってしまいました。

このようにニューヨーク州の歴史はオランダとイギリスが深く関係しており、イギリスから独立を果たしたものの、先住民族を不当なまでに追いやった事実もあります。

ニューヨーク州の政治情勢

ニューヨーク州では2012年、2016年の大統領選ではいずれも民主党を支持しています。多様な人種が集まるニューヨーク市でも民主党が強く、田園部を除いては民主党が圧倒的に強い州と言えます。

また、ニューヨーク市は政治資金を集めやすい場所としても知られており、民主党、共和党共に全米で最も政治資金を調達した地区トップ5のうち4つはニューヨーク市内だったほどです。経済都市のニューヨークはアメリカの政治に対しても影響力があると言えます。

ニューヨーク州の経済

2018年時点、ニューヨーク州の失業率は4.6パーセントです。アメリカの平均値よりもやや高いものの、リーマンショック以降は緩やかに回復傾向です。ニューヨーク市の失業率は州の平均よりも高く直近で5パーセントです。この背景には不法労働者や不法移民が州民の雇用を奪っているという見方があります。しかし、サービス業が多い都市部はそのような人たちに支えられているのも実情です。

ニューヨーク州の税金

2018年時点、ニューヨーク州の消費税は8.49パーセントです。連邦税が4パーセントに対し、地方消費税の平均が4.49パーセントです。アメリカ東海岸エリアでは最も高い消費税率で、隣接するバーモント州やメイン州などと比較して2パーセント以上高いことが特徴です。

1990年頃からニューヨーク州はインディアンの生計を支えていたタバコ栽培および販売に税金を課す法律を決議し、インディアンから州税を徴収することを押し進めました。ニューヨーク州が固執するインディアンからの税徴収は、インディアンから土地を奪ったうえに彼らの生活までも奪う行為として物議を呼んでいます。

ニューヨーク州の銃や薬物問題

ニューヨーク州では医療目的に限りマリファナは合法です。税収を増やすために娯楽用のマリファナも解禁しようとする動きもありますが、保守派に反対され続けています。しかし、2018年には西のニューヨークと呼ばれるカリフォルニア州がマリファナを全面解禁し、今後ニューヨーク州にも大きな影響を与えるとされています。

ニューヨーク州の銃に対する取り組み格付けは「A-」です。危険なイメージがあるニューヨークですが、州民10万人に対して銃の犠牲者は4名と全米でもとても低い数値です。また、銃犯罪の犠牲者数は毎年少なくなっていることも特筆すべき事項でしょう。

ニューヨーク州の教育または宗教事情

ニューヨーク州の教育水準はアメリカの平均値とされています。教育水準が高いとされる東海岸のなかでは低い方に分類されます。しかし、私立大学ではカトリック系のフォーダム大学やコロンビア大学、コーネル大学などアイビーリーグに含まれる国内屈指の大学があります。


ニューヨーク州はキリスト教とカトリックがそれぞれ40パーセント以上を占めています。州内にはユダヤ教、イスラム教、仏教など多様な宗教があり、様々な人種が集まっていることを裏付けていると言えます。

まとめ

ニューヨーク州はオランダとイギリスの間で領土権を巡って幾度も争いが起きた場所である一方で、先住民族を容赦なく追い出した上で発展してきた歴史があります。偉大な発展の影にある歴史はアメリカ史を知るうえでは欠かせないでしょう。

本記事は、2018年9月9日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

コメント

コメントする

目次